イベリス
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第二十五話 アルバイトもしてその八
「本当にね」
「魅力的ですか」
「お住まいもわからないしね、そちらでの生活も」
「想像出来ないものがありますね」
「多分独身でしょうけれど」
「結婚されてないですか」
「左手に指輪ないしね」
薬指にというのだ。
「それ見たらね」
「結婚は、ですか」
「されてないわね」
そうだというのだ。
「あの方は」
「そう言われると結婚の気配も」
「ないでしょ」
「全く」
「生活臭もないし」
「何かプライベートが」
「本当に謎でしょ」
「はい」
咲も答えた。
「本当に」
「そうしたところがまたね」
「いいんですね」
「それと道玄坂の魔法のアクセサリーのお店の店長さんと仲がいいみたいなの」
「あそこですか」
「そうみたいなの」
咲にこのことも話した。
「どうやらね」
「そうなんですね」
「またそのお店の店長さんが凄い美人さんらしいの」
「そういえば評判になってますね」
「魔法が実際に効果あるみたいで」
それでというのだ。
「そのうえでね」
「店長さんも美人さんなんですね」
「黒のスーツとズボンが似合うぞっとする位のね」
「美人さんですか」
「女の人でも付き合いたいと思う位の」
そこまでのというのだ。
「美人さんだってね」
「評判ですか」
「それで店長さんはね」
「その人と仲がいいんですね」
「ただ付き合ってはないわね」
それはないというのだ。
「どうもね」
「美人さんでもですか」
「お付き合いしたら美男美女の組み合わせだと思うけれど」
それでもというのだ。
「どうもね」
「店長さんお付き合いはしていないですか」
「みたいね、というか店長さん女性の気配もないでしょ」
身の回りにというのだ。
「そうでしょ」
「ですね、生活臭もなくて」
そしてというのだ。
「それで」
「女性の気配もね」
「ないですね、おトイレに行く感じも」
「ああ、それもないわね」
「不思議と」
「人は誰でも行くけれどね」
トイレにはというのだ、人は生きている限り食べたり飲んだりせねばならずその結果として排泄も絶対だからだ。
「けれどね」
「店長さんはですね」
「おトイレとかもね」
「行く感じしないですね」
「どうもね」
こう言うのだった。
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