レーヴァティン
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第二百三十一話 平泉からその五
「少なくとも今陸奥や津軽の港をとなるとな」
「難しいですね」
「暫く湖からの補給のみとなります」
「若し湖が荒れたり強い魔物が出ますと」
「その船が行き来出来なくなります」
「それがある、やはり慎重に進める」
その様にするというのだ。
「ここはな」
「ではですね」
「陸奥や津軽の港を抑えるのも先で」
「港の掌握もこれまで通りですね」
「そうしていきますね」
「そうしていく」
英雄は決めた、そしてだった。
無理をせず兵を進めさせた、幕府の軍勢は程なくして敵の拠点である平泉を攻め落とした、そこにある堅固な城を。
するとだ、英雄にその報と共にすぐに別の報が入った。その報はというと。
「やはりそうなったな」
「上様の仰る通りでした」
「敵の領主達は平泉を出ました」
「そして北に逃れています」
「そうしているとか」
「そうだな、ではだ」
英雄はその報を聞いて幕臣達に話した。
「平泉を掌握してだ」
「さらにですね」
「北に追っていきますね」
「その様にしていきますね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「何処までも追いかつ陸奥や津軽の港もな」
「抑えそうしてですね」
「湖も掌握し」
「そのうえで、ですね」
「蝦夷に出ようと思ってもだ」
彼等がそう考えてもというのだ。
「それでもだ」
「出られない様にし」
「袋小路にして」
「そのうえで、ですね」
「捕らえる、そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「降す、いいな」
「わかりました、では」
「これよりもですね」
「その様に兵を進めていきますね」
「これからも」
「そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「奥羽を掌握する、だが」
「だが?」
「だがといいますと」
「まだ何かありますか」
「ここにも山の民がいるな」
彼等のことも話した、この浮島においては平野に住む民だけでなくそう呼ばれている民達も存在しているのだ。
「あの者達も民とするが」
「その暮らしは守りますね」
「そうしますね」
「その様にして」
「そのうえで、ですね」
「民に加える、戸籍には載せにくいが」
それでもというのだ。
「出来るだけな」
「民としますね」
「彼等も」
「そうしますね」
「あの者達にはあの者達の暮らしがある」
山の民達のそれがというのだ。
「それを害することはない」
「幕府としては」
「民であるならいい」
「彼等の働きをして」
「納めるものを納めれば」
「それでな、山にいる者に街や村での暮らしをしろと言ってもな」
そうしてもというのだ。
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