僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
7-⑶
水曜日、美鈴の店が定休日なので、僕の仕事帰りを待って、家の近くのカフェで待ち合わせをしていた。二人とも時間的に無理なく会えるので、このパターンが多いのだ。
美鈴はハーフパンツでラフな服装で来ていた。僕は、割と汗だくで店に入って行った。
「お帰り 電車通勤も疲れるでしょ?」
「もう、慣れたよ だいぶ、暑くなったなぁ 店は順調?」
「うん 外が暑いせいかさ お弁当が前よりも出るようになったわ 朝が忙しいのよ」
「晋さんは、朝の仕込みとお弁当なんだろう 大変だよな」
「うん 多い時は、お父さんも早く出てる」
「美鈴も早くから終了まで出てるんだろう 身体もつか?」
「私 丈夫だし やりがいあるしね」
「ほんと よくやるよー 息抜きもしろよな」
「今 こうやってしているじゃん 蒼と会っている時が、安心できるし、気が抜けるの」
「美鈴にそう言ってもらえるのって心が痛いよ」
「うー なんで 何かやましいことあるのかな」
僕は、美鈴が何かを感じ取っているのかと、負い目を感じていた。あの日から、会社で月曜日に愛ちゃんに会っても、何事も無かったかのようにお互い、接していたのだが・・
「なんもないよ 美鈴が可愛すぎてな」
「なんか、誤魔化されたー でも、蒼から言ってもらえるのが一番嬉しいー あのね、お店が狭くってね お弁当の用意も大変なのよ だから、更衣室をね、別にプレハブにでもして、お弁当用にしようかと思っているのよ
「うーん やればやるほど、何かと物入りになるもんだなぁー」
「そうだね 仕方ないよ 売上伸ばそうとするとね 私、我慢できないみたい あっ そう 女の子の制服 変えたんだ えんじ色にした 白だとね 見た目清潔そうなんだけど 下着の色が移っちゃうのよ 冬のうちは下に何か着れば良かったけど、暑くなってくるとね バイトの子なんか、結構、カラフルでね 明璃ちゃんなんかも派手になってしまって」
「ふーん そういうもんかな うっすら、見えるのも男にとっては良いもんだけど」
「バカ 蒼 他の女の子の下着見て喜ばないでよー」
「あのさー 別に 喜んでるんじゃぁないから、そういう言い方すんなよー」
「はいはい 私が期待に応えられなくって、悪いのよね ごめんね」
やっぱり、何か感じ取っているような気がしていた。でも、やましいことはしていないつもりだ。
「いや そんなつもりじゃぁー 美鈴は、何にも悪くないから・・」
「うーん でも、考えてることもあるからね それよりもさ、お父さんが、この前、昔よくいった海はどこだっけなぁー って、何か、思いだしてきたみたいでね へんな風になんなきゃいいけど」
「どうして? 快方に向かっているんじゃぁ無いの?」
「だけど あんときのことを想い出して欲しくないの 今のままで、幸せじゃぁないかなって」
「うん 複雑だよな」
「私も複雑なんよ お父さんの幸せってなんだろうなって」
「親だったら、娘の幸せが一番なんじゃぁないかな」
「そうかなぁー 今、結構、幸せ感じているんだけどな 本当の幸せって知らないのかもね」
ページ上へ戻る