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Fate/WizarDragonknight

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うどんVS餃子

 セイバーのサーヴァント。
 それは、古今東西の聖杯戦争において、特に優秀と言われるクラスらしい。
 ある時の聖杯戦争では、最終盤まで生き残り、聖杯へ宝具を放ち、その時の聖杯戦争を終わらせた。
 またある時は、味方陣営のとある少年に、自らの命を与え、その戦いを終結へ導いた。
 そして、此度(こたび)のセイバーは。

「うまい!」

 ただひたすらに、食を繰り返していた。

「うまい!」

 サーヴァント、セイバー。煉獄杏寿郎。
 マスターである美炎および、可奈美をブライから助けてくれた彼。
 彼は今。

「うまい!」

 一切表情を動かさないながらも、煉獄は一口ごとに続ける。

「このうどんというものも、餃子というものも、うまい!」
「いやあ、それはよかったぜ」

 真司が、どんどん食卓に餃子を追加していく。

「ほら、どんどん食え食え」
「待って真司さん! 次はこっちのうどんだよ!」

 だが、そんな真司に待ったをかける声。
 友奈が、大きなどんぶり(以前質屋で手に入れたらしい)に盛ったうどんをどっかと置く。

「煉獄さんは、私のうどんを気に入ってくれたんだよ! だから、どんどんと! あ、ちゃんと可奈美ちゃんの分もあるよ!」
「も、もうもらってるよ!」

 可奈美は、まだ食べている真っ最中のうどんを傾ける。
 美炎と煉獄を、友奈たちへ紹介しようと今朝提案してきたハルト。だが、先日唐突にいなくなった罰(実際は二体のファントムと戦っていたのだが、可奈美以外の店員がそれを知る由もない)で、彼は今日一日中ラビットハウスに縛り付けられている。
 コヒメもハルトを手伝いたいと言い出した結果、可奈美が案内することになった。
 だが、二人のアパートに入った途端、真司と友奈は、無数の食卓で歓迎していた。

「うむ! 召喚されたサーヴァントとして、当然現世(げんせ)のことはある程度知識としてはあるが、やはり実際に舌で味わうと格別だ!」
「そう言ってくれると、俺たちも嬉しいぜ!」
「うん! 私も、四国以外もある世界だから、見るもの全部が新しいよ!」
「なんでそんなに……あ、うどん美味しい」

 可奈美の隣で、美炎がそんな感想を述べている。

「美味しい……ていうか、これ本当においしい!」

 美炎の顔がどんどん明るくなっていく。
 すると、友奈が「やった!」と拳を握った。
 一方、美炎の支持を失った真司は口をあんぐりと開けた。

「ななにいいい!? えっと……美炎ちゃん、だったっけ? ほら、こっちも餃子がイロイロあるぜ!」
「真司さん餃子だけじゃん!」

 可奈美はツッコミを入れるが、美炎の隣の煉獄の大声に上書きされる。

「ところで、さつまいもの味噌汁はもうこの時代にはないのか?」
「ああ、味噌汁な。さつまいもはないけど、作れるぜ」

 真司はそう言いながら、台所で作業を開始する。
 数分も経たないうちに、真司は茶碗に入れた味噌汁を煉獄の目の前に置いた。

「おお! これが現代の味噌汁か! なかなかに美味だ!」
「へへ。よかった。あ、可奈美ちゃん。俺のこと、餃子しか作れないとか思ってたろ?」
「へ? ははひ、ほんはほほ……」

 可奈美は、口に餃子を咥えながら言葉を発しようとした。
 自分のマスターが、うどんではなく餃子を食べている。
 その光景に、友奈が絶句していた。

「あーっ! 可奈美ちゃんがうどんじゃなくて餃子を食べてる!」
「ごっくん……私だって餃子食べたりもするよ!」
「可奈美ちゃんは……うどん派だって……信じてたのに!」
「友奈ちゃん、勝手に絶望しないで!」

 何でツッコミ担当になっているんだろう、と可奈美は思わず思ってしまった。
 そんな可奈美に、美炎が耳打ちした。

「ねえ。本当にこの人たちが、サーヴァントなの?」
「う、うん。ハルトさんのサーヴァントの真司さん、私のサーヴァントの友奈ちゃん」
「ただの友達にしか見えないんだけど……」

 美炎が唖然として二人を見ている。
 その間にも、今や煉獄の食卓は、戦争となっていた。

「うどんも美味しいよね! ほら、美炎ちゃんも! 一杯作ったから、食べて食べて!」
「いや、俺の餃子だって捨てたもんじゃねえぞ! ほら、煉獄さん」
「いや、待って待ってよ!」

 煉獄どころか、美炎と可奈美のところにも並んでいく食事。
 コヒメも連れてくるべきだったかなと思いながら、美炎は二人を食い止めた。

「二人とも、ご飯よりも先に自己紹介! 自己紹介必要だから!」

 その言葉に、真司と友奈は互いに顔を見合わせる。やがて「あー、忘れてた」と頷き合った。

「そうだったな。んじゃ、まずは俺から」

 真司はその場で立ち上がる。

「俺、城戸真司。ライダーのサーヴァントな。んで……」

 唐突に、真司は友奈に目配せした。
 すると、友奈もまたサムズアップでそれに応える。立った友奈は、「コホン」と咳払いをして。

「私は、可奈美ちゃんのサーヴァント、結城友奈! そして、これは世を忍ぶ仮の姿……」
「え? 仮の姿だったっけ?」

 可奈美の口を不意に突き抜ける言葉。
 だが、その間に、真司と友奈は互いに背中を合わせる。
 それぞれの腕を左右に伸ばし。

「「変身‼」」

 真司はカードデッキを。
 友奈はスマホを、それぞれ操作する。
 すると、それぞれの姿が、鏡像と花びらによって変わっていく。

「果たしてその正体は……!」

「仮面ライダー龍騎!」
「讃州中学勇者部!」

 赤い鉄仮面の騎士。
 そして、白とピンクの勇者。

「っしゃあ!」
「おーっ!」

 二人はそれぞれ並び、ポーズを取った。

「「決まった……!」」

 二人は互いに顔を見合わせた。
 拍手を送る可奈美と美炎。そして、相変わらず箸を止めない煉獄。
 だんだん拍手を遅くして、可奈美は尋ねた。

「ねえ。……それ、何?」
「まあ、ただの自己紹介をするだけでもつまらないからな。もともと新しい参加者を紹介させるってハルトから連絡来た時はどうしようかと思ったんだけどさ」
「まさかの聖杯戦争反対派で、本当に安心したっていうか。ねえ?」

 変身を解除しながら、友奈は頬をかいた。顔が少し赤らめているから、少し恥ずかしかったのだろうか。

「どうせなら、ちょっと面白い自己紹介でもいいんじゃないかなって」
「それで変身まで入れたの!?」

 愕然とする可奈美。
 一方、友奈は、席に戻り、自らの前に出しているうどんを再び啜りだす。

「でも、どうせならあとコヒメちゃんにも会ってみたかったかな」
「お? コヒメに会いたい?」

 その一言で、美炎が友奈に身を乗り出した。

「うん! この前ハルトさんから大体の事情は聞いてるよ! コヒメちゃんを守る願いを、聖杯戦争に睨まれちゃったんだよね」
「うん。まさか、こんな大変なことに巻き込まれることになるなんて思わなかったけどね」
「本当に大変だよね。あ、うどんまだあるよ? あ、美炎ちゃんはきつね派? それともたぬき派?」
「わたしは……あ、それより! わたしと煉獄さんも自己紹介しないと!」
「うむ!」

 煉獄が勢いよく頷いた。

「改めて! 俺は……!」
「って、ちょっと待って!」

 そのまま真っすぐな自己紹介をしようとした煉獄だったが、美炎はそれを止めた。

「このまま普通に自己紹介するのって、なんか負けた気がしない?」
「うむ? 負けた気?」
「だから! わたしも、煉獄さんと! 何か! 面白い自己紹介をしようと思います!」
「美炎ちゃん!?」

 宣言した美炎の顔が、どんどん赤くなっていく。

「あっ……その……」
「おお! いいねえ! いけいけ!」

 そんな声を上げるのは、真司。
 いつの間に手にしていたのか、缶ビールを飲みながら美炎へ催促していく。

「わーっ! 真司さん、こんなお昼から、もうお酒飲んでる!」
「平気平気。気にすんな!」

 真司はニコニコと笑みながら、言った。

「あー……ごめん、言ったはいいけど、わたしも具体的な中身とかは特に考えていないんだよね」
「ならば、提案がある!」

 煉獄は立ち上がった。
 丁度彼の目の前には、平らげ終えた食卓が並んでおり、「いい食後の運動だ」と付け足した。

「これからも、君たちとはともに戦うこともあるだろう。安桜少女の実力もさることながら……」

 煉獄は、はっきりと可奈美を見つめる。
 彼の熱を帯びた目線に、可奈美の背筋に緊張が走る。

「衛藤少女。君も高い実力を持つとも聞く。是非一度、手合わせを願いたい」

 手合わせ。
 その言葉から、可奈美の脳が一気に活性化した。

「それって……私と立ち合いをしてくれるってこと!?」

 可奈美は、顔を輝かせる。

「可奈美、相変わらず剣術大好きなんだね」
「当たり前だよ! セイバークラス……つまり、剣術が強くて英霊になったってことでしょ!?」

 持ってきていて良かったと、可奈美は腰に付けている千鳥を掴む。

「そんな凄い剣術が見られるなんて、私やっぱり、見滝原に来てよかったよ!」
「おい可奈美ちゃんそれなんか俺たちが言っちゃいけない言葉じゃないか!?」

 だが、可奈美は真司の言葉を聞き入れない。
 ぐいっと煉獄に顔を寄せ、

「それじゃあ、いつやる? 今やろうよ!」
「今やろうってここでか!?」
「うむ! いいだろう!」
「ここでやるんじゃねええええええ!」

 一瞬で酔いを醒ました真司の悲鳴が、アパートの外にも響いていった。 
 

 
後書き
ハルト「昼飯時、ようやく終わった……」
ココア「お疲れ様~。もう昨日のごめんなさいは終わった?」
ハルト「終わったと思いたい。……あれ? チノちゃんは?」
チノ「はい。片付け終わりました」
ココア「お疲れ様!」
チノ「ココアさん、ハルトさん。皿洗い終わりましたか?」
ココア( ゚д゚)ハッ!
ハルト「さっきココアちゃんがお客さんと喋っている間に終わらせたよ」
ココア「ハルトさ~ん!」
ハルト「うわ、ちょっと引っ付かないで! そういうのはチノちゃんの役目でしょ!」
チノ「私を盾にした!」
ハルト「ほら、チノちゃんあげるから!」
チノ「やめてくださ……」
ココア「ほうほう、チノちゃん……お昼のモフモフだよ~!」
チノ「やめ……やめてください……!」

チリーン

客1「こんにちわ。二人で……」
チノ「あ……」
客2「うわ」

ココアがチノに抱き着いてモフモフしているところ

客1,2「「失礼しました~」」
ハルト「待ってええええええええええ!?」



___会いたい日は 会いたいって言おうよ 泣きたい夜は 声あげて泣こう___



客1「これ……とっても美味しいです……!」
ハルト「お口に合っていて良かったです」
客2「リョウ! これ美味しいね!」
客1「はい。このパスタ……麺の一つ一つに味が染みて、とろける……!」
ハルト「す、すごい顔がキラキラしてる……! これが所謂メシの顔って奴か」
ココア「それじゃあ、お客さんが大喜びしてくれたところで、今日のアニメ紹介!」
チノ「幸福グラフィティーですね」
ハルト「アニメ放送期間は2015年の1月から3月までだったね」
ココア「こんな感じで、町子リョウちゃんが、はとこの森本きりんちゃんと一緒にご飯を食べるアニメだよ!」
チノ「色んなご飯が出てくるので、夜中に見るのは危険ですね」
客1,2「「おかわり!」」
ハルト「「はい喜んで!」」 
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