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身体を壊して

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第一章

                身体を壊して
 森川紗理奈はスポーツ万能だった、特に新体操が得意で中学からはじめて忽ちのうちに名を知られる様になった。
 それで彼女はどんどんだった。
 練習をして大会に出て名を挙げた、世界大会にも出てこちらの世界では名前を知らない者はいないまでになった。
 そんな彼女を両親はいつも褒めていた、それは周りも同じで。
「人間努力すればするだけよ」
「よくなるっていうのね」
「そうよ、そうしたら周りも認めてくれるし」
 姉の桂里奈に言うのだった、黒髪をポニーテールにしていてきりっとした切れ長の目が印象的な細面で頬と顎がすっきりしている。背は一五〇程で兎角脂肪が少ない。
「結果もよ」
「出るのね」
「そう、だからこれからもよ」 
 自分とそっくりだが十センチ程高く胸がある姉に言った、年齢は姉の方が一つ上だ。
「私はやってくわ」
「ここで私に言わないのね」
「いや、私は私で」
 紗理奈は桂里奈の問いにこう返した。
「お姉ちゃんはお姉ちゃんだから」
「それでなの」
「というか私は新体操選手でお姉ちゃんモデルでしょ」
「同じ高校に通っててね」
「いる場所が違うから」
 それでというのだ。
「別にね、あと私他の人のことは」
「どうでもいいのね」
「そう言ったら極端でも」
 それでもというのだ。
「他の人が頑張っていて結果出してもね」
「自分がどうかよね、あんた」
「そこで嫉妬したりとかね」
 そうしたことはというのだ。
「元々しないから」
「それはいいことね」
「嫉妬するなら」
 それならというのだ。
「自分がよ」
「努力することね」
「お父さんとお母さんも言ってるでしょ」
「嫉妬する位ならね」  
 姉も言った、家の中でくつろいだ格好でリビングでお茶を飲みつつ言った。
「それならね」
「自分が努力しろってね」
「だからなのね」
「これからもよ」
「努力していくのね」
「そして結果出すから」
 そうするというのだ。
「これからもね」
「そうなのね、ただあんたね」
 姉は強気一辺倒という感じの妹に言った。
「新体操も怪我多いでしょ」
「それがどうかしたの?」
「それ気をつけた方がいいわよね」
「気をつけてるわよ、だからいつも練習前と後はね」
 そうした時はというのだ。
「ストレッチしっかりやって身体ほぐすこともね」
「してるのね」
「そうしてるわ、実際怪我多いしね」
 自分もこのことはわかっているというのだ。
「だからそのことはね」
「大丈夫なのね」
「というかお姉ちゃんも気をつけないと」
 妹は妹で姉に言った。
「モデルの世界も厳しいでしょ」
「中で色々あるっていうの」
「足の引っ張り合いとかあるわよね」
「私の周りではないけれど」
「そうなの」
「けれど今度ドラマに出るから」
「演技の勉強も?」
 姉に問うた。 
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