ハッピークローバー
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第五話 合コンのことその二
「そうなったら」
「そこまで好きなのね」
「高校進学して大学に入って就職しても」
それでもというのだ。
「ゲームは続けるよ」
「結婚しても?」
「当たり前だよ、ゲームしないとさ」
「あんたは死ぬから」
「死ぬまでだよ」
まさにその時までというのだ。
「俺はゲームするよ、死ぬ時はコントローラーかスマホ手にして」
「そうしてなのね」
「死ぬから」
「それでゲームするのね」
「ゲーム実況もやってるし」
こちらもというのだ。
「それで今の全滅もだよ」
「実況してたの」
「つべにあげてるから」
そうしているというのだ。
「コメント凄いだろうな」
「まあそうでしょうね、しかしね」
それでもだ、かな恵は弟にあらためて言った。
「全滅したのはわかったけれどそこから何してたの?」
「ゲームセーブして電源切って台所で牛乳飲んでたんだよ」
弟ははっきりと答えた。
「そうしていたんだよ」
「そうだったの」
「ああ、じゃあもうすぐ飯だけれど」
それでもというのだ。
「ちょっと勉強するから、それで飯食ったら」
「また勉強ね」
「全滅したからもうゲーム今日はいいよ」
つまりするだけの気力が残っていないというのだ。
「もう」
「ゲームはいいのね」
「折角上手くいってたのに」
それがというのだ。
「それが」
「間違ってミミック開けて」
「一瞬で全滅したから」
「本当に気落ちしたから」
それでというのだ。
「今日は大人しくゲーム止めるよ」
「そこまで落ち込んだのね」
「あれだよ、サヨナラホームラン」
「あれ打たれた感じなのね」
「阪神がさ」
即ち贔屓のチームがというのだ。
「しかも巨人に」
「ああ、それは嫌ね」
かな恵は今日最も納得した顔で頷いた。
「私も」
「だからだよ、じゃあ晩飯まで勉強するから」
「それじゃあね」
こう話してだった。
弟は自分の部屋に入って実際に勉強をはじめた、かな恵も自分の部屋に入りそこで着替えて夕食の時まで漫画でも読もうと思ったが。
着替え終わったところで携帯が鳴った、見ると成海だった。
かな恵は電話に出て成海に尋ねた。
「どうしたの?」
「いや、合コンのことだけれど」
「時間都合ついたの」
「面子も集まったよ」
そちらもというのだ。
「俺含めて五人さ」
「そうなの」
「それで時間はテスト終わって」
中間テストがというのだ。
「その金曜の夜でいいか?」
「うん、多分その日いいよ」
かな恵も笑顔で応えた。
「金曜は皆アルバイトも部活もないしね」
「それじゃあな」
「うん、じゃあ金曜の夜ね」
「テストの終わったな」
「それじゃあね」
「いや、うち工業科だから」
成海は自分からこの話をした。
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