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イベリス

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第二十七話 旅行に行かなくてもその四

「あんたのお話聞いたから」
「それでなのね」
「行ってみるわ、ああした場所って安いしね」
「遊ぶ場所としてはね」
「ええ、だからね」
 それでというのだ。
「一月に何度も行けるし」
「それで肩凝り治るなら」
「あとね」
 母はさらに言った。
「お母さん膝や腰もね」
「よくないの」
「どうもね」
「じゃあそうしたところも」
「治るならね」 
 それならというのだ。
「有り難いから」
「それでなのね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「お母さんもね」
「何度も行って」
「そしてね」
「治すのね」
「そうするわ、膝や腰も痛むけれど」
「特になのね」
「そう、肩凝りがね」
 これがというのだ。
「酷くて」
「それでなのね」
「何とかしたいから」
「お風呂で治るなら」
「是非ね」
「というか温泉もね」 
 こちらもとだ、咲は話した。
「お風呂だから」
「それでなの」
「一緒でしょ」
 こう言うのだった。
「違う?」
「そう言われたら」
「そうでしょ、ただね」
「ただ?」
「あったまって冷やしてを繰り返すんじゃないわね、温泉は」
「温泉はね」
「薬用ね」
 これだとだ、咲は母に話した。
「それがあるから」
「お母さんもね」
「箱根に行きたいのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「考えているし実際にね」
「行くのね」
「そうなの、けれど」
 だからだというのだ。
「薬用だけじゃないわね」
「あっためて冷やしたら」 
 それでというのだ。
「よくなるならね」
「それもいいのね」
「それに夏までこのままっていうのは」
 膝や腰の痛みそれに肩凝りがというのだ。
「困るから」
「行くのね」
「今日にでも行こうかしら」
「言ったすぐ傍ね」
「今日八条温泉やってるでしょ」
「ネットで検索したらすぐにわかるわよ」
「それじゃあ」
 母は娘の言葉を受けてだった。
 すぐに自分のスマートフォンを出して調べた、そのうえで咲に話した。 
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