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レーヴァティン

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第二百二十三話 奥羽に目をその十

「それでもぜよ」
「人は襲わないな」
「元々狼は人を襲わんが」
「ニホンオオカミは特にな」
「山におってぜよ」
 そうしてというのだ。
「山の獣の味に親しんでのう」
「人を襲うことはな」
「ほぼなくてしかもぜよ」
 さらにというのだ。
「小さいぜよ」
「他の種類の狼に比べてな」
「だからぜよ」
 ニホンオオカミは実は他の種類の狼とは細かく言うと種類が違う、ニホンオオカミ科とされ身体の構造もやや違っているのだ。
「尚更ぜよ」
「人は襲わない」
「そうぜよ」
 こう英雄に話した。
「そして家畜もぜよ」
「ほぼ同じだな」
「間違っても大人の牛や馬は襲わん」
 大型の家畜はというのだ。
「そしてぜよ」
「他の家畜もな」
「他の狼より襲わんぜよ」
「そういうことだな」
「だからそんなに恐れることはなく」
「駆除等もな」
「することはないぜよ、むしろ」 
 当季は笑って話した。
「畑のこと考えるとのう」
「駆除すべきでないな」
「そうぜよ」
 そうなるというのだ。
「まっこと狼は『おおかみ』ぜよ」
「農業から考えるとな」
「畑を荒らす獣を食ってくれる有り難い存在ぜよ」
「それがよおわかったわ」
 耕平はカレーと一緒に出されている牛乳を飲みつつ言った、味の組み合わせだけでなく栄養も考えて出されている。
「この世界に来て」
「実際にニホンオオカミを見てな」
「狼は悪い生きものやないわ」
「人にとってな」
「怖くもない」
「有り難い存在だな」
「獣害も馬鹿にならんわ」
 畑を荒らすそれのだ。
「起きた世界でも聞いてるけれどな」
「農家はな」
「そう聞いてたけどな」
「実際にな」
「政で関わるとな」
 そうすると、というのだ。
「ほんまにな」
「わかるな」
「その身でな、折角作った畑の作物食われる」
「それをどう防ぐか」
「政としても問題や」
「そしてその解決の一手段としてな」
「食物連鎖があってな」
 自然のそれがというのだ。
「その中にニホンオオカミがおる」
「ならだ」
「その狼達に畑を荒らす獣を食ってもらう」
「ならだ」
「狼は駆除したらあかん」
「要は牧場に近付けない様にしてだ」
「護り固めたらええわ、それでや」
 その様にすればというのだ。
「もうな」
「狼は来ない」
「諦めて獣の方に行って」
「そのまま獣害を防いでくれる」
「そやな」
「だから俺もだ」 
 英雄もというのだ。 
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