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八条学園騒動記

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第六百四十話 最低な奴だからその十一

「間違ってもな」
「あいつを助けることになるからだな」
「ああ、そう思うとな」
「絶対にしたくなか」
「また言う、誰がそんなことするか」
 彼はまたこう言った。
「布施どころかな」
「苦しむ様にか」
「してやる」
 本気の言葉だった。
「俺はな」
「あいつが餓鬼になるからか」
「そうだからな」
「あいつが死んでもか」
「誰が助けるか」
 実に忌々し気に言った。
「そしてそれはな」
「あいつを知っている奴ならだな」
「誰もがだろうな」
「そうだろうな、俺もあいつの話を聞くとだ」 
 タムタムは彼に真顔で答えた。
「最低最悪の奴だ」
「餓鬼だな」
「もうそうなっている」
「そこまでの屑だろ」
「そうとしか思えないいい噂はな」
「ないな」
「大抵の奴は少しはある」
 いい噂はというのだ。
「そして親しい奴もな」
「いるな」
「その親しい奴は一人もいなくてだ」
 そうしてというのだ。
「そしていい噂もな」
「全くないな」
「余程悪い奴だな」
「だからあんたもそう思うな」
「あいつはとんでもない屑だ」
 タムタムから見てもというのだ。
「絶対に近寄りたくない」
「そんな奴だから誰もな」
 それこそというのだ。
「思う筈だ」
「だからだな」
「誰があいつを助けるか」
「布施餓鬼もだな」
「するか、あいつそしてどうしようもない屑が餓鬼になるなら」 
 それならというのだ。
「絶対にだ」
「布施餓鬼はしないか」
「誰がするか、そのまま餓えて渇いて苦しめ」
 彼は本音を憎々し気に出した。
「精々な」
「一万五千年の間か」
「そうなっていろ、じゃあこれでな」
 今度はタムタムそれにフランツに別れの言葉を述べた。
「俺のツレ達のところに行く」
「そうするか」
「ちょっとトイレに行ってただけだしな、それにな」
「それにか」
「もうあいつの姿見たくないしな」
 このこともあってというのだ。
「これでだ」
「お別れか」
「またな」
「ああ、それじゃあな」
「また会おうな」
 タムタムだけでなくフランツもだった。
 彼を別れの言葉を交えさせた、そうして彼は自分のところに去って行ったのだった。


最低な奴だから   完


                2021・10・16 
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