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イベリス

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第三十一話 男の子の食べものその六

「生まれによってね」
「それないわね」
「生まれで階級決めるなんて」
 彼はそれこそという口調で述べた。
「社会主義どこかね」
「今じゃそんな国そうそうないわね」
「日本でもね」
 自分達がいるこの国でもというのだ。
「ないしね」
「上流国民ともいうけれど」
「それでもね」
「そう、あの国はね」
 北朝鮮はというのだ。
「階級があって国家元首なんて」
「将軍様ね」
「あの人なんて最たるものだよね」
「世襲制の独裁者なんて」 
 それでというのだ。
「ソ連でもなかったね」
「今のお話通りね」
「チャウシェスクはしようとしたけれど」
 ルーマニアの独裁者だった彼はだ。
「それも北朝鮮がやっていることを見てね」
「しようしたのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「北朝鮮は社会主義かっていうと」
「また違うよ」
「封建主義よね」
「うん、社会主義どころか」
「そうした国で」
「もう問題外だから」
 今否定的に話している社会主義国家どころではないというのだ、ただ世の中おかしなものでこの国が好きな人間も存在している。
「若し社会主義が好きなら」
「そうした国こそよね」
「批判しないとね」
「駄目だね」
「うん、それで社会主義ならね」
「美味しいものについても」
「生まれないよ」
 そうだというのだ。
「家庭はわからないけれど」
「お店では」
「そうでね」
「競争が大変でも」
「皆が美味しいもの食べられるから」
「いいのね」
「そう思うよ、僕は」
 こう咲に話した。
「やっぱりね」
「そうなるのね」
「最悪なのは」
 それは何かというと。
「やっぱり北朝鮮だね、食べものについても」
「いや、あそこ食べものないでしょ」
「そもそもね」
「最悪以前でしょ」
「食べもの自体がないから」
 女子が彼の言葉に一斉に突っ込みを入れた。
「そもそもね」
「柏餅とかちまきとかもないっていうか」
「お米もないじゃない」
「何もないんだから」
「それで人口の半分近くが餓えてるとかね」
「有り得ないでしょ」
「その有り得ない状況だから」
 それでとだ、彼はさらに話した。
「僕も今言ったんだ」
「例えに出したの」
「そうなの」
「極端なケースで」
「うん、あの国は殆どアニメや特撮の悪役だからね」
 そうしたタイプの国だというのだ。 
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