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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十四話 孔明、弓矢を奪うのことその九

 魏延と猛獲達はだ。劉備の前でまだ言い争っていた。
「桃香様は常に私がいる。だから御主等は不要だ」
「そうはいかないにゃ。おっぱいを保護するにゃ」
「だから焔耶は背中だけにするにゃ」
「おっぱいは譲れないにゃ」
「そうさせてもらうにゃ」
「うう、まだ言うのか」
 こんな彼女達を見てだ。厳顔は楽しげに笑って言うのだった。
「やれやれじゃな」
「そうね。焔耶ちゃんも変わらないわね」
 黄忠も笑って厳顔に応える。
「ああしたところは」
「そうじゃな。だが桃香様のことを心から想っておる」
 このことは間違いなかった。
「だからあ奴は絶対にやる」
「桃香様を無事ね」
「護っていってくれる」
 だから安心だというのである。そうしてだ。
 大門もだ。ここで言った。
「では我々もだ」
「ああ、そうだな」
「これからは単独行動は出来るだけ避けないとな」
 草薙と二階堂がその大門に応える。
「それで劉備さん達を護衛しよう」
「まだ俺達は襲われないだろ」
 二階堂は状況も考えながら話す。
「やっぱり狙われるのはな」
「劉備さん達ですね」
 ここで言ったのは真吾だった。
「他には曹操さん達も」
「狙うのは頭なんだよ」
 二階堂はまた言った。
「頭を潰せばそれで終わりだからな」
「どんな巨大な生物も頭を潰せば倒れる」
 大門も腕を組んで言い切る。
「それは軍も同じだ」
「政治もな」
 二階堂は大門の言葉に言い加えた。
「政治の方もそうなるからな」
「うむ、だからこそ劉備殿達が狙われる」
 大門はこう断言した。
「それとだ」
「それと?」
「それとっていうと?」
「あの者達、オロチなり常世なりアンブロジアなりだ」
 大門はここで草薙や神楽を見た。
「あの者達を封じられる者達が余計にだ」
「狙われるな」
 それはだ。草薙も自覚してだ。表情を険しくさせる。
「覇王丸さんとかな。楓もだよな」
「楓もそうだけれど雪だな」
 二階堂は彼女のことを念頭に置いて述べた。
「ほら、神楽さんの双子の」
「ええ。姉さんはだからゲーニッツに」
 神楽は沈痛な顔になりそのことを話した。
「我が神楽家は封じる力を持っているから」
「封印をしなければあの者達は幾らでも甦る」
 大門はまた言い切る。
「それ故にだ」
「何かとややこしいことになるかも知れないがな」
 それでもだとだ。二階堂は話す。
「勝つぜ。絶対にな」
「はい。じゃあ気分転換に怪談でも」
「それは止めろ」 
 関羽が蒼白になって真吾の怪談は止めさせようとする。
「あんなもの心臓に悪い」
「あれっ、駄目なんですか」
「止めろ。怖い」
 つい本音を言ってしまう関羽だった。
「夜寝られないではないか」
「そんなに怖いですかね、俺の怪談」
「怖いにも程がある」
 張飛も同じだった。こう言うのだった。
「絶対に止めるのだ」
「何か面白くないですけれど」
「いや、怪談は面白くはない」
「ただ怖いだけなのだ」
 二人はあくまで真吾に話す。だが何はともあれだ。護衛のことはまとまったのだった。


第百十四話   完


                             2011・10・7 
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