家に来て子供達と共に

「最初はそこで頭を撫でてご飯をあげていたら」
「ついてきたんだね」
「お家に」
「そっちのケヴィンは最初から玄関にいたけれど」
　夫婦から聞いた彼女のことも話した。
「けれどな」
「それでもだね」
「その娘はそこからなのね」
「俺に懐いて家までついてきて」
　そうしてというのだ。
「それでだよ」
「ここまできてか」
「家族になったの」
「それで妊娠していて」
　トレーパーはさらに話した。
「四匹産んだんだよ、三毛が雌でピーチでな」
「ニャア」
　その子猫が鳴いた。
「黒と白がどっちも雄でミックスとシェークな」
「ナア」　
「ミャア」
　この子猫達も鳴いた。
「茶と白も雄でモカだ」
「ウニャア」
「どの子もいい子だ、キャリがいつも観ていてな」
「ニャンニャン」
　茶と白の子猫に続いて母猫も鳴いた、トレーパーはその猫達を温かい目で観つつ夫婦にさらに話した。
「ワイフも言ってる、キャリが来て子猫達を産んでな」
「それでだね」
「生活が変わったってな」
　夫に笑顔で話した。
「ふとうちに来たけれどな」
「偶然みたいにだな」
「そうだったけれどな」
　それがというのだ。
「うちの生活をな」
「変えたんだな」
「明るくな来てくれてよかったよ」
「それはわかるよ、うちだって」
「ケヴィンが来てくれてまた明るくなったしね」
　夫だけでなく妻も話した。
「マーフィーがいてくれても」
「やっぱり猫もいるといいからね」
「だからね」
「来てくれてよかったよ」
「ふらりと来て」
「それから幸せにしてくれたよ」
「そう、猫って急に来るな」
　トレーパーも言った。
「そっちでもこっちでもね」
「言われてみればそうだね」
「急に来るわね」
「追わぬ時に。そこに何があるかわからないけれど」
　それでもとだ、トレーパーは二人に話した。
「それで幸せにしてくれるのならいいか」
「そうだね、それならね」
「構わないわね」
　夫婦で彼の言葉に笑顔で頷いた、そしてキャリ達を見て楽しみ。
　家に帰って愛犬と共にケヴィン達を見た、家族は猫達を見てまた幸せになった。急にやって来た幸せに触れて。


家に来て子供達と共に　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　２０２１・１０・２６