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もう昔のこと

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第一章

               もう昔のこと
 昭和元年に生まれた山谷昇は陸軍に入隊してから陸軍夜戦砲学校に入った、そこで軍隊のことそれに砲術のことを学んでいたが。
 彼は学校を卒業して部隊に配属されたうえで出征して捕獲されたアメリカ軍の戦車やバズーカ砲それにジープや機関銃を見て難しい顔で言った。
「こんなに凄いのか」
「いや、アメリカ軍の技術は知っていましたが」
「これは凄いですね」
「全くだ」
 その面長で丸い大きな目の顔で言った、顎はかなり長く背は一七〇程である、顔が長いので糸瓜や胡瓜と言われている。
 その彼が部下達と共にアメリカ軍の兵器達を見つつ話していた。
「野戦砲もいいがな」
「戦車が違いますね」
「もう完全に」
「我々の戦車はもうブリキみたいなものですね」
「アメリカ軍の戦車と比べると」
「こんなのを何万両も持っているんだな」 
 アメリカ軍のM4シャーマンを見つつ言った、車高がかなり高く丸みのある砲塔を持つその戦車をだ。
「こんな戦車日本軍だとな」
「一両や二両真似出来ても」
「何万両とか無理ですね」
「車でもそうそうないのに」
「それこそですよ」
「その車もな」
 山谷は今度はジープを見た、そのジープもだ。
「アメリカ軍は山程持っているんだな」
「むしろ戦車以上に」
「みたいですね」
「こんなにあるなんて」
「羨ましい限りですね」
「便利なことこの上ないですよ」
「すぐに移動や偵察に使えてな」 
 ジープを見つつ話した。
「軽い輸送にも使えるな」
「これ便利ですよね」
「戦車や大砲も気になりますけれど」
「ジープは特に役に立ちますね」
「これは」
「馬よりもいいな」
 こうも言うのだった。
「本当に」
「そうですよね」
「これはいいですね」
「こんなの使いたいですね」
「皇軍に車が沢山あれば便利だな、トラックだってな」
 これもというのだ。
「もっと多いとな」
「ですよね、野戦砲部隊でも」
「何かと運びますからね」
「軍隊にいればいつもですし」
「トラックもあればある程いいですし」
「このジープも」
「欲しいな、こんなにあったら」
 捕獲されたジープ達を見つつだ、山谷はさらに言った。
「我が軍も楽だ」
「ですね、もっと我が軍にも車はありますが」
「少ないですね」
「このジープみたいに便利に使えなくて」
「こんなの欲しいですね」
「全くだ、この戦争の後で皇軍にもジープみたいなのが欲しいな」
 心からだ、山谷は部下達に話した。攻略したフィリピンのアメリカ軍の基地で彼は戦車や大砲の質や数にだった。
 ジープに驚いた、そして彼は帝国陸軍にもこうした車があれば便利だろうと心から思った。
 そんな中で山谷は戦争を戦い続けた、彼はフィリピンまで終戦までいて日本の降伏によって祖国に戻った。
 それからは実家で暫く農業をして暮らしていたがその中で結婚もして。
 警察予備隊が創設されるとそこにやるべきことを見出したと思ってだった。
警察予備隊に入隊した、警察予備隊はすぐに自衛隊となり彼も陸上自衛隊の幹部軍で言う士官となった。それで家で妻のナオに言った。 
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