商業科に入ると
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第四章
「お兄ちゃん一つ食べて」
「どっちもお前に買ったんだけれど」
「いいのよ、二つ食べたら食べ過ぎで」
そうなってというのだ。
「太るし」
「ダイエットしてるんだ」
「それに二つあるなら」
それならというのだ。
「兄妹だし半分こしないとね」
「だからなんだ」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「一個ずつね」
「半分こしてなんだ」
「食べましょう」
「そうするんだね」
「というかここで二つ買ってどうぞって言える人なら」
兄の人間性の話もした。
「元々もてる下地があったわよ」
「そうなんだ」
「ええ、後は外見だけだったのよ」
「そうだったんだね」
「ちょっと整えたらね」
「そうなんだね、けれどそれを言ったら」
兄も妹に言った。
「お前もだよ」
「私も?」
「もてるだろ」
妹を見て微笑んで尋ねた。
「そうだろ」
「実は彼氏いるって言ったら?」
「信じるよ」
微笑んだまま答えた。
「僕もね」
「何で信じられるの?」
「僕に色々アドバイスしてくれてるし」
外見がよくなる様にだ。
「絶対にけなさないしね、ケーキだって」
「これもなの」
「そう、それもね」
こちらもというのだ。
「一個分けてくれるし」
「二つあるうちの」
「そのこともね」
「見てなのね」
「思うよ、その性格ならね」
「顔だけなのに?」
「自分でそう言う人はそうじゃないよ」
長所はそれだけではないというのだ。
「他のところもね」
「いいっていうのね」
「だからお前もね」
岬もというのだ。
「その性格と顔なら」
「いいっていうのね」
「彼氏の子がいてもね、ただね」
ここで千早は岬に少し真面目な顔になって言った。
「僕も手をつないでいる位だし」
「それでなの」
「まだ中学生だからね」
「そうしたことはなの」
「早いからね」
「実はセックスまでしたと言ったら?」
「それは嘘だね」
千早は笑って応えた、もうケーキは彼の皿の上にある。紅茶は妹が用意して一緒に飲みはじめている。
「キスもまだかな」
「手をつないだことも?」
「わかるよ」
「何でわかるのよ」
「目が泳いでるからね」
妹のそれを見て笑って話した。
「だからだよ」
「それでなの」
「それはないよね」
「そういうことは十八になってからよ」
「それからだね」
「そう、だからね」
わかるというのだ。
「絶対によ」
「そう言うんだね」
「だから私そっちのアドバイスはね」
「出来ないんだね」
「それは言っておくわね」
「わかったよ」
「そのことはね」
こう言ってケーキを食べはじめた、そうしてだった。
二人でケーキと紅茶を楽しみながらだった、岬はまた千早にアドバイスをした。千早もその話を聞いてさらに磨かれていった。
商業科に入ると 完
2021・10・29
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