イベリス
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第二十五話 アルバイトもしてその十三
「お金がなくなっていくのよ」
「そうしたもので」
「しないことよ、それこそ年棒五億あってもね」
「あっという間になくなるわね」
「それで後で言うことになるのよ」
ここで母はまた言った。
「自分が稼いだお金何処に行ったって」
「物凄く馬鹿な言葉ね」
「それを言わない為にもね」
「無駄遣いはしない」
「それは守ってね」
「そうするわ」
母に強い声で答えた。
「これからもね」
「そうしてね」
「お金があってもなのね」
「そう、幾らあってもね」
それでもというのだ。
「無駄遣いはね」
「禁物ね」
「そうよ、いいわね」
「注意するわね」
「そうしてね」
母は娘に言った、そして。
モコを見てだ、こうも言った。
「モコは無駄遣いはしないけれどね」
「犬だからね」
「それは当然だけれどこの娘頭いいから」
だからだというのだ。
「悪いことしないから」
「それでよね」
「人間でもね」
「無駄遣いする娘じゃないわね」
「絶対にね。そうしたところはね」
「見習わないといけないわね」
「人間とか犬とかはね」
生きものとしての種族の違いはというのだ。
「あまりね」
「考えないでいいわね」
「いいと思ったところはね」
「見習わないとね」
「そうよ、ちゃんとね」
それはというのだ。
「大事なことよ」
「モコのいいところも見てね」
「見習うべきね」
「そうね、お母さんもね」
母もというのだ。
「モコを見てね」
「お手本にしているところもあるのね」
「この性格のいいところはね」
是非にというのだ。
「見習わないとね、人間でも悪い部分があれば」
「そこは反面教師にしないとね」
「駄目だから」
「それはそうよね」
「本当に若しモコが人間だったら」
「どれだけいい娘か」
「そう思うわ」
こう咲に話した。
「ルックスもいいし」
「トイプードルの中でもね」
「だから人間なら」
それならというのだ。
「どれだけいい娘か」
「わからないわね」
「そうも思うわ、こんないい娘いないわよ」
「そうね、モコそういうことだから」
咲は母の話を聞いてモコに笑顔で声をかけた。
「あんた人間だったら素敵よ」
「ワン?」
「犬でも凄く素敵だけれどね」
自分の言葉にケージの中から怪訝な声をあげたモコにさらに話した、その言葉は暖かいものであった。
「人間になってもね」
「そうね、けれどね」
ここで母はこうも言った。
「どの家でもこう言うわね」
「うちの犬が一番だって」
「猫でもね」
「そうなのね」
「種類に関係なくね」
「うちの子が一番って言うのね」
「可愛がってるからね」
だからだというのだ。
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