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おっちょこちょいのかよちゃん

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171 噛み砕かれる攻撃

 
前書き
《前回》
 すみ子達組織「義元」は義教という人間と交戦する。そんな時、彼女らと同行するジャンヌが聖マルグリットと同化し、形勢を逆転させる。しかし、義教本人を取り逃がしてしまう。一方、かよ子は趙姫という女と交戦するが、饕餮の姿に変化する彼女に対抗できず、趙姫がかよ子の元に杖を奪いに接近してきた!! 

 
 本部の一室。かよ子の母達が各々の様子を確認している。
「領土も少しずつ取り返せていますわね」
「ええ・・・」
 かよ子の母は娘がいる場所を確認する。どうやら娘はまた新たなる敵と交戦しているらしい。
「あら、かよ子達がまた戦ってるわ!」
「本当ね。よく狙ってくること」
「やはり杖の持ち主だからだろう。奪い取りたいと言う輩も少なくはないはず」
 イマヌエルが解説した。
(かよ子、大丈夫かしら・・・?)
 まき子はおっちょこちょいの娘がまた心配になるのだった。

 かよ子達は饕餮に変化した趙姫と交戦する。趙姫は饕餮という怪物に変化する能力を持っていた。その饕餮の姿になった趙姫がかよ子達が乗っている羽根へと襲いにかかる。
(お願い、羽根の結界、聞いて・・・!!)
 かよ子は羽根で防げるか不安だった。この羽根はフローレンスから貰ったものであり、暫くは飛行して移動する為に用いていたが、稲目と馬子の戦いでは彼らの能力で移動を封じられるという窮地に陥った。だが、その場に現れた玄奘という法師によって事なきことを得ると共に彼に羽根に法力を流し込まれて結界を張る能力を会得したのだ。趙姫が近づいた。そして羽根の周囲に緑色の膜が張られた。羽根が出した結界である。趙姫は結界を噛み砕こうとする。しかし、その結界は簡単に破れなかった。
「う、うう・・・!」
 趙姫は意地でも結界にかじりつく。そして、趙姫は跳ね飛ばされた。そして結界の影響か変化を解かれ、元の人間の女性の姿に戻る。
「よし、反撃だ!」
 大野が草の石の能力(ちから)を行使した。花を出し、花粉を放出する。趙姫を眠らせた。しかし、弾かれた。
「やっぱり機械を持ってんな!おい、鳥橋だっけ?お前しまの人形で探知してくれ!」
「うん!」
 のり子はキャロラインを利用した。キャロラインが趙姫が持つ機械の場所を探知する。そして、彼女の着る漢服の中にしまってある事を確認した。
「皆、趙姫は服の中に機械を仕込んであるわ!」
「よし!そこを攻撃だ!」
 大野は草の石で茨の槍を出して攻撃する。だがその時、趙姫がもう一度変化し、饕餮の姿となった。そして大野が出した茨の槍を容易く噛み砕いて無効化してしまった。その時、大野のポケットにある雷の石が光り出した。
(ん・・・?杉山の石・・・?)
 雷の石が放電する。趙姫は電撃で痺れたが、牙や爪でかき消した。しかし、少し動けないようだった。
「少し聞いてるみたいだブー!」
「電撃・・・、なら効くかも!」
「だが、怪物になったあの女は機械をどこに仕組んでんだ?」
 大野はのり子にもう一度聞く。のり子の人形はまた捜索を行った。
「・・・だめ、饕餮になった趙姫にはどこに機械があるか分からないわ」
「ちいっ!」
「大野けんいち!」
 石松が呼ぶ。
「な、何だよ?」
「お主の持つ草の石と雷の石、両方を使うのだ!」
「え?あ、ああ!」
「山田かよ子、その杖で大野けんいちが放つ雷を操る能力を得るのだ!」
「う、うん・・・!!」
 大野とかよ子は石松の意見に同意した。
「さくらももこ、富田太郎、椎名歌巌!鳥橋のり子の人形で趙姫の後ろ側へ移動させてもらうのだ!」
「わ、わかったブー!」
「行くよ、ももこちゃん、ブー太郎君!」
 のり子の人形・キャロラインによってまる子とブー太郎、そして椎名は瞬間移動した。趙姫がまた近づいてくる。
「今度こそ、その結界を壊してやるわよ」
「さ、させない・・・!!」
「今だ!」
 大野は草の石で木の葉の手裏剣を出し、雷の石で放電した。かよ子は雷の石が出した雷に杖を向け、雷を自在に操る能力を得た。趙姫はまず大野が出した草の手裏剣を爪で切り刻んだ。そして大野とかよ子の雷撃が来る。これもまた牙で受け止める。
「同じ手を・・・。うっ!?」
 趙姫は電撃を牙で受けきれなかった。
(あの赤軍とかいう連中から貰った機械とかいう道具で守られるはず・・・)
 赤軍から貰ったという道具で自身を完全に防御できると趙姫は今まで確信していた。これなら自身が創り上げてきたこの町も守られると。しかし、その機械が今は作動していない。趙姫は雷の石と杖の能力(ちから)二つから放たれる電撃で更なる衝撃を喰らい、人間の姿に戻ってしまった。
「あ、あ・・・」
「今よ、趙姫の機械に不具合が起きてるわ!」
「こ、この・・・」 
 その時、後ろから洪水のような大きな水と火炎放射、そして前方にも大木の枝と電気の攻撃が来る。前方の攻撃はかよ子と大野、後方の攻撃はブー太郎、椎名、そしてまる子によるものだった。これで過剰攻撃ともいえる攻撃で趙姫の機械は破壊され、彼女も消し去る事ができる。
「やった・・・?」
 かよ子は勝利を確信したかった。しかし、趙姫が持つ機械はすぐに復旧し、全て防御されてしまった。
「そ、そんな・・・!!」
「もう許さないわ・・・!」
 趙姫は三度饕餮の姿に変化しようとする。
「大人しく杖を渡して全員死ね!」
「う、うおお!!どうか、命は・・・。命だけは〜!!」
 友蔵は泣きながら命乞いをした。しかし、趙姫はかよ子の羽根に近づいて来る。椎名とブー太郎の水の攻撃、まる子の炎の攻撃も防がれた。そして趙姫はまた羽根の結界の破壊を試みる。牙や爪を使って何としても壊そうとするも、上手く行かない。
「くう、これでは埒があかぬ・・・」
 その時、関根の国定忠治の刀が光り出した。
「ん?」
「あう?」
 結界の光が関根の刀に取り込まれる。
(こ、これは・・・!?)
 そして関根は刀が結界と同じく緑色に光るのを確認した。
「関根金雄!刀に結界の力が加わったのかもしれぬ!それで趙姫に向けて振ってみるとよい!」
 次郎長が指示した。
「そんならやってみるか!」
 関根は方を振った。その時趙姫から何らかの気力が吸い取られ、それが刀に伝わるように感じた。
「山田かよ子、関根金雄の刀に杖を向けよ!」
「うん!」
 かよ子は関根の刀に杖を向け、剣に変化させた。変化した剣も今までとは異なる感じがした。かよ子と関根は各々の刀と剣を振る。趙姫は跳ね飛ばされた。そして趙姫から電気のような何かが関根の刀に吸収される。
「これは・・・?」
 関根の刀には壊れた機械が取り付けられていた。
「そうか、その刀で機械を吸い寄せたんだ!」
 大野は考察した。そして下方にいるブー太郎達も逆転のチャンスと確信する。趙姫の後ろから大量の水が流れ寄せてくる。趙姫は飲み込むなり爪や牙で弾くなりして対処したが間に合わない。更には別方向からまる子の炎の石による火炎放射が来る。
「炎は水に弱いはずなのに?」
 趙姫は対処しきれなかった。そして反対方向から大野の草の石により出現した大木の槍、さらに雷の石の電撃が来る。
「お、おおお・・・」
 趙姫は人間の姿に戻り、そして光となって消滅した。
「倒した・・・」
 かよ子はホッとした。
「変身する奴もいるんだな」
 そして椎名とブー太郎、まる子はキャロラインの能力で羽根の上へと瞬間移動して戻ってきた。
「ま、まる子、無事じゃったか!?」
「おじいちゃん、大丈夫だよ!」
 祖父と孫はお互い号泣した。
「感動の再会やってる場合じゃないですよ。先に進みましょう」
 椎名が窘めた。
「うん!」
 かよ子は羽根を進める。そして羽根の結界の凄さを改めて思い知った。
(玄奘さん、羽根の結界、凄い役に立ったよ、とても強いよ・・・!)
 そしてかよ子は考える。
(藤木君を取り返したら杉山君を探しに行こう・・・!!)
 藤木救出班は町を出た。

 本部の一室でも藤木救出班が趙姫を撃破した事にまき子は安堵していた。
「よかった、かよ子・・・」
「玄奘の法力によります結界が功を奏しましたわね」
 そして、フローレンスは懸念する。
(ここから先は恐らく赤軍や東アジア反日武装戦線も迎撃しますに違いありませんでしょう・・・。健闘をお祈りしませんと・・・。それから・・・)
 フローレンスはとある少女の事も思い出す。
(あの子の思いが藤木茂君救出班の為に大いに貢献できますと信じたいです・・・) 
 

 
後書き
次回は・・・
「統一と死の思想の組織」
 剣を取り返しに戦争主義の世界の本部へと進む三河口達はとある集団と遭遇する。その集団に対して9人の高校生と一人の毒使いの女性からなる剣奪還班が戦を始める・・・!! 
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