おぢばにおかえり
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第六十七話 春休みが終わってその三
「確かに私そっくりの従姉の人は素敵な彼氏さんいるけれど」
「駅前の喫茶店の娘さんよね」
「それで彼氏さんはサイドカーに乗ってる人よね」
「喫茶店でよく食器洗ってる」
「あの人よね」
「ええ、あの人はそうした人がいてくれているけれど」
それでもです。
「私はね」
「違うっていうのね」
「そうなのね」
「もてないっていうのね」
「もてたことないから」
告白されたことなんて一度もありません。
「ブスって言われたこともあるし」
「それは誰でも言われるでしょ」
「一度はね」
「女の子でも男の子でもね」
「顔のこととか言われたことない人いないわよ」
「まあ人の顔のことなんて言う人って大したことないけれど」
「そうなのね」
そういえば阿波野君は人の顔のことは言わないとか言っていました、ただし阿波野君は絶対に嫌いな人だとお顔のことを相当に言います。
「じゃあ気にしなくていいの」
「下らない人の言う下らないこと気にしてどうするの?」
「一々そうしていたら意味ないでしょ」
「一体何になるのよ」
「そんなことしていたらきりないでしょ」
「それはね」
言われてみればでした。
「そうだけれど」
「そう、だからね」
「そんなこと気にしないで」
「あともてないこともよ」
「人生で一人にだけもてればいいでしょ」
それでというのです。
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