大阪のぶるぶる
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第四章
「そうするから。吉田さんの家冷えるけれどあの人暖房がんがん入れるから嫌なのよ」
「冬だと普通よね」
「そうよね」
春海も有紗もそれはと話した。
「冬だとね」
「本当にね」
「だから私はそれが嫌なの。夏はクーラーか扇風機のあるところに行くけれど」
それでもというのだ。
「冬の暖房は嫌の」
「人を寒さで震わせる妖怪としては」
「そうなのね」
「そうよ、全く以て嫌なものよ。それであんた達を寒がらせていたけれど」
「周りの気温を冷やして」
「今以上に」
「そうしていたけれど」
それがというのだ。
「見付かったからね」
「それでなのね」
「もう帰るのね」
「そうするわ、じゃあまたね」
妖怪は最後にこう言ってだった。
すうっと煙の様に姿を消した、妖怪が消えると。
有紗は春海に口をへの字にさせて話した。
「道理で寒かった筈よ」
「そうよね」
春海もその通りだと頷いた。
「本当に」
「妖怪がいるなら」
「それならね」
「寒い筈よ」
「余計にね」
「けれどもういなくなったし」
「それじゃあね」
有紗に笑顔で話した。
「急にましになったわね」
「ええ、それじゃあね」
「これからよね」
「お家に帰って」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「あったまりましょう」
「暖かいお部屋で温かいもの食べて」
「そうしてね」
「この寒さ忘れましょう」
「そうしましょう」
二人で話してそうしてだった。
それぞれの家に帰った、それからは暖かい服を着て暖房の効いた部屋で家族と一緒に暖かいものを食べた。それが実に美味くそしてぬくもった。
大阪のぶるぶる 完
2021・11・28
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