イベリス
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第三十三話 葛飾のアイスクリームその一
第三十三話 葛飾のアイスクリーム
咲はクラスメイトに約束した通り葛飾の彼の家がやっている和菓子屋に行くことにした、これまた約束通り愛も一緒だった。
葛飾に向かう地下鉄の中で咲は隣に座る愛に話した。
「驚いたわ、西武の監督だった広岡さんと森さんって巨人出身だったのね」
「それ有名でしょ」
愛はこう咲に返した、いつも通り愛は派手なファッションで咲もギャル調になっている。
「広岡達郎さんって巨人のショートだったのよ」
「そうだったのよね」
「そして森祇晶さんはキャッチャーだったのよ」
「お二人共名選手だったのね」
「巨人のね」
「いや、知らなかったわ」
咲はあらためて言った。
「そして西鉄の頃も」
「監督の三原さんね」
「そう、三原修さん」
この人物もというのだ。
「元々巨人の人だったのね」
「巨人の監督さんだったのよ」
「そうだったのよね」
「西鉄が強かったのは三原さんの存在が大きくて」
「西武もね」
「広岡さん、森さんの頃が黄金代だったわ」
十年以上に渡る長い黄金時代であった。
「それでなのよ、叔父さんはね」
「西武が好きじゃないのね」
「巨人のカラーが実は濃いから」
「巨人出身の監督さんお時に強かったから」
「だからね」
その為にというのだ。
「私このことも知ってたわ」
「そうなのね」
「三人共巨人を出たか出された人だったけれどね」
「広岡さんは出されたのよね」
「川上さんにね」
川上哲治である、バッターとしては兎も角守備は全くと言っていい程やる気がなくかつ人間性は色々言われている。
「何でも自分の監督の座脅かすから」
「それでよね」
「あの人色々やっててね」
愛はこの川上のことについてさらに話した。
「監督の座を守る為にね」
「広岡さん追い出したの」
「そう言われてるし他にもね」
広岡以外にもというのだ。
「別所哲治さんや千葉茂さん、与那嶺要さんもね」
「追い出されたの」
「青田昇さんもね。巨人の監督になれそうな人は」
「皆川上さんが追い出したの」
「そう言われてるし自分は選手時代チームプレイなんかしなかったのに」
チームが負けても自分の打率がよければ気にしなかったという。
「監督になってからね」
「チームプレイ言い出したの」
「そうみたいだし、戦争の時も」
「ああ、あの人も」
「戦争に行っていた年代よ」
「そうだったのね」
「丹波哲郎さんっておられたでしょ」
愛は咲に話した。
「知ってるわよね」
「俳優さんよね」
「そう、映画やドラマにも出てて幽霊とかにも詳しい」
「凄く面白い人だったのよね」
「態度は大きいけれど気さくで飾らなくてね」
自分をありのまま出す人だったという。
「バラエティでも活躍していたの」
「そうした人だったわね」
「実はこの人軍隊で川上さんの部下だったの」
「あっ、そうだったの」
「けれどそこで川上さんに随分いじめられたらしいのよ」
「それはまた縁ね」
「川上さんは何でも自分より階級が上の人にはへらへらして」
そうしてというのだ。
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