僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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11-⑹
お店の完成は、お盆前の予定だったが、私が、営業は何とか休まない形で続けたいと言ったものだから、色々と工夫しながら、やる形になったもんだから、遅れて9月初めになるということになった。
私は、それでも良かったのだ、1周年に間に合えば。新居の方は、8月末に完成するという予定だった。
蒼のお母さんが、私のお父さんと、一度、顔合わせというか、会ってお話もしなければと言うので、一緒に食事をすることになった。お店のお休みの時で良いというので、蒼の仕事帰りを待って、お寿司屋さんの2階の個室を予約してくれていた。
私は、白いレースの襟の付いた紺のワンピースがあったのだけど、お父さんはダークブラウンのブレザーしか無くて、それでも仕方ないかと思って、ノーネクタイで、予定のお店に出向いて行った。もう、先に、蒼のご両親は着いていたのだ。
「すみません お待たせしてしまって」と、私は、部屋に案内された後、言ったのだが
「いいのよ まだ 約束の時間前だし 蒼も帰ってきていないから」と、お母さんが言ってくれた。
その後、お父さんが挨拶をして、座ったのだか、蒼のお父さんが
「飲み物は何がいいですか」と、いきなり聞いてきた。
「はぁ お酒で・・」と、うちのお父さんたら・・。私は、お父さんの脚をコツンとしていた。
「じゃぁ 熱燗を頼んでくれ」と、お母さんに言っていたが
「いゃ ワシは いつも冷なんですわ」と、又・・
「お父さん 飲みすぎちゃぁ 嫌よ 今日は・・」と、私、留めたんだけど
「いいじゃぁないか 美鈴さん 特別な日なんだから」と、蒼のお父さんも、その気になっていたのだ。お母さんは、電話でお酒を冷でと氷とお水を、それとウーロン茶を注文していた。
お酒が運ばれてきて、その後、直ぐにお刺身と天ぷらが来た時、蒼が顔を出した。それまで、あまり、何を話していいのか、みんな戸惑っていたから、丁度良かったのだ。
「あー ごめん ごめん 1本乗り遅れてねー」と、言いながら入ってきた。蒼は着ていたスーツの上着を脱ごうとしていたので、私は、思わず、その上着を受け取ってハンガーに掛けにいった。
蒼がビールを頼んで、改めて乾杯をした。
「美鈴さんは、本当に気立てが良くて、うちの奴も仲良くしてもらっているんですよ そんな人が蒼の嫁になってくれるんで、嬉しく思いますよ」と、蒼のお父さんが言うと
「この子とは、気がついたら、二人だけで生活していて、それ以前の記憶を失くしていまして それから、ずーとワシの世話をしっぱなしでね、ワシはなんにもしてやれなくて・・・やさしい娘なんですよ どうか、よろしくお願いします」と、お父さんは頭を下げていたので、私も、あわてて頭を下げた。
「ふたりとも それで 式は決めたの?」と、お母さんが聞いてきた。
「ううん 8月の末あたりになるかなー そろそろ決めなきゃあね」と、蒼が私の顔を見ながら言ってきた。
「もう 式場なんか いっぱいヨ 早く、探さないと」
「でも、そんなに呼ぶ人も居ないし 小ぢんまりとしたものになると思うよ 美鈴の方が、多くなるかも」
「私だって 2.3人よ 親戚も居ないし」
「美鈴ちゃんは、どんなのが希望? 内掛けとかドレスとか」と、お母さんが聞いていたが
「私 あんまり 考えていないんです あんまり、お金かけられないし」
「でもね 一生一度のことだしね 蒼が何とかするわよ 可愛い美鈴ちゃんのことだもの」
「ちょっと 待ってよ 僕だって まだ、貯金なんて、そんなにないよー 美鈴には、可愛いく着飾ってほしいけどなー」
「でも 先に 式場決めなきゃあね」
その間、蒼のお父さんは、昔のナカミチの話を私のお父さんと話し合っていたが、私のお父さんは、何かを思い出してくれたんだろうか
「おとうさん 明日も早いんだから あんまり、飲むのもほどほどにね」って、私は、気になってきた。
「美鈴はね 最近ね、あんまり飲むな 飲むな って怒るんですよ ワシの唯一の楽しみなんですけどね」と、蒼のお父さんに訴えていた。蒼のお父さんも笑っていたが
「私 怒ってるんちゃうよ ただ・・ これ以上、記憶失くしてほしくないから・・血圧だって高いし・・」
結局、お父さんが、だんだん眠たそうになってきて、終わりにすることになったのだ。
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