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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十話 八神、都に来るのことその三

「できればです。その思いつかれたことはです」
「忘れて下さい」
「わたくしがよからぬことをするといいますの?」
「違いますか?それは」
「いつもではないですか」
「そんな自覚はありませんわ」
 袁紹は二人にはっきりと言い切る。
 そしてだ。こんなことを言うのであった。
「ギースさんをですね」
「ああ、あの人も来ていますね」
「そういえば」
「あの方の好きな音楽ですけれど」
 袁紹は何かを企む笑みで言っていく。やけににこやかだ。
「ゴッドファーザー愛のテーマを」
「その曲をどうするのですか?」
「一体」
「都全体にかけそのうえで」
 さらにだった。袁紹は言った。
「そうして」
「さらにですか」
「まだあるんですか」
「歌だけではありませんわ」
 それに留まらなかった。よくも悪くも袁紹は派手好きだ。
 その彼女がだ。今高らかに言うのだった。
「鰻ですわ」
「鰻ですか」
「またですか」
「そうですわ。鰻に海鼠に納豆に」
 ぬるぬるしたものばかりだ。
「山芋に」
「そうしたものをどうされるんですか?」
「揃えられて」
「勿論。そのぬるぬるの中で鰻や海鼠を掴んで」
 さらにだった。袁紹のにこやかな笑みは続く。
「前進納豆や山芋にまみれて食べるのですわ」
「あの、凄く匂いがしそうなんですけれど」
「しかも痒そうですね」
「女の子が全員ぬるぬるになって」
「白く汚れたりして」
「如何でして?」
 袁紹は得意満面でまた姉妹に問うた。
「この企画は」
「はい、却下です」
「絶対に止めて下さい」
 二人は何の容赦もなく主に駄目出しをした。そしてこう言うのだった。
「陳琳ちゃんに文を書いてもらいましょう」
「蔡文姫もいますし」
 それでだというのだ。
「それで済ませましょう」
「如何でしょうか」
「地味ですわね」
 二人の提案にだ。袁紹は極めて不機嫌な顔になる。
 それでだ。こう言うのだった。
「そんなことをしても面白くも何もありませんわ」
「あの、ですがそれはです」
「ぬるぬるして汚れて」
「女の子達限定ですよね、しかも」
「幾ら何でも淫靡に過ぎます」
「いいと思いましたのに」
 袁紹は難しい顔で話していく。
「けれどそれはですわ」
「私達の提案はですか」
「受け入れてもらえませんわ」
「いえ、それは採用させてもらいますわ」
 姉妹のそうした袁紹から見て大人しい考えはというのだ。 
「ただですわ」
「それでもなんですね」
「そのいつものぬるぬるは」
「どうしても駄目ですのね」
 不機嫌そのものの顔で二人を見て問うた。
「それは」
「はい、何度も申し上げますがお止め下さい」
「何でしたら華琳様とも御相談になって」
「華琳は絶対に反対しますわ」
 それはわかっていた。既にだ。
「全く。あの娘も」
「問題があると仰るのですか」
「あの方が」
「そうですわ。いい考えをいつも」
「曹操殿に深く感謝します」
「いつも麗羽様を止めて頂いて」
「困ったことですわ」
 袁紹にとってはそうだった。まさに。
 
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