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おっちょこちょいのかよちゃん

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183 陰謀主義の公爵夫人

 
前書き
《前回》
 李の森で蔡京を撃破したかよ子達は藤木を取り返す為に森を出る。そしてフランスを思わせる街に到着したすみ子達組織「義元」はその場で攻撃を開始する。そしてシュヴルーズ公爵夫人という女性との交戦が始まった!! 

 
 レーニン(杉山さとしの身体を核として動いている身ではあるが)はとある場所で状況を房子と共に確認していた。
「ほう、ところどころ襲撃が起きている。今、ルイ13世の王国に連中が攻撃しかけているとな」
「はい、他地区でも数々の街や川や山が奪い返されております」
「そうか・・・。重信房子。あの機械はまだあったか?」
「え?はい・・・」
「1個でいい。持って来い。それにこちらに来て剣を取り返さんとする連中も近づいているであろう?」
「はい」
「私もこの小僧を取り込んだのみではさらなる強化が望めん。また取り込む事ができるという事はまた新しい力を持つ事ができるという事だ。また一から我が能力を再構成する必要があるという意味でもあるが」
「畏まりました」
 赤軍の長は今いる部屋から出て行った。
(再構成?どういう事だ・・・?)
 取り込まれている少年はレーニンの言う言葉にこれからどうするというのか知りたくなった。

 すみ子達は襲撃した街に住むシュヴルーズ公爵夫人と相対する。
「この街を荒らした罪を償ってもらうぞ!」
 公爵夫人は襲撃者の面子を見て落胆する。
(こやつら・・・。杖や杯、護符の持ち主でも何でもないのか・・・。く、こんな雑魚共にやられるなど屈辱・・・!!)
「それはこっちのセリフだね!」
 川村が発砲する。しかし、効果がなかった。シュヴルーズ公爵夫人もまた赤軍から支給された機械を持つ身であったのだ。その機械で防御を行ったと一行は判断した。
「皆!エレーヌと共に攻撃に入れ!防御は私がやる!」
 ジャンヌが指示する。
「おう!」
 ジャンヌは唱える。
「聖マルグリットよ、どうか、護りの力を!」
 ジャンヌの頭上から天使が現れた。
「そんなもの、憎しみの投石を喰らうがいい!」
 シュヴルーズ公爵夫人が大量の石を飛ばした。
「水玉で返り討ちにするでやんす!」
 ヤス太郎がパチンコで水玉を飛ばす。ただ、石を防ぎきれない。ヤス太郎は幾度も玉を飛ばした。
「聖なる石を汚しおって!」
 シュヴルーズ公爵夫人が睨む。機械から出る威圧の能力(ちから)だった。
(う、体が動かねえ・・・)
 山口達は金縛りにあったかのように公爵夫人に怖気づいた。
「耐えよ!」
 その時、ジャンヌが召喚した聖マルグリットが皆を光で包む。皆にかかっていた威圧の能力(ちから)が解かれた。
「今なら何とかいける・・・!!」
「機械の場所を探りますわ」
 エレーヌが両手を左右に出して手首を回す。シュヴルーズ公爵夫人の機械の場所の探知を試みた。
「ありました。ドレスの左の袖です!」
「よっしゃ!」
 山口は矢を放つ。
「ふ、そんな手、防いでくれるわ!」
 しかし、その矢は公爵夫人を対象にしなかったからか、機械に命中し、爆破した。ドレスの袖も破れた。
「ああっ!」
 シュヴルーズ公爵夫人は爆発に驚く。
「今だ、皆の衆!あの公爵夫人を倒せる!」
「了解でやんす!」
「おのれ!大事なドレスを!」
 公爵夫人はドレスを破かれた事や機械を破壊された事に激怒し、巨大な岩ですみ子達に砲撃した。
「危ない・・・!!」
 すみ子が銃を出す。岩石を壁で防ぐと共にシュヴルーズ公爵夫人に撥ね返した。
「きゃ、きゃああーーー!!」
 公爵夫人に撥ね返す前よりも増した勢いで岩石がぶつかる。シュヴルーズ公爵夫人は避ける事も出来なかった。
「ああ・・・。もう、だめか・・・」
 公爵夫人は瀕死の状態となる。そんな彼女にエレーヌが浮遊しながら近づき、告げる。
「この街は私達の世界に返還させていただきます」
「ふ、勝手にするがよい・・・。だが、女王はもう逃走に成功した。この地は、奪い返されるであろう・・・。それからあの杖、杯、護符も・・・、貰って、な・・・」
 シュヴルーズ公爵夫人は最後の言葉で足掻きながら消滅した。その頃、ジャンヌの兵も丁度戦いを終えて戻って来た。
「皆様、この街の人間どもは殆ど殲滅しました!」
 ジャンヌも召喚した聖マルグリットが消した。
「お疲れ様。濃藤すみ子、素晴らしき迎撃だった」
「あ、はい・・・。ありがとうございます」
 すみ子は照れながら礼をした。エレーヌはただ一人無表情になっていた。
「エレーヌ。どうかしたのか?」
 川村が聞く。
「はい。シュヴルーズ公爵夫人は女王を逃がしたと聞きました。つまり、ここに住んで統括していたと思われる人物は逃がしたという事です。もしその人物が生きていればこの地をまた奪還する可能性があるかもしれません。貴方達、もしかしたらその女王が報復として杖や杯、護符の持ち主を狙う可能性があるでしょう。本部守備班やそれぞれの持ち主に連絡をするべきです」
「分かった!」
 山口は通信機を取り出して他の領土攻撃班、本部守備班、および藤木救出班に連絡を告げる。
「こちら領土攻撃班、山口。今、西側にある戦争主義の世界の街を取り返した。だが、そこにいる女王が逃げたという事だ。杖、杯、護符の持ち主、警戒してくれ!」
『了解。気を付けるわ』
 護符の持ち主が返答した。
『ええ!?う、うん・・・!!』
 杖の持ち主も返事が来る。
『解ったわっ!』
 杯の持ち主の声も聞こえた。
(かよちゃん達・・・。守り抜いて・・・!!)
 すみ子は切実に願った。

 かよ子は山口の報告を受けてオロオロしていた。
「どうしよう、また私達の所に襲ってくる・・・!?・・・って、ああ!!」
 かよ子は足を滑らせて羽根から落下してしまう。
「かよちゃん!」
 のり子の人形の念力で完全落下は免れ、元の羽根の上に戻った。
「全く、おっちょこちょいすんなよ」
 大野が窘めた。
「しかし、あの者達が戦っていた相手は西側の方だ。我々を襲うには方角が違いすぎてここまで襲いに来るだろうか?高速か瞬間で移動できる能力を持たぬ限りはな」
 石松が考える。
「そ、そうか・・・」
「いずれにせよ、来る可能性はないとは言えん。頭に入れておこう」
「うん・・・」
 かよ子はいつ障壁が来ようと構えなければと覚悟した。

 レーニンは地図のような映像である事を確認していた。
「ほう、アンヌ王妃が難を逃れたか・・・」
 レーニンは別の部屋へ移動する。
「どこへ行く気だ?」
 核となる少年が質問する。
「なに、命を逃れた者に手を貸すのみだ」

 ある馬車の群れが大急ぎで走行していた。
「シュヴルーズ公爵夫人・・・。ああ・・・、我が頼りの者、無事であろうか・・・」
 一人の王妃が涙を流していた。
「きっとご無事ですよ」
「ええ、そうよね・・・」
 長く走り続けた後、ようやく安全と思われる場所に到着した。
「はあ、はあ・・・」
「アンヌ王妃、ここなら安全です」
「ああ、ありがとう」
 その時、その場に赤軍の人間が現れた。
「そこの王妃」
「あ、貴方は?確か赤軍の人間ね!」
「ええ、丸岡修と申します」
 トランシーバーを取り出す。
「こちら丸岡修。レーニン様、逃げたという王妃と合流に成功しました」
『よかろう。トランシーバーを王妃に貸してやれ』
「はい。こちらでレーニン様と話ができます」
「え、ええ」
 アンヌ王妃は丸岡からトランシーバーを受け取った。
「レーニン様」
『アンヌ王妃、無事だったか』
「ええ、何とか。公爵夫人達は?」
『今確認した所、倒されてしまったようだ』
「え・・・!?」
 アンヌ王妃は聞きたくない事を耳にしてしまったと思った。
「そ、そんな!!ああ、公爵夫人!!」
 王妃は号泣した。
『王妃、哀しいか。それならばお主も戦うが良い』
「戦う・・・?」
『そうだ、その憎しみを平和を司る世界の者やその者どもに肩入れしている者共にぶつけて始末する事だ。お主のいる位置ではそうだな、護符の持ち主が近い。南の方角にいる境界地の護符の持ち主から護符を手にするのだ』
「護符の持ち主・・・。ええ、恨みは晴らすわ!」
『丸岡修。貴様も同行せよ』
「了解」
 アンヌ王妃は悲しみと憎しみを込める。
(仇を取るわよ・・・!!)

 さり達は境界地の移動の為に領土攻撃班が殲滅した所へまた移動していた。
「お主ら!」
 誰かが呼ぶ声がした。
「その声は・・・、清正!」
 清正だった。
「二本の槍が治ったんか?」
「ああ、無事、この通りだ」
 清正の持つ時の槍、そして空間の槍は元通りになっていた。
「それじゃあ、次へ行きましょう!あ、そうだ・・・」
 さりはある事を伝えなければならないと思った。
「実は領土攻撃班の子が襲撃した街で敵の女王の人が逃げ切ったとか聞いたの。もしかしたら私達の所に来るかもしれないわ!」
「何と!我も警戒しよう。それでこの者も同行してくれることになった」
 一人の女性が現れた。
「こんにちは。テレーズと申します」  
 

 
後書き
次回は・・・
「護符を奪いに来た王妃」
 テレーズを同行者に加えることになったさり達の元に早速襲撃者が現れる。アンヌ王妃と名乗る女と赤軍の丸岡修が護符を狙いに来ていた。強敵の登場にさり達は勝ち目が薄いと見て護符の能力(ちから)で他の本部守備班に援護を求めようとするが・・・!? 
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