イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十一話 男の子の食べものその十一
「駄目ね」
「努力しないとああなる」
「そういうことね」
「もう果てはああなって」
「何もかもが駄目」
「そんな人になるわね」
「だからね」
それでというのだ。
「気をつけないとね」
「私達もね」
「ああした人を反面教師にして」
「ああはなるまいって注意して」
「その上で生きていかないとね」
「あんな人になったら」
咲はそうなってしまうことに心から恐怖を覚えた、それでクラスメイト達にもその恐怖を顔に出して言った。
「お友達なんて出来ないわよね」
「絶対にいないわね」
「あそこまで性格悪いと」
「無茶苦茶きつくて底意地悪くて」
「それで自分には徹底的に甘いと」
「もうね」
「お友達どころか」
それこそというのだ。
「家族も離れてくわよ」
「実際そうなってるみたいね」
「あの人の場合は」
「まあ一緒にいられないわよね」
「一緒に暮らすとか無理よね」
「そうよね、私もあの人顔を見るだけで嫌になるし」
そこまで嫌悪感を覚えるというのだ。
「そうなるから」
「誰だってそうなるでしょ」
「あんな人だと」
「顔も見たくないって人実際に多いでしょうね」
「性格が思いきり人相に出てるし」
「人相どんどん悪くなってるしね」
「あんな人相にもなりたくないわね」
咲はこうも思った。
「人相は生き方や性格出るっていうしね」
「だからテレビのキャスターとかって人相悪い人多いのよね」
「生き方や性格が滅茶苦茶悪いから」
「最初はよくてもね」
「どんどん悪くなるのよね」
「人相って本当に出るのね」
咲はしみじみと思った。
「注意しないとね」
「ええ、まあそうした人にならない様にね」
「努力していかないとね」
「人間それが大事よね」
「そうね、本当にね」
咲は心から思った、そうしてだった。
彼にあらためてこう言った。
「今度お店に行っていい?」
「むしろ来て欲しいのがね」
「浜崎君の考えね」
「だからね」
それでというのだ。
「是非来てね」
「それじゃあね」
「アイスクリームも和菓子もあるから」
「アイスね、従姉のお姉ちゃんがアイスクリーム屋さんでアルバイトしてるし」
愛のことも思い出した。
「それじゃあね」
「従姉の人とだね」
「一緒にね」
そうしてというのだ。
「お邪魔するわね」
「そうしてくれると嬉しいよ」
「それでアイス買わせてもらうわ」
「出来れば他のお菓子も買ってね」
「そこでそう言う?」
「商売だからね」
笑顔での返事だった。
「だからね」
「沢山買って欲しいのね」
「そして食べて欲しいよ」
「それじゃあ今度二人で行くわね」
咲は彼にそのことを約束した、そして家に帰ると愛に携帯で話すと愛も快諾した。そのうえで休日に二人で葛飾に行くことになったのだった。
第三十一話 完
2021・9・15
ページ上へ戻る