僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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9-⑺
土曜日の昼過ぎ、僕は田中さんを訪ねた。天気のいい日だった、僕は、あの土地に新居を立てることの許しをもらうお願いに来ていた。後で、美鈴も時間があれば、来ると言っていた。お母さんから、「あかつき」を買って持って行けと言われていたので、手土産で持ってきていたのだ。
「こんにちは、突然 すみません」
「あらっ 美鈴ちゃんのー 三倉さんだっけ」
「そうです 突然ですみません お願いしたいことがあって・・伺いました」
「あら なにかしら どうぞ、あがってちょうだい」
「これ どうぞ 召し上がってください 焼きたてだそうです 普通のあんことバター入りを買ってきました」
「まぁまぁ そんな気を使わなくて良いのに― せっかくだから、焼きたてをいただきましょうかね 私 小さい頃からずーとここの食べてきたのよ おいしくてね」
「うちの母も好きだと言ってました」
「そう お母さんは、この辺の人なの?」
「いいえ 越前の方だとか 父はここの出身ですが」
「そう 越前もいいわね 海も近いし 少し、寒いけどね で、どうしたの 今日は」
「はい 実は、美鈴に結婚申し込みました」
「あら そう それは、おめでとう 美鈴ちゃんもOKしたんでしょ?」
「ええ 受けてくれました」
「そりゃぁ でなきゃぁ お正月 連れてこないわよ で 式はいつ?」
「まだ そこまでは・・ 美鈴のお店の新築のこともありますし それで お願いっていうのは・・ あそこに僕達の新居も建てさせてもらえないかと思って 店舗併用住宅を お願いします 」と、言って、僕は頭を下げた。
「なーんだ そんなことか あそこは、美鈴が思う通りに使ってもらって良いのよ あなたと住む家を建てるんなら、なおさら良いわよ ずーと住んでいただけるんなら」
「えー そうですか ありがとうございます 助かります」
「そうよね べっこにマンション借りるより その方がいいわよね じゃぁさー まだ、少し先の話だけど 私がホームに入ることになった時、私の住所 あそこに移してもいいかしら この家 誰も居なくなるでしょ でも、心配しないでよ 年寄の面倒みてくれって言ってんじゃぁないから せめて、連絡先にね」
「それくらいは 当然です 本当に、ありがとうございます」
その時、美鈴が来たみたいだった。
「美鈴ちゃん おめでとう 結婚するんだってね」
「ええ 私 幸せになります もっと、もっと」
「そう 本当に良かったわ あがってちようだい」
「これ オムレツに野菜のあんかけを添えました あと、さつま芋の甘露煮です」
「まぁまぁ いつもすまないね 毎回、飽きさせないように考えてくれて 私もね 美鈴ちゃんの作ったの、おいしいものだから、ついつい甘えちゃって ありがとうね」
「いいんですよ 私も、おいしいっておっしゃってくださるから、嬉しくって」
「あなたは本当に良い娘ね ずーと私のお友達でいてね 聞いたわよ お店広げる時、新居も建てるんですって 良いじゃぁ無い 大賛成よ」
「えー 良いんですか 有難うございます でも、私、まだ良いのかなって・・」
「何言ってんのよ ずーと住んでちょうだい 幸せな家庭作ってちょうだいな」
「田中さんにそう言ってもらえると、前に進める気持ちになります 有難うございます」
「私は、あなたのこと 孫だと思っているからね 迷惑でしょうけど 何でも、言ってちょうだい でも、こんなバァさんじゃぁ、何にもできないけどね」
美鈴も、あんまり時間も無いというので、僕達は家を出てきて
「堤さんに、早速相談するね 新居のこと」と、美鈴が言ってきた。
「うん 僕は、ローンとか銀行に相談に行くよ 美鈴 頑張ろう 僕達」
「ウン 蒼 絶対 幸せになろうね」と、繋いでいた手を振ってきた。
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