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イベリス

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第二十九話 報いを受けた人その七

「過ちを犯し」
「そして素晴らしいこともしますか」
「そうです、彼は確かに日系人を自ら積極的に迫害しました」
「ですがその後で」
「多くのアフリカ系の未来を切り開きました」
「そうしたんですね」
「人間は過ちを犯し」
 速水はまたこう言った。
「そしてです」
「後悔して反省して」
「そうしてですか」
「素晴らしいこともするのです」
「それが人間なんですね」
「人間は不完全です」
 速水は咲に哲学者の様な顔で述べた、それは彼にしても人間について深く考えているからでありそれが表情に出たからだ。
「ですが成長もします」
「過ちを犯して反省して」
「過ちを犯さない人はいません」
「誰一人としてですね」
「世界の神話の殆どでは神も過ちを犯しますし」
「そういえばそうですね」 
 確かにとだ、咲も頷いた。
「ギリシア神話とかですと」
「左様ですね」
「はい、何かもう色々と」 
 小説やゲームで出て来るギリシアの神々の逸話を思い出しつつ話した。
「やらかしていますね」
「そうしていますね」
「神も間違えるなら」
「人間もです」
「間違えますね」
「そうです、間違えない人なぞ」
 それこそというのだ。
「今お話している様に」
「いないんですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「アール=ウォーレンもそうで」
「他の人もですか」
「同じです」
「誰もが間違えて」
「そして反省してです」
「いいことをするんですね」
「そうもします、許されない罪を犯しても」
 例えそうしてもというのだ。
「心から反省してです」
「行いをあらためて」
「素晴らしいことをする人もいます」
「それが人間なんですね」
「尚アール=ウォーレンもフォレスト大佐も邪悪な人ではなかったです」
 それは決してというのだ。
「彼等には志もありました」
「クー=クラックス=クランの創設者でもですね」
「そうです、彼なりにアメリカのことを考え」
「人間のことをですか」
「考えていて」
 そしてというのだ。
「最後はです」
「白人と黒人の融和に至ったんですね」
「そうなのです」
「不思議なお話ですね」
「不思議ではありません、人間なのです」
 速水は咲に笑顔で話した。
「善でもあり悪でもあり」
「間違いも犯す」
「そうして反省し」
「そこから正しいこともするんですね」
「そうしたものです」
 人間はというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「貴方も今日です」
「そうしたことを見ますか」
「そう出ています」
 占いではそうだというのだ。 
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