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イベリス

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第二十八話 またアルバイトに行ってその十二

「熱中症もありますし」
「どちらも危ないですよね」
「侮ってはいけません」
 絶対にというのだ。
「ですから」
「そちらにもですね」
「気をつけて」
 そしてというのだ。
「今ではスポーツ系の部活でもです」
「お水飲んでいますね」
「スポーツドリンクの場合も多いですが」
「飲んで、ですね」
「そしてです」
「練習をしていますね」
「時代によってスポーツのやり方も変わっていまして」
 それでというのだ。
「今では兎跳びもしません」
「あれ膝痛めるだけですね」
「足腰を鍛えるのではなく」
 そうではなくというのだ。
「膝を痛めるので」
「してはいけないですね」
「今はそうなっています、若しさせる指導者がいれば」
 その兎跳びをだ。
「それだけで指導者失格です」
「怪我をするだけの練習をさせるので」
「論外です」
 速水は一言で言い切った。
「まさに」
「そうですか」
「人の知識や技術は日々進歩していき」
 そうなっていてというのだ。
「スポーツについても同じで」
「今はお水飲んでいますね」
「野球でもサッカーでも」
「むしろ飲まないと駄目ですね」
「夏は、さもないとです」
「脱水症状や熱中症で倒れますね」
「そうなりますので」
 その紅茶を飲みつつ話した。
「必ずです」
「夏はよく水分を摂るべきですか」
「激しい運動をされる方はスポーツドリンクがいいです」
 こちらを飲むといいというのだ。
「やはり」
「そちらですか」
「はい、そして麦茶もです」
 このお茶もというのだ。
「水分補給が効率的なので」
「飲むといいですか」
「夏に麦茶が人気であるのは合理的なのです」
「冷やした麦茶美味しいですしね」
 咲の家でも母が好きなのでいつも作って置いてある、冷蔵庫を開けるとそこに冷やした麦茶が入っているのだ。
「確かに」
「あれは非常にいいのです」
「そうなんですね」
「ただ、日本人には美味しいですが」
「麦茶美味しいですよね」
「ですがドイツ人特に旧東ドイツの方は」
 東西ドイツはかつて分裂していた、冷戦時代のことだ。
「あまりお好きではないかも知れないです」
「そうなんですか」
「代用コーヒーの味なので」
「麦茶がですか」
「まずいと評判が悪かった」
「いえ、麦茶と同じ味なら」
 それならとだ、咲は麦茶を美味しいと思うので言った。
「いいんじゃ」
「日本人ならそうですね」
「はい、特に冷やしたら」
「最高ですね」
「そう思いますが」
「それは日本人だからです」
 麦茶を美味しいと思って飲めるからだというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、代用コーヒーをまずいと思って飲んでいますと」
 それならというのだ。
「どうしてもです」
「まずいと思いますか」
「そうなります」
「そうなんですね」
「味覚も主観があり」
「まずいと思っているとですね」
「まずく感じます」
 そうなるというのだ。 
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