魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
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第六一話 わかりあえない気持ち
月明かりに照らされた、広大な砂漠。
シグナムはその空を駆けめぐっていた。
眼下には、穏やかな波のような砂の造形が広がっている。
淡い月光に映し出された自然の芸術。目を奪われてもおかしくはないが、彼女は眼光鋭く周囲を伺っている。
「魔力反応も、目視で確認できる物もないか。この世界にはいないのか?」
そう呟いた時だった。機動六課からの通信が入る。
「シグナムさん、シャリオです。その世界にアスカがいる可能性は限りなく低い事が分かりました。魔力反応が皆無なんです」
その知らせは、シグナムを落胆させるのには充分だった。
「そうか……では、次の世界に跳躍する。データを送ってくれ」
「何を言ってるんですか!もう帰ってきてください。昼の出撃から不休で動きっぱなしなんですよ!?」
まだ帰還しようとしないシグナムをシャーリーは止めようとする。
「心配ない。この程度でどうにかなる程、ヤワな鍛えかたはしていない。一刻も早く、アスカを探し出してやらないと……」
「シグナムさん!」
聞き入れないシグナムに、シャーリーの声が大きくなる。
「闇雲に探したって効率が悪いだけです。アルトがまとめてくれたデータを再計算して、漂流した確率が高い世界を割り出しますから、もう帰還してください」
「一つでも多くの世界を回っておいた方が良いだろう」
「アスカを心配しているのはシグナムさんだけじゃないんですよ!」
「!」
痛い所を突かれ、シグナムは言葉に詰まった。
「……今、一番心配しているのは、フォワードの子達です。でも、あの子達は自分のできる事が見つかるまでは、大人しくしていると約束してくれました。真っ先に飛び出したい筈なのに……副隊長のシグナムさんがそんなに聞き分けが無いなんて、それこそ示しがつきませんよ」
シャーリーの諭す言葉に、シグナムは反論できなかった。
「……どうやら、私はまだ冷静になっていなかったらしい。これより帰還する」
「はい、お待ちしてます……あの、すみません、生意気言っちゃって」
「いや、感謝する。心配をかけたな、シャーリー」
通信を切って、シグナムは空を見上げた。
青白い光を放つ月が、砂の大海原を照らしている。
「アスカ……無事でいてくれ」
長い年月、シグナムは戦士として、騎士として戦いの場に身を置いてきた。
部下を持ったことなど無かった。
仲間と言うならば守護騎士が居たし、主がいた。その中に、なのはやフェイトが加わり、護るべき者は増えていったが、部下となると話は別だ。
闇の書事件が解決し、管理局に身を寄せる事になっても、一時的に下につく者はいたが、部下らしい部下と言うのは無かった。
機動六課にで初めて部下を持つ事になったのだ。
それで感じた事は、教える事の難しさと、伝わった時の嬉しさだった。
それをシグナムに教えたのはアスカだった。
戦士であれば戦場で命を落とす事もある。
己の覚悟は出来ていても、部下を行方不明にさせてしまった動揺はまだ治まっていなかったのだ。
「お前には、まだまだ教えなくてはいけない事が……そして、教わらなくてはいけない事があるのだからな……アスカ」
魔法少女リリカルなのは 前衛の守護者、始まります。
なのはside
ジュエルシードを探すようになって、魔法が使えるようになってまだそんなに時間は経っていない。
なのに、私は考え込む事が多くなったような気がする。
最初は、魔法に驚いて、戸惑って。
でも、誰かの役に立てるって分かると、それが凄く嬉しかった。
ユーノ君に魔法を教わりながらのジュエルシード探しは、私にとって初めての人助けだった。
いつかジュエルシード探しが終わって、一つの思い出になって終わると思っていたけど、あの子……フェイトちゃんが現れた。
たぶん、私と同じぐらいの歳。
とてもキレイなのに、とても寂しそうな目。
こっちの話は聞いてくれなくて、問答無用でジュエルシードを奪いにきて。
なのに、立ち去る時は後悔しているように私は感じた。
ずっと悩んでいた。
フェイトちゃんはなんでジュエルシードを集めるのだろう?
なんで寂しそうな目をしているんだろう?
私は……どうすればいいんだろう?
ユーノ君に相談すれば解決するかな?
いや……多分だけど、ユーノ君に相談するのは違うような気がする。
私は、何を悩んでいるのだろう?分からない……
他に誰か、相談できる人がいれば……
もし、アリサちゃんやすずかちゃんにお話する事ができたら……ダメだ。
魔法なんて言っても信じてもらえるはずがない。
ずっと、そんな事を考えていたから……だから、怒らせちゃったんだ。親友を。
「いい加減にしなさいよ!」
バンッ!
激しく机を叩く音で私は我に返った。
前を見ると、怒った顔のアリサちゃんがいる。
「この間から何を話しても上の空でボーッとして!」
「あ……ご、ゴメンね、アリサちゃん」
「ゴメンじゃない!アタシ達と話しているのがそんなに退屈なら、一人でいくらでもボーッとしてなさいよ!いくよ、すずか!」
怒ったアリサちゃんはフン、ってソッポを向いて教室から出て行っちゃった。
「アリサちゃん……あ、なのはちゃん」
突然の事に、すずかちゃんはどうすれば良いか分からなくて戸惑っている。
心配かけちゃったな……
「いいよ、すずかちゃん。今のは、なのはが悪かったから」
無理に笑ってみせたけど、すずかちゃんは心配そうに見ている。
「そんな事はないと思うけど……とりあえず、アリサちゃんも言い過ぎだよ。少し話してくるね」
「うん、ゴメン」
すずかちゃんも、アリサちゃんを追って教室から出て行く。
分かってるよ。
アリサちゃんも、あんな事言っていたけど、凄く心配してくれている。
ただ、私が話さないから……きっと自分を責めているんだ。
「怒らせちゃったな……ゴメンね、アリサちゃん」
私の呟きは、アリサちゃんのは届かない。
outside
アスカは寝床のソファーに座って腕を組んでロフトを見上げていた。
ロフトからアルフが降りてきて、首を左右に振った。
「そうですか……」
なのはとの戦闘に勝利したフェイトだったが、激しい戦闘により体調を崩してしまった。
ここ数日、それでも無理を押してジュエルシード探索をしていたが、ついにダウンしてしまったのだ。
「熱は無いみたいだけど、やっぱり回復が遅いね」
主の心配をするアルフ。
「しばらくはジュエルシード探しを中断して、休養してもらいたいところですけど」
アスカも、フェイトの回復の遅さが気に掛かっていた。
(過労で体力と魔力の回復が遅れている……このまま戦闘を重ねていったら、取り返しの突かないことになる)
フェイトの限界がすぐそこまで来ているのではないかとアスカは考える。
「言ったって聞きやしないよ。フェイトにとってジュエルシード探しは大事な事なんだ」
アルフの呟きに、アスカは眉を顰める。
そして、彼女に背を向けて玄関に向かった。
「ナナシ、どこに行くんだい?」
「……海鳴市です」
「え?なんでさ?」
「ジュエルシードを探しに。オレが行って見つかる物でもないでしょうけど、少しでもフェイトさんの負担を軽くしたいんですよ」
アスカは振り返ってアルフを見る。
「夕方までフェイトさんを休ませてください。できれば、今日はこのまま休養して欲しいですけど」
そう言い残し、アスカは外に出て行った。
残されたアルフはロフトを見上げる。
「そりゃ無理だよ。フェイトは優しいけど、すっごい頑固なんだから」
諦めの混じった響きで、アルフは小さくため息をついた。
アスカside
15時過ぎくらいか、オレが海鳴市に着いたのは。そのまま当てもなく歩き続ける。
『どちらに向かわれるのですか?』
念話でラピが話しかけてきた。
『……別に。目的地なんて無いさ。ただ、何もしていないのが落ち着かなくてさ』
とりあえず海鳴市に来たのは良いが、当てなんか全くなかった。
一応、魔力反応はサーチしてるけど、覚醒状態じゃないジュエルシードを見つけるなんて不可能だ。
まさか魔力を打ち込んで強制発動させるわけにもいかないしね。
正直に言えば、何も出来ないままフェイトさんの側に居るのが辛かったから逃げ出してきたんだ。
ジュエルシード探しは、単なる口実に過ぎない。
あんな子供が、限界を越えてまで探すような代物じゃないぞ、ジュエルシードは。
なんか違和感を感じる。
……プレシア・テスタロッサがジュエルシードを必要としている。娘であるフェイトさんがその探索をする……別に不思議な事じゃない。
だが、あそこまで身を削ってまでやる事か?
何がフェイトさんをあそこまで駆り立てる?
プレシア・テスタロッサとは、どんな人物だ?
『ラピ、プレシア・テスタロッサについて分かる範囲で情報をくれ』
『了解です』
ラピのメモリー内にある情報が、オレの頭の中に流れてくる。
大魔導師、プレシア・テスタロッサ
元ミッドチルダ 中央技術開発局 第3局長
次元航行エネルギー駆動炉の研究と開発を担当し、それまでの次元航行艦のエンジンの常識を変えたとまで言われる程、優秀な研究者である。
36年前、次元航行艦エネルギー駆動炉”ヒュードラ”の運用に失敗。
中規模次元震を発生させ、その責任を負い地方に異動後、行方不明になる。
『……これだけか?』
『私のメモリ内部にあるプレシア・テスタロッサの情報は以上です』
『そっか……分かった、ありがとう』
概要ぐらいしか分からないか。元々、ラピのメモリにデータを入れていなかったオレの責任だな、こりゃ。
気になるのは、36年前の事故。10年後の情報だから、今からだと26年まえになるのか。
このヒュードラっていう駆動炉の事故、こいつがジュエルシードを集める切っ掛け……いや、無理があるか?
そもそも26年前には、ジュエルシードの情報なんてどこにも無かっただろうし。
最近になってジュエルシードの存在に気づき、それでフェイトさんに探させてるとか?
それこそ何の為にだ?26年前の失敗を帳消しにする為にジュエルシードを使う気か?今更だろ……いや、何か違う。
次元航行エネルギー駆動炉の事故に中規模次元震。この時に、プレシア自身に関わる何かが起きているとしたら?
それこそ、26年という年月なんか物ともしない何かが……そして、その何かの為にジュエルシードを必要としているとしたら?
……分からない……何かって何だ!?
でも、プレシアがこのジュエルシード事件の元凶だろうな。
実の娘をあそこまで消耗させる程の「何か」なのか?
クソッ!納得いかねぇ!
outside
放課後
なのはは一人家路へと着いていた。
ケンカをしてしまったアリサ、心配をかけてしまったすずかは習い事あるので、一人での下校だ。
(一人で帰るのって……そう言えば久しぶりかな)
ふと、昨日までの事を思い出す。
アリサの迎えの車に乗せてもある時もあれば、三人で仲良く話をしながら歩いて帰る時もある。
昼のアリサとの事もあり、淋しさがなのはの中に芽生えた。
「……寄り道して帰ろ。みんなに今の顔、見られたくないから」
そう呟いたなのはの目に、一人の少年が写った。
温泉にいった時の夜、フェイトの側にいた高校生くらいの少年。
「あの人は!」
その少年が目の前を歩いているのだ。
(何でこんな所に……まさか、ジュエルシードを探して!?)
暗澹とする気持ちを振り払うかのように、なのはは迷わず少年の後を追った。
その少年、アスカは当てもなくブラブラしていた。
魔力反応でもない限り、街に散らばったロストロギアを見つける事など不可能に近い。
それでもアスカは探し続けた。他にやるべき事を思いつかなかったからだ。
「ん?」
アスカは路上駐車をしている車に目を向ける。正確には、車のバックミラーをみた。
そこには、白い制服を着た少女が映し出されていた。
(高町隊長?!つけられたか?)
一瞬、動揺するアスカだったが、平静を装いそのまま歩き続ける。
数メートル離れて、なのはがその後を追いかける。
間違いなくアスカの事を尾行している。
『どーすっか?まさか向こうから仕掛けてはこないだろうけど』
相談できる相手と言えば、自分のデバイスしかないので、アスカはラピッドガーディアンに話しかける。
『結界を張らないでの魔導戦はさすがにマズイでしょうね。近くに公園があるようなので、そこで振り切りましょう』
過去に干渉しすぎる事で、未来にどのような影響があるか予測がつかない。
ラピッドガーディアンはそう提案した。だが、アスカは意外な言葉を出した。
『……いや、少し話してみるか』
『はい?い、いや、しかし!』
『正直、ここまで関わっちまったんだ。今更だろ』
そう言ってアスカは公園に向かった。
『マスター。過去に干渉しすぎると未来の結果が……』
『分かってるよ。でもさ……』
少ししか見えなかったが、バックミラーに写ったなのはの表情に陰りがあったのをアスカは見逃さなかった。
『……放っておけないよな、やっぱり』
なのはが魔法に目覚めたのはつい最近。
ユーノが色々と教えてはいるが、理解者が一人しかいないというのは心細いだろう。
アスカ自身は、魔法に目覚めた時は099部隊にいたので周りは魔法が使える者ばかりだった。
だが、異邦人であったアスカの気持ちを理解出来る者はいなかった。
(魔法が使えるようになった為の弊害……友達にも言えないってあるよな)
アスカは直感的になのはの抱える問題を悟っていた。
公園のベンチに腰を掛け、傾き掛かった日に照らされる海を眺めるアスカ。
しばらくそんな光景が続く。
「……そんな所に隠れてないで、出てきたらどうですか?」
穏やかな口調でそう言葉を出す。
ガサッ
背後の茂みが大きく揺れて、中から女子小学生が出てきた。
「……」
なのはは正面に回ってアスカを見る。目には強い警戒心が現れていた。
「こんにちは」
普通に挨拶をするアスカ。なのはからの返事はない。
「ここはキレイな所ですね。公園にはたくさんの緑があって、海も近い。最高の場所だ」
アスカは構わずに話を続けた。当然だが、なのはの表情は硬いままだ。
(まいったなぁ、ダンマリか?いや、何を話していいのか分からないのかもしれないな)
返事をしないなのはを見て、アスカは話のきっかけになればと、温泉の事を口にした。
「この間の温泉も自然豊かな場所だったですね。海鳴市は……「どうして!」……」
不意になのはが叫んだ。
「どうしてジュエルシードを集めているんですか!あれはユーの君の物なのに!」
当然と言えば、当然の質問だった。
訴えかけるなのはに、アスカは困ったように眉を寄せた表情を作った。
「さあ?オレが集めている訳ではないので」
そう言ってから、ハタとアスカは思った。もしかしたら、なのは達は自分がフェイトを使ってジュエルシードを集めていると勘違いしているのではないかと。
「……あなたがフェイトちゃんに言ってジュエルシードを集めさせているんじゃないんですか?」
どこか責めるような感じで、なのはがアスカを見る。
(ガーン!だな……オレ、そんなに悪人面か……)
悪意のない少女の容赦ない言葉に、アスカは地味に凹んだ。
「あー、ヤッパそういう風に見えちゃいますかねぇ~」
心のダメージを隠して、おどけて答えるアスカ。
「あなたはフェイトちゃんの何なんですか?兄妹には見えないし、使い魔ってのとも違うみたいですけど」
なのはが疑問に思って当たり前だろう。
いっしょにいたオオカミ、アルフはフェイトが生み出した使い魔。
なのはは、使い魔は生み出した主の命令を受けて仕事をするものだとユーノから聞いている。常に一緒にいるのも道理だろう。
だが、目の前にいる少年とフェイトの関係は、どういうものだろうか?
少年がフェイトを操っていると考えたとしても、なのはに罪はないだろう。
「オレ?オレは……迷子、かな?」
「迷子?」
意外な言葉になのはが驚く。
「次元漂流者って、聞いた事ありますか?」
その問いかけに、なのははフルフルと首を振る。
「今ここにある世界も次元世界の一つです。別の次元には、別の世界の住人がいます。オレは、別の世界から次元の壁を越えて地球に漂流してきたんです。事故でね。んで、行く当てなんかなくて途方にくれていた時に、フェイトさんが助けてくれたんです」
アスカの説明に、なのはは戸惑っていた。予想外の事に、どう反応して良いのかが分からないのだ。
「……それを信じろって言うんですか?」
なのはは警戒を解かなかった。
「…………いいえ。信じてもらわなくて良いですよ。オレ達とあなた達は、ジュエルシードを巡っての敵同士。相手の言う事なんか、簡単に信じなくて当たり前です。でも……」
アスカが立ち上がる。思わずなのはが後ずさった。
「今は信じてもらう時じゃないですから。でも、いつかきっと信じてもらえると思っています。例え敵同士でも、お互いを信じられる時がくると、そう思ってます。その為に、今は行動するとき……なーんて、ちょっとカッコつけすぎですね」
途中で照れくさくなったのか、アスカは苦笑してなのはに背を向けた。
「……」
なのはは、少年が立ち去って行くのをただ見ていた。
そして、その姿が見えなくなった時、ポツリと呟いた。
「今は行動する時……」
なぜか少年の言葉がなのはの中に残っていた。
(アリサちゃんとすずかちゃんには、まだ魔法の事は話せない。でも。いつかちゃんと話せる時がくるのかも……)
敵であるはずの少年の言葉が、僅かだがなのはの心の曇りを取り除いていた。
outside
高町家
家についたなのはは、ユーノと話をしていた。
「……そうか、ケンカしちゃったんだ」
今日、学校であった出来事を聞いたユーノは責任を感じていた。
自分が巻き込んでしまった、と言う思いが強くのし掛かる。
だが、なのはは気にした様子を見せずに笑う。
「違うよ。私がボーッとしてたから、アリサちゃんに怒られたってだけ」
「親友、なんだよね?」
「うん。入学してすぐの頃からずっとね」
それを聞いたユーノは俯いてしまう。
「はい。こっち、ユーノ君の分ね」
責任を感じて落ち込んでいるユーノに、なのははオヤツのタイヤキを渡した。
「あ、うん……」
それを受け取りつつも、やはりこの少女を巻き込むべきではなかったと考えるユーノ。
そんなユーノを仰天させる事を、なのはは口にした。
「あ、そうそう。帰る時にね、あの人にも会ったんだよ」
「あの人?」
誰を指しているのか分からず、ユーノは首を傾げる。
「うん。あの子……フェイトちゃんと一緒にいた男の人。少しお話したんだ」
ユーノは温泉の時にフェイトのそばにいた自分よりも年上の少年を思い出す。
「危ないよ!一人の時にそんな事をしちゃダメだよ!」
敵である人物との接触はリスクしかない。
なのはが余りに平然としているので、ユーノは唖然としてしまった。
「大丈夫だったよ。確かにジュエルシードを巡っての敵なのかもしれないけど……」
なのははその時に話した事をユーノに伝えた。
「次元漂流者」
ユーノには聞き覚えのある言葉であった。
この話を信用するのであれば、少年も魔導師である可能性が高い。
今のところ積極的に戦闘には参加していないが、この先は分からない。
ただ、次元漂流者と言うのも信じていいのだろうか?
正直に言えば、フェイトを操っているのがあの少年ではないかとユーノは思っていた。
言葉通りに受け取る事はできない、そう思った時……
「でね、その人が言ってたんだ。今は信じてもらう時じゃないって」
「え?」
「自分の言う事は信じなくて良いよって。ジュエルシードを取り合う敵の言うことなんか信じなくて良いって。でも、いつか信じてもらえる時がくるって言ってたよ」
「……」
どういうつもりでそのセリフを言ったのか?
ユーノには理解できなかった。だが、
「あの人達にも、きっと何か事情ってあるんだと思う。今は言えないような事情が。私も、アリサちゃんやすずかちゃんに、魔法使いって話せる時がくると思う。だから、今は怒られてもいいんだ」
「なのは……」
あの少年が何を考え、どういつもりかは分からないが、なのはの悩みの原因を少しは減らしてくれた事にユーノは気づいた。
(でも何でそんな事をなのはに言ったんだろう?敵ならプレッシャーをかけてくるだろうに。いったい何者なんだ?)
敵らしからぬ少年の言動に、ユーノは戸惑いを覚えた。
夕刻。
フェイトは目を覚ました。
(身体が重い……でも行かないと)
気を抜けば鈍くなりがちになる身体を無理矢理起こす。
「大丈夫かい、フェイト?」
その気配を察して、アルフが駆け寄ってくる。
「うん。そろそろ出ようか」
「もう少し休んでからの方が……」
「平気だよ。次のジュエルシードの大体の位置も掴めているし、母さんを待たせたくないんだ」
その時、窓から差し込む光の加減で、フェイトの背中に無数の傷が浮かび上がって見えた。
「広域探索の魔法はそれでなくても負担が大きいのに、フェイトってばロクに食べないし休まないし。その傷だって決して軽い物じゃないんだよ!?」
言っても無駄なのは分かっていた。だが、それでもアルフは言わずにはいられなかった。
もう何度も繰り返した会話だった。いつものようにフェイトが答える。
「だいじょうぶ、私は強いから」
言葉とは裏腹に、儚い少女の言葉にアルフは黙るしかなかった。
ふと、フェイトは居候の少年がいない事に気づいた。
「ナナシは買い物?」
「あいつなら、ジュエルシードを探しに先に行くってさ」
「そう……じゃあ、私たちも頑張らないとね」
ベッドから抜け出したフェイトがマントを羽織る。
「行こう、アルフ。ジュエルシードを探しに」
同刻、アスカは海鳴市を歩いていた。
夕方になのはと遭遇した以上の事は起きてはいない。
「……フェイトさんも動いたか」
足を止め、大きな魔力反応を察知するアスカ。それは高速で海鳴市に接近してくる。
そして、アスカはそれとは別に海鳴市にある強大な魔力反応を気にかける。
言うまでもなく、なのはの魔力反応だ。
「戦闘は避けられない……なら、オレはどう動く?」
自らに問いかけるが、答えは出ない。
『マスター。今はジュエルシードの発見を優先すべきでは?』
「だな」
アスカは、自分の魔力反応を極力抑えて、再び歩き始めた。
午後7時。なのはのタイムリミットだった。
「うーん、タイムアウトかも。そろそろ帰らないと」
肩に乗せているユーノに、なのはは話しかけた。
「大丈夫だよ。ボクが残ってもう少し探して行くから」
小学三年生のなのはが、いつまでも夜の街を歩き回っている訳にはいかない。
だが、フェレットであるユーノなら問題はない。
「うん……ユーノ君、一人で平気?」
「平気。だから晩ご飯、とっておいてね」
ユーノはそう言うと、なのはの肩から飛び降りた。
バイバイと手を振って、その不思議なフェレットは夜の街へと消える。
ユーノの姿が見えなくなると、なのはは家路へと急いで駆け出す。
(アリサちゃんとすずかちゃん、そろそろお稽古終わって帰る頃かな?)
立ち止まって携帯のメールを確認するが、新着はない。
「……大丈夫。いつかきっと分かってもらえる時がくるから」
なのはは自分にそう言い聞かせ、再び走り出した。
なのはとすれ違うように、フェイトとアルフが海鳴市のビルにたどり着く。
まだアスカとは合流をしていない。
「だいたい、この辺りだと思うんだけど……大まかな位置しか分からないんだ」
「あぁ、確かにこれだけコミゴミとしていると探すのも一苦労だぁね」
ため息をついてアルフが頷く。
ビルから見下ろすと、多くの車が行き来し、多くの人々がそこにはいた。
正攻法で探していたのでは、ジュエルシードは見つからないだろう。
「ちょっと乱暴だけど、周囲に魔力流うぃ撃ち込んで強制発動させるよ」
見つけだすのが難しいのであれば、燻り出す方法をフェイトは考えた。
バルディッシュを頭上に構えた時、
「あーっ!待った!それ、アタシがやる」
オオカミ形態のアルフがフェイトを止めた。
「大丈夫?結構疲れるよ」
「このアタシをいったい誰の使い魔だと?」
気遣うフェイトに、アルフは自信満々に応えた。だが、内心はフェイトの身体を心配している。
(やっぱ疲れているんだよ、フェイトは。少しは負担を軽くしないと)
アルフの心配を余所に、フェイトは微笑んだ。
「じゃあ、お願い」
それを受け、アルフが気合いを入れる。
「そんじゃっ!」
ミッドチルダ式の魔法陣が浮かび上がり、弾けるような魔力がアルフからほとばしる。
魔力流は間欠泉のように天を突き、街全体に広がっていった。
その異変にユーノが反応する。
「こんな町中で強制発動!?」
あまりにセオリーを無視したやり方にユーノが焦る。
このままジュエルシードが覚醒状態になれば、被害がどれだけでるか想像すらできない。
「広域結界、間に合え!」
「!」
なのはも、異変をすぐに感じ取った。
先ほどまでいた場所から大きな魔力を確認できる。
それと同時に、ユーノの結界が街を包み込もうとしているのが見えた。
なのはは元きた道を駆け戻りはじめた。
「レイジングハート、お願い!」
そして、その異変はアスカにも確認できた。
「ウソでしょ!?こんな町中で!!」
叫ぶと同時に走り出す。
「広域結界が張られてる?ユーノ先生か!間に合えよ!」
結界内部に潜り込む為に、アスカは加速を続けた。
稲妻が空を駆けめぐる。海は荒れ、空気がザワつく。
アルフの魔力に刺激されたジュエルシードの影響が街に現れていた。
次の瞬間、天を切り裂く青い光の柱が眩くそびえ立った。
「見つけた!」
青い光を目にしたフェイトの手に力が入る。
「……けど、あっちも近くにいるみたいだぁね」
ジュエルシードの発動と同じタイミングで周囲の空間が切り取られていくのが分かった。
広域結界。
つまりは、自分たち以外に魔導師がこの場所にいるという事だ。
また、あの少女が目の前にくる。
そう確信を得たフェイトはデバイスを構えた。
「早く片づけよう。バルディッシュ!」
ユーノの結界が通常空間を切り取る寸前に、アスカは滑り込みでその中に駆け込んでいた。
「あっぶねー!もうちょっとで閉め出される所だったぜ」
人目があったので、魔力走行を使わずに走ってきたアスカは肩で息をする。
だが、呼吸が整う前に、空を貫く青い光の柱を目にする事になる。
「ジュ……ジュエルシード!!」
すぐにでも走り出したかったが、まだ身体の準備ができていない。
(あと10秒……9、8……)
呼吸と体力の回復を頭の中で計算するアスカだったが、すぐに顔を強ばらせる。
二つの強大な魔力がジュエルシードに向かって放たれたからだ。
「もう二人は近くにいる!ヤバい!」
今の魔力の放出はジュエルシードを封印する為のものだったのだろう。
その証拠に、先ほどまで神々しいまでに輝いていた青い光の柱が消失していた。
「じゃあ、次に起こる事は……」
アスカがそう呟いた瞬間、4つの魔力反応が起こり、それが激しくぶつかり始めた。
「ですよねーっ!!」
アスカは魔力を足に込める。
「エリアルダッシュ!」
まだ何ができるかは分からない。だが、何もしない訳にはいかないと、アスカはジュエルシードの元に急いだ。
アスカが現場に到着した時には、すでに戦闘は開始されていた。
激しくぶつかり合うフェイトとなのは。
高度な魔導戦の傍で、ジュエルシードが光を放っていた。
「きゃーっ!あの子達、なにロストロギアの近くで戦っているのぉ!」
二人の戦っている場所を見て、アスカは青ざめる。
ロストロギア近くでの魔導戦。
ニトログリセリンの入った瓶を挟んで銃撃戦をやるようなものだ。
アスカでなくても青ざめるだろう。
だが、止めようにも今のアスカにはデバイスを起動することも、バリアジャケットを展開する事もできない。
二人の戦闘に乗じてジュエルシードを回収しようにも、まずフェイトとなのはの魔力が強大すぎて容易に近づくことができないのだ。
素早く周囲を見回すと、アルフとユーノが離れた場所で戦っている。
「何もできないのかよ、クソッ!」
己の無力に歯噛みするアスカ。何度、この砂を噛むような思いをした事か。
それでも、目の前の少女達の闘いからは目を逸らさなかった。
「何もできないなら……せめて、見守るだけでも……」
悲痛な思いで、アスカは二人の子供の戦闘を見つめていた。
何度となく空中で交差する幼い魔導師達。
なのはの後ろに回り込んだフェイトが、バルディッシュを振るう。
だが、なのははそれに反応して魔力移動で後ろを取り返す。
「短期間で近接戦に対応している!?」
先日の温泉での闘いの時は、間合いを詰められてなにもできないでいたなのはが、今は危なっかしいながらもフェイトの動きについていっている。
その対応力に目を見張るアスカ。
「フェイトちゃん!」
戦闘の最中、なのはが叫ぶ。
「!」
突如名前を呼ばれたフェイトの動きが止まった。
「話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらないって言ってたけど……だけど、話さないと、言葉にしないと伝わらない事もきっとあるよ!」
なのはが訴えかける。その目は真剣そのものだ。
「……」
その言葉に魅入られるように、フェイトはなのはを見つめる。
アスカもまた、なのはの言葉に耳を傾けている。
「ぶつかりあったり、競い合う事になるのは、それは仕方がないかもしれないけど……だけど!何も分からないままぶつかり合うのは、私、嫌だ!」
同い年の少女の発する言葉に、フェイトは動けなくなっていた。それだけ、この少女の言葉には力があった。
「私がジュエルシードを集めるのは、それがユーノ君の捜し物だから。ジュエルシードを見つけたのがユーノ君で、ユーノ君がそれを元通りに集め直さないといけないから、私はそのお手伝いで……
だけど!お手伝いをするようになったのは偶然だったけど、今は自分の意志でジュエルシードを集めている。
自分の暮らしている街や、自分の周りの人達に危険が降りかかったら嫌だから!」
なのははここで言葉を切り、そしてフェイトの目を見て言った。
「これが私の理由!」
迷いも淀みもない、偽りのない気持ちをぶつけたのだ。
シンプルながらも力強い想いがフェイトを揺さぶる。
アスカでさえ、9歳の少女の言葉に惹きつけられていた。
「……まっすぐな想い……か。この頃から変わってないんだな、高町隊長は」
幼いなのはの中に、未来の姿をダブらせるアスカ。
「……私は……」
「フェイト!応えなくていい!」
「!」「え?」
フェイトの気持ちが動きそうになった時に、二人の間を切り裂くようにアルフが叫んだ。
「優しくしてくれる人達の所で、ヌクヌク甘ったれて暮らしているガキンチョになんか、何も教えなくていい!」
その声に、アスカは眉を顰める。
(まるで自分たちは不幸だ、とでも言っているように聞こえるけど……プレシアとの関係はどうなっているんだ?)
嫉妬にも聞こえるアルフの言葉に、アスカは引っかかりを感じた。
「アタシ達の最優先事項は、ジュエルシードの確保だよ!」
吼えるアルフに、一度は動きかかったフェイトの気持ちが固まる
なのはに向かってバルディッシュを構えるフェイト。
「なのは!」「大丈夫!」
心配するユーノに、なのはは応える。
そのまま戦闘が再開されるか、そう思った瞬間、フェイトはジュエルシードに顔を向けた。
そして、なのはを無視してジュエルシードに迫る。
「あっ!」
フェイトの考えを理解したなのはもジュエルシードに向かう。
フェイトは戦闘よりもジュエルシードの回収を優先したのだ。
青く鼓動する宝石に目指して、2人の魔導師が同時にデバイスを突き出す。
交差するバルディッシュとレイジングハート。
その二つのデバイスに挟まれるジュエルシード。
僅かな間、静寂が訪れる。
「……ヤバい!」
フェイトもなのはも、アルフも、ユーノですら事の重大さが分かっていなかった。
唯一、レリック回収を任務としていたアスカだけが、この次の展開を読んでいた。
「「あっ!」」
バルディッシュとレイジングハートに亀裂が走る!
それが合図であったかのように、ジュエルシードが大きく脈動して爆発的な青い魔力が放出された。
「きゃああぁぁぁぁぁ!」「くっ!」
なのはとフェイトが弾き飛ばされる。
「フェイトさん!」
不慣れな飛行魔法とエリアルダッシュを駆使して、アスカはフェイトを抱き留めた。
「ナ、ナナシ……」
大出力の魔力に当てられたフェイトは、意識朦朧としている。
アスカはフェイトを抱えたまま、なのはの方を見る。
同じく大出力の魔力を浴びた筈のなのはは、なんとかバランスを保って地上に着地した。
(コンディションの差がここまで出ているとは……っと、それどころじゃない!)
ジュエルシードの魔力放出は収まるどころか、激しさを増していった。
青い魔力の奔流が空間を飲み込もうとしている。
「このままじゃオレの二の舞になる!フェイトさん、飛べますか?」
「え?う、うん」
頷いたフェイトを離したアスカは、ジュエルシードを睨んだ。
「何をするつもり……」
フェイトの言葉が終わらないうちに、アスカはエリアルダッシュでジュエルシードに迫った。
「ナ、ナナシ!危ないよ!」
フェイトが悲鳴をあげるが、アスカは止まらなかった。
「バカ!戻れ!」
アルフも叫ぶ。まさか、あの少年がこの魔力の海に飛び込むとは思ってもいなかったのだ。
(あいつ、躊躇なく飛び込みやがった!)
アルフの脳裏に、これまでの少年の行動が思い出される。
それほど大した奴ではなかった筈だった。
温泉の時に少し怒られた時ですら、アルフは少年を認めてはいなかった。
「どうして……そんな事ができるんだい?」
命すら落としかねないロストロギア暴走の中心に向かった少年に、アルフは呟いた。
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
青い魔力がアスカを押し返そうとする。
高密度の純粋な魔力は、それだけでも充分な凶器である。
魔力を受けたアスカにダメージが蓄積されるが、それでも彼はジュエルシードに手を伸ばす。
「く……そ……よし、捕まえた!」
アスカの両手がジュエルシードを捕らえる。だが、指の間から漏れる魔力は収まる気配がない。
『ラピ!シーリングプログラム始動!封印開始!』
『了解!』
捕らえて、なお青い魔力に包み込まれているアスカが、己の白い魔力でそれを封じ込めようとする。
手の中で暴れるジュエルシード。それを抑えようとするアスカ。
青い魔力が容赦なくアスカを襲う。
「く……暴走なんか……させるかよ!」
最大限に魔力を加速させ、力を増大させるアスカ。
封印の力を反発させようとするジュエルシード。
その反動でアスカの手の肉が裂けた。
青と白の光の中で、赤い物が噴霧される。
「ナナシ!」
フェイトが悲痛な声をあげる。
「静まれ……ジュエルシード……静まれ!」
必死に封印作業をするアスカ。
なのははその姿をただ見つめる事しかできなかった。
青い光に包まれ、手を合わせる少年。
なのはの目には、その姿が光の中で祈りを捧げる聖職者のように写った。
「何で、そこまでして……」
光の中でジュエルシードと戦う少年を見て、なのはは呟いた。
自分にも戦う理由はある。そして、おそらくフェイトにも。
だが、この少年には、ここまで身体を傷つけてまで戦う理由があるのだろうか?
もしあるのなら、それはどんな理由なのか?
少なからず、なのはは少年の事が気になりだしていた。
「ジュエルシード、封印!」
バン!
短い衝撃があり、青い魔力の奔流が唐突に途切れた。
静まり返った爆心地に、アスカが立っていた。
ポタ、ポタ……
重ね合わせた手からは、血がしたたり落ちている。
手だけではない。
魔力に切り裂かれた腕や脚、それこそ体中にその傷はあった。
「ナナシ!」「このバカ!」
フェイトとアルフがアスカに駆け寄る。
「なんて無茶をするんだい!」
言葉とは逆に、アルフの目には心配の色が浮かんでいる。
「……」
アスカは手の中のジュエルシードを見て、そして、なのはに目を向けた。
「?」
その視線に、なのはが戸惑う。
「……こちらで封印しました。こっち預かり、でいいですね?」
落ち着いた少年の言葉に、なのはコクリと頷く。
「……は……い、フェ…イトさ……」
アスカはフェイトにジュエルシードを手渡そうとして、膝から崩れ落ちた。
「「ナナシ!」」
フェイトとアルフがアスカを支える。
少年は気を失っていた。
「帰るよ、フェイト!」
傷だらけのアスカを、アルフが背負う。
「早く戻ろう!」
戦っている時は冷静だったフェイトが、今はハッキリと焦っている。
「あいよ」
アルフはなのはにもユーノにも目をくれずに飛び上がった。
それを後ろから守るようにしてフェイトが続く。
三人は瞬く間に消えてしまった。
「……」
残されたなのはは、手の中のレイジングハートを見る。
亀裂が入り、重大なダメージを負ったのは明らかだ。
「ケガは無い?なのは」
ユーノがなのはの肩に駆け上がる。
「うん、大丈夫。でも、あの人は……」
「デバイスもバリアジャケットも無しであの魔力の飛び込むなんて無茶だよ。せめて、ボクが治癒魔法をかけてあげたかったんだけど」
なのはと同じように、ユーノもアスカの事を気にかけていた。
敵ではあるが、敵じゃない。
そんな相反する想いが、ユーノの中に浮かび上がっていた。
後書き
申し訳ありません、これでしばらく間が空きます。再開目途はたってませんが、なるべく早く復帰したいとは考えてます。
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