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イベリス

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第二十五話 アルバイトもしてその六

「美形ですよね」
「そのスーツもね」
「青のスーツで」
「白いコートの裏地は真っ赤でね」
「ブラウスは白でネクタイも赤で」
「靴は黒でね」
「はい、ファッションもよくて」
 そしてというのだ。
「凄く」
「あれ多分五行思想の風水ね」
「あっ、陰陽道とか道教ですね」
「貴女も知ってるのね」
「漫画やゲームでもよく出てきますから」
 もっと言えばライトノベル等にもだ。
「ですから」
「知ってるのね」
「青、赤、黒、白そして黄色ですね」
「そう、その五色に陰陽ね」
「季節や方角や司るものがあって」
「四霊獣とかいてね」
「それで店長さんは」
 その速水はというと。
「その色をですね」
「ファッションに入れられているわね」
「そうですね。ただ黄色は」
「あっ、それないわね」
「どうしてでしょうか」
「さあ。若しかしたら」
 大学生は少し考えてから答えた。
「店長さんいつも左目隠しておられるでしょ」
「髪の毛で」
「その左目に実はカラーコンタクト入れてるとか」
「黄色の」
「それがね」
「黄色ですか」
「そうだったら面白いわね」
 咲に笑って話した。
「まあ店長さんの左目誰も見たことがないけれど」
「覗こうとした人もおられないですか」
「何かあの髪の毛絶対にめくれないらしいの」
「風が吹いても」
「そうなってもね」
 それでもというのだ。
「絶対なのよ」
「めくれなくて」
「それで左目はね」
 速水のそれはというのだ。
「誰もね」
「見た人がいないんですね」
「ええ。店長さん実は謎が多い人だけれど」
「そういえばずっとここにお店持っておられますね」
 咲は聞いた話をここで出した。
「確か」
「結構前からね」
「お幾つかもですね」
「不明よ」
「そうですか」
「何でも高校は神戸の高校で」
「あれっ、東京生まれじゃないんですか!?」
 咲はその話に少し驚いて聞き返した。
「店長さん」
「ご出身はそうだけれど」
「それでもですか」
「噂では高校は神戸の高校で」
 関西のこの街のというのだ。
「八条学園らしいわ」
「八条学園って私もですよ」
 咲はすぐに答えた。
「東京校ですけれど」
「小山さんはそうよね」
「はい、そうです」
「それで店長さんはね」
「神戸の方ですか」
「本校になるわね」
「そうなりますね」
 今度はその通りだと答えた。 
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