チャーチルと日本
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第二章
「もう吹っ掛けるどころでない」
「無理難題です」
「こんな要求は有り得ないです」
「そこまでのものです」
「だからもうです」
「日本でもです」
「飲みません」
「飲める筈がありません」
「そうした要求だ、だからだ」
それ故にというのだ。
「ここで交渉からだ」
「利益を得て」
「そしてですね」
「首相もですね」
「得点を貰う」
政治家としてのそれをというのだ。
「必ずな」
「政治家は相手の反論にどうするか」
「捻じ伏せてこそですね」
「それでこそ名をあげますね」
「そうしますね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「今回は私も名を上げさせてもらう」
「イギリスが国益を得るだけでなく」
「首相もですね」
「そうさせてもらいますね」
「是非な」
こう言っていた、だが。
日本からの返事を聞いた瞬間にだった、彼はその時咥えていた葉巻を落として声をあげた。
「日本はあの要求を飲んだのか!?」
「はい、これが」
報告をする高官の顔も驚いているものだった。
「わかりましたと」
「前と同じ様にか」
「笑顔で」
「そこも同じか」
「そうなのです」
「あんな要求どうして飲めるのだ」
その要求を出した本人だからこそ言えた。
「一体」
「ですがそれでもです」
「飲んだのだな」
「そうです」
このことは事実だというのだ。
「まことに」
「そうか、ならだ」
「それならですね」
「もうこの話は終わりだ、だが」
ここでチャーチルは難しい顔で言った。
「これで議会がな」
「日本汲み易しと見てですね」
「もっと強く言えと言う」
「これまで以上の要求を出せと」
「そして私もだ」
首相である自分もというのだ。
「議会にはある程度は言えてもな」
「ある程度以上は無理ですね」
「私は絶対者ではない」
チャーチルはこのことは断った。
「あくまでだ」
「イギリスの首相であられて」
「独裁者ではない」
このことを強調して言った。
「だからだ」
「議会については」
「あまり強く言うとな、世論もそう言えばな」
「従うしかないですね」
「そうした国だからな」
イギリスはというのだ。
「民主主義の国だ」
「民主主義の国ならば」
「議会も世論もな」
「無視出来ないですね」
「そうだ、そしてそのだ」
「議会や世論が強く言ってくれば」
「そうするしかない、ならだ」
チャーチルはさらに言った。
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