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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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1-⑵

 そして、二度目に小悪魔が訪れたのは、卒園式の前の発表会の時だった。

 私達、女の子は花の精、男の子は花咲爺さんの役で、花の精が少し離れた所に居る花咲爺さんに桜の花を投げて渡すという場面だった。お互いがペァになり、私の場合は、その相手が昂君だったのだ。他の皆もそれぞれ相手が決まっていて、練習でも普通にこなしていた。
 
 ところが、発表会当日の本番のその場面になった時、突然、私の中の小悪魔が
『届かないように・・上の方に投げちまえ』と、言ってきた。

「ウチ そんなこと出来ない」と、言ったのだが、
『いいから やっちまえ あいつなんか、勝手にやるさー』と、又、押し付けてきて・・ 私 言う通りに 上にほおり投げてしまった。
 そうしたら、昂は・・飛びついて、それを掴んで、何事もなかったかのように、私に向かって、微笑んでいたのだ。私は、なんてことしたんだろうと思いながら、
「ごめんなさい」と、心の中で謝っていたのだけど・・

 発表会が終わった時、珍しく昂君が私に寄ってきて

「真珠 投げるんだったら、もっと、上手に投げろよな へたくそー」と・・

「何よー あんたに呼び捨てにされる覚えないわよー」と、「なによー あの言い方 腹が立つ クソー」と、口惜しかったのだ。

 卒園式の日。私は、香菜ちゃんと別れを惜しんでいたら、丈士君が混ざってきて、ウザイと思っ
て居たら

「バッカじゃねぇの お前等 どっちみち 小学校で一緒だろー」と、昂君が側を通った時、冷たく言い捨てて通った。

「なによー あれっ やな奴」と、香菜ちゃんが言っていたけど、私も、同感だった。その時、
『やり返してやれよ どっちにも』と、聞こえて来た。「なによ どういうこと?」と、思っていると
『丈士にけしかけるんだよ 昂に、反論するように、言うんだよ あんたも、黙ってないでよってな』

 私、つられて「丈士君 ウチ等 バカにされてんだよ 何か、言い返しなさいよー」と、言ってしまった。丈士君は少し躊躇していたが、香菜ちゃんにこつかれて、ようやく、昂君のもとに行って

「あのさー ちょっと言い過ぎなん ち・が・う?」と、多分、ビビッていたと思う。

「あぁー バカって言ったのは謝る。だけど、同じ小学校に行くのは本当だろー」

「そー だけどね」と、言って戻ってきて、「謝っていたよ」と、自慢げに言って居たが、私は、なんか、こいつは根性なしだと思っていた。

 卒園式が終わった時、玄関先でウチのお母さんと、昂君のお母さんが立ち話をしている時、私達も側に居たのだが、昂君はそっぽ向いて、あっちの方を見ていた。私には、知らんぷりだったのだ。だから、私は、構うつもりで、昂君の後ろから、首筋辺りに、持っていた花束でくすぐっていったら・・

 昂君は、急に振り払うように振り向いた。その瞬間、花束は飛び散り、私もよろけて転んでしまった。『泣け 泣くんだよー』と、心の声。

「どうしたのー 真珠」と、お母さんが駆け寄ってきて・・

「昂君が・・ウチを・・」と、泣いたふりをしていた。

「昂 真珠ちゃんに、何したのー あんたー ごめんね 真珠ちゃん 昂ったら 乱暴なんだから・・ 昂 真珠ちゃんに謝んなさい」と、昂君のお母さんが・・

 昂君は、頭を下げていただけで、何かを言おうとしていたが、直ぐに、プイっとあっち向いていた。

「真珠も 直ぐ 泣くんじゃぁ ないわよー 転んだくらいで・・」

「真珠ちゃん ごめんね 本当に・・ お姉ちゃん達は仲好しなのにね 昂も、真珠ちゃんをいじめたらダメよー ご近所なのに・・」と、昂君は、お母さんに叱られていた。

 私の中であの小悪魔が『クックック』と、笑っていた。本当に、こいつは、私に住みついたのだろうか・・



 




 


 
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