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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその四

「その場所ならね」
「よし、じゃあ決まりだな」
 ここでだ。ロックも頷きだ。こうしてだ。
 話が決まった。まずはだ。
 その敵が布陣していると思われる南岸のある場所に近付いた。そこは。
 広くなっている。そして。
 岸辺には旗や天幕が林立し船が埋め尽くしている。それを見てだ。
 ジェニーがだ。不敵な笑みを浮かべて言った。
「数は多いわね」
「そうだな。しかもだ」
 牙刀もその敵陣を見て言う。
「見事な布陣だな」
「あの司馬尉だな」
 ロックはその布陣を敷いたのが誰かすぐに察した。
「あいつが陣を敷いたな」
「そうですね。敵に陣を敷ける人は」
「あいつか妹達だけでしょうね」
 ほたるの言葉にジェニーが応える。敵の陣は陸も河もかなり整然としており無駄がない。遠目から見ても全く隙のないものである。
 その陣を見てだ。彼等は話すのだった。
「于吉とかオロチとかじゃ間違ってもないわ」
「戦術も心得ている」
 牙刀がまた言う。
「やはり容易な相手ではないな」
「さて、それじゃあね」
 ここまで話してだ。ジェニーは。
 三人と手下達にだ。こう告げた。
「すぐにここから離れるわよ」
「あっちに見つからないうちにだよな」
「ええ。奴等目も勘もいいから」
 そのことがよくわかってのことだった。
「だからよ。すぐにね」
「了解です。それじゃあ」
「すぐにここを去りやしょう」
 手下達も応えてだ。そうしてだった。
 船はすぐにその場から消える。そして。
 甘寧達の船もだ。敵の場所を確めると。
 すぐにだ。その場を離れるのだった。甘寧はその中で言った。
「ではあの場所に向かおう」
「ええ、それでだけれど」
「それで?」
「あちらには見つかっていないな」
 このことをだ。甘寧は言うのだった。
「まだ」
「少なくとも見つからないうちにだ」
「去るべきだな」
 こう話してだった。彼女等もだ。
 その場を去る。そしてだ。
 二艘の船はその入り組んだ場所に入った。それでだ。その中でとりわけ深く木々に囲まれた場所に入りだ。その中に潜んだうえでだ。
 六人はまずは船を出た。そしてだ。
 甘寧と諸葛勤がだ。ジェニー達に言う。
「この辺りの地理もだ」
「もうわかっているから」
 大丈夫だというのである。見れば諸葛勤の手には今も地図がある。
「我々の後についてきてくれ」
「今回もね」
「わかってるわ。それにしても」
 ジェニーは周りを見回す。そこは水辺だが山でもある。その木々の中も見回してだ。彼女は甘寧と諸葛勤に話した。
「ここはいい場所ね」
「そうだな。船や我々が隠れるにはだ」
「絶好の場所よね」
「船を隠すのはこうしたところに限るわ」
 ジェニーは満足した笑みを浮かべてこうも言った。
「複雑に入り組んだ場所がね」
「そうしたことがわかるのも海賊には必要なんだな」
「バイキングよ」 
 ジェニーはその笑みでロックに答える。
「バイキングはノルウェーにいたでしょ」
「ああ、あそこか」
「ノルウェーの海岸もこんなのなのよ」
「フィヨルドだったな」
「あそこに隠れて。船を置いておいたのよ」
 そしてそこから出入りしていたのだ。これは歴史にある通りだ。
 
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