八条学園騒動記
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第六百四十話 最低な奴だからその七
「怨み骨髄か」
「そうだ」
まさにというのだ。
「本当にな」
「そうなんだな」
「そしてだ」
彼はフランツにさらに言った。
「あんたにも言うぞ」
「俺にもか」
「あいつとは絶対に付き合うな」
こう言うのだった。
「何があってもな」
「とんでもなく性格が悪いからか」
「何度でも言うぞ、本当にな」
「性格が悪いか」
「絶対に碌な奴にならないしな」
「俺が言ったことと同じだな」
ここでタムタムが言ってきた。
「あんたもそう思うか」
「当たり前だろ、あいつを知ってる奴だとな」
「絶対にそう思うな」
「クラスメイトや同じ部の奴からだけじゃなくてな」
さらにというのだ。
「学年全体、後輩からもな」
「嫌われているからか」
「あんまりな性格でな」
その悪さ故にというのだ。
「行いもそうだからな」
「やっぱりそう思うな」
「誰でも思うだろ、あの性格の更正は」
それこそというのだ。
「不可能だ」
「誰でもだな」
「出来る筈がない」
「どんな宗教でも哲学でも救えない奴はいるな」
「あんまり酷い奴だとそうだろ」
「救われるにもそれなりの資質が必要だ」
タムタムはこう述べた。
「さもないとだ」
「救われないな」
「ああ、どうしてもな」
それはというのだ。
「それなりのものがないと」
「それは誰でもじゃないんだな」
「ああ、救われるにはその教えが入らないと駄目だ」
タムタムはフランツにも答えた。
「それだけのものがないとな」
「その宗教や思想を理解出来なくてもいい」
「いいのか」
「耳に入る、そうすれば自分を変えようと思う」
「簡単なことに思えるが」
フランツに強い声で話した。
「それでもだ」
「それが出来るにも資質が必要か」
「そういうことだ」
「その話を聞けるだけのか」
「そして耳に入れるな、耳に入られるとな」
「それでいいか」
「理解出来なくてもいい」
それでもというのだ。
「最初はな、そのうちな」
「理解出来るか」
「それを頭に入れず馬鹿にする様なら」
「救われないか」
「零点の奴には何もわからない」
全くというのだ。
「だからな」
「救われないか」
「そうだ」
「あまりにも性格が悪いとか」
「救われもしない」
「そのまま悪くなるだけだ」
タムタムはフランツに真顔で話した。
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