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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十二話 一同、赤壁に出陣するのことその十

 彼等は空を飛び続ける。その彼等を見上げて。
 ここでもだ。怪物達が言うのだった。
「皆わかってるわね」
「ええ。いざという時はあたし達が一肌脱ぐつもりだったけれど」
 既に裸でもこう言うのである。
「こうして知恵を出し合い力を合わせていたら」
「あたし達の出る幕はないわね」
「というか出て来たらまずいだろ、あんた達は」
 リョウがその彼等に突っ込みを入れる。
「出て来たらそれで爆発起こすだろうが」
「あら、あたし達だって結界は張れるから」
「この軍全部位なら平気よ」
 そうしたこともできるというのだ。
「だから安心して」
「そうしたこともね」
「いや、俺が言ってるのはな」
 リョウは平然としている彼等に唖然としながらもまた突っ込みを入れる。
「そういうのじゃなくてな」
「っていうと?」
「どうだっていうのかしら」
「つまりな。劇薬だってんだよ」
 もっと言えば猛毒だった。
「あんた達はな」
「そうよね。この美貌じゃね」
「魅了されて虜になっちゃう人も多いわよね」
「けれどあたし達はあくまでダーリン一筋」
「それは許されないことなのよ」
「まあそう思ってるのならそれでいいけれどな」
 リョウもそれ以上は言わなかった。言う気力はもうなかった。
「とにかくあんた達今回出番はねえからな」
「それは残念ね」
「なければ作るだけだけれど」
「それは止めてくれ」
 リョウは今度は本気で突っ込みを入れた。
「冗談抜きで戦どころじゃないからな」
「何はともあれよ。いいかしら」
「この度の戦はかなり大事よ」
「それはもうわかってるけれどな」
 それはだとだ。リョウはまた述べた。
「何はともあれだ。決戦だな」
「キングオブファイターズでいうと準決勝よ」
「正念場よね」
「準決勝!?」
 そう聞いてだ。リョウは。
 二人にだ。それは何故かすぐに問い返した。
「何でそこで準決勝なんだ?」
「あっ、それもまたわかるわ」
「おいおいね」
「また思わせぶりなことを言うな」
「謎は後からわかるものよ」
「伏線はね」
 怪物達はここでも身体をくねらせて話す。
「もっとも。謎というかね」
「ストーリー展開だけれどね」
「相変わらず訳のわからないことを言うな」
 リョウはそれ程愚かではない。だがその彼も首を傾げさせることだった。
 しかしだ。彼はそれと共にだ。こんなことも怪物達に言った。
「ただな」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「あんた達の歌な」
 それはどうかというのだ。
「かなりいいよな」
「あら、あたし達の歌のよさがわかってくれてるのね」
「いいセンスしてるわね」
「よかったらまた聴かせてくれるか?」
 リョウは音楽はわからない。それで言うのだった。
「今ここでな」
「ええ、それじゃあ今から」
「演歌バージョンも入れるわよ」
「ああ、頼む」
 リョウはにこりと笑ってまた頼み。それを受けて。
 またあの恐怖の歌がはじまった。その歌の前に。
 七色のスポットが何処からか来た。世界は急に暗闇になる。
 光が怪物達に集り。そしてだった。
 その光に照らし出される中。妖怪達は。
 空を舞い空中できりもみ回転してだ。そのうえで。
 着地しそしてだ。高らかに歌いはじめた。その瞬間に。
 世界は終わった。天から降り注いだ二人の化け物達によって。
 この騒ぎの後でだ。ユリはこんなことを言った。
「本当にお兄ちゃんってね」
「音楽全然わからへんな」 
 ロバートがそのユリに応えて言う。
「何一つとしてな」
「お陰でこんなことになったわ」
 何十万もの大軍がだ。見事なまでに壊滅していた。今全ての将兵達が何とか立ち上がり陣を整えていた。その中で話している彼等だった。
 
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