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牧師館のドールハウス

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第四章

「そう思うとね」
「そうでしょ、だからね」
「ボーリィ牧師館だから」
「皆ね」
「気味悪いとか祟りがとか思って」
「それでよ」
 その為にというのだ。
「手を出さなかったのよ」
「私心霊の知識ないし」
「いいお人形だったらよね」
「お金があったら」
 その時にというのだ。
「買うわ」
「そうよね、あんたは」
「怖いお人形でもね」
「そうした人だから買ったのね」
「ええ、けれど別に何もないわね」
「だったら心霊に敏感な人いるから見てもらう?」
「それじゃあね」
 最初に犬や娘が警戒したり怖がったことからだ、そうもしてもらうことにした。
 すぐに年老いた女性が来てドールハウスと人形達を見たがこう言った。
「別に何もないですね」
「憑いていないですか」
「怖いのは外見だけで」
 それでというのだ。
「多分ワンちゃんは本能的にそれを察してです」
「箱の中にあっても」
「吠えたんでしょう」
「そうですか、別に祟りとかはですね」
「ないですね」
 このことを保証するのだった。
「ですから安心して下さい」
「そうですか、では」
「大事にして下さい」
 笑顔でだ、由香奈に答えた。そうしてだった。
 由香奈はこのドールハウスと人形達を大事にしていった、他の人形達もそうだったがこのドールハウスと人形達もだった。
 そのうえで家でいつも見て言った。
「ちょっとないドールハウスだけれど」
「それでもだね」
 夫が笑顔で応えた。
「こうして見ていると」
「それはそれでね」
「いいね」
「ええ、こうした怖い感じのドールハウスやお人形もね」
 笑顔で言うのだった。
「いいわ、怖くて中々売れなかったみたいだけれど」
「こうして手に入れて飾ったら」
「そして実際どうかわかったら」 
 それならというのだ。
「もうね」
「悪くないね」
「ええ、だからこのままずっと飾っていくわ」 
 こう言ってだった。
 由香奈は夫そして娘それに愛犬と共に見ていった、もう娘も犬も怖がらなくなっていた。逆にその人形で遊んでいた。もう誰も怖がらずむしろ親しんでいた。外見だけで判断してはいけないことを知ったうえで。


牧師館のドールハウス   完


                      2021・8・15 
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