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第二話 身の用心その一
第二話 身の用心
一華は母に言われた次の日の朝は食事と歯磨きそれに洗顔を終えると制服を着た。一華の制服は赤と白のチェックのベストに赤のミニスカートとブレザーに白のブラウスと群青色のネクタイというものだ。
その制服を着て学校までの電車に乗るとそこにかな恵がいた、かな恵は紫のブレザーとミニスカートに青のブラウスと赤のネクタイという恰好だ。
そのかな恵に電車の扉のところで向かい合って立ったまま昨日母に言われたことを話すとかな恵はおっとりとした顔で答えた。
「実際用心はね」
「した方がいいのね」
「おばさんの言う通りだと思うわ」
こう一華に言うのだった。
「私もね」
「夜道は出来るだけ歩かないで」
「昨日一緒にいた私が言うのも何だけれどね」
かな恵は笑ってこうも言った。
「けれどね」
「用心はすることね」
「絶対に夜道は一人ではね」
「歩かないことね」
「私昨日あれから成海君にお家まで送ってもらったし」
おぶってもらったうえでというのだ。
「やっぱり女の子はね」
「夜に一人では出歩かないことね」
「そう、それでね」
「スタンガンとかもなのね」
「私だって持ってるし」
自分もとだ、かな恵は話した。
「実はね」
「かな恵もなの」
「そうよ、スタンガンとブザー持ってるの」
「そうだったの」
「お父さんとお母さんがどうしてもって言って」
それでというのだ。
「特にお母さんがね」
「おばさんがなの」
「自分で自分の身を守れって」
そう言ってというのだ。
「わざわざ通販でどっちも買ってね」
「あんたに持たせてくれてるの」
「そうなの。だから一華ちゃんもね」
「持つべきなのね」
「若しもの時に備えてね」
「そうしないと駄目なのね」
「本当に一人では出歩かないで」
このことは絶対でというのだ。
「それで防犯具もね」
「持っておくことね」
「それで変な人に防犯具で反撃したら」
その後のこともだ、かな恵は話した。
「逃げないとね」
「止め刺さないの」
「うん、もう大声で痴漢よとか叫んで」
そうしてというのだ。
「逃げることよ、全速力で駆けて」
「逃げることね」
「だって男の人相手に力じゃ敵わないでしょ」
だからだというのだ。
「それでね」
「逃げることね」
「そりゃ喉とか急所とかみぞおちに一撃浴びせたら」
それならというのだ。
「相手動けないけれど」
「それでもなのね」
「逃げないと」
さもないと、というのだ。
「男の人相手だと」
「駄目なのね」
「そうお母さんに言われたわ、ただね」
「ただ?」
「お母さん潰せともね」
少し真剣な顔になって話した、目も凄みが宿っていた。
「言ったわ」
「あそこをなの」
「握ってね」
そしてというのだ。
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