ドリトル先生と幸せになる犬
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第十一幕その四
「ですから子育ては経験がなくわかりません」
「ならですよ」
「このことは」
「ですが家族は分け隔てしないものです」
子育てではなくそちらから言うのでした。
「そして無視しません」
「無視?」
「子育てしていたのに無視ですか」
「ふわりを一日中ケージの中に入れてお散歩に行かず遊びもせず見向きもしない」
「だから子育てですよ」
「そっちに忙しかったんですよ」
「それは理由になりません、生きものを飼っているなら」
それならというのです。
「面倒を見ることは義務です」
「義務?」
「義務だっていうんですか」
「子育ては親の義務であり」
そしてというのです。
「ペットをちゃんと飼うことも飼い主の義務です」
「子育てが忙しいのに」
「それでもですか」
「それを両立させてこそです」
まさにというのです。
「飼い主、親、家族です」
「じゃあ赤ちゃんがどうなってもいいんですか」
「目を離せないのに」
「どれも出来ないと」
また答えた先生でした。
「駄目です」
「それでふわりをずっとケージに入れていてですか」
「それは駄目だっていうんですか」
「問題外です」
「問題外?」
「そうだっていうんですか」
「はい、それは飼育放棄です」
まさにそれだというのです。
「貴方達はふわりにそれをしたのです」
「何処がですか」
「ちゃんと家の中に入れていましたよ」
「ご飯もあげていました」
「忘れることがあっても餓え死にしていませんよ」
二人はさらに言いました。
「それの何処が飼育放棄ですか」
「お水もあげていたのに」
「ですがお散歩も行かず遊びもせず見向きもせず」
そしてというのです。
「ふわりが鳴いて居場所を知らせても振り向きませんでしたね」
「育児してましたから」
「当然です」
「犬のことになんか構っていられません」
「人間と犬は違いますから」
「・・・・・・・・・」
先生達以外の皆はさらに嫌なお顔にとなりました、見れば皆本当に嫌な言葉を聞いた、そうお顔に出ていました。
ですが二人は皆のそのことにも気付かず言うのでした。
「生きてたらいいですよね」
「それで」
「トイプードルはブラッシングが必要ですが」
先生はこのこともお話しました。
「ふわりをケージに入れてから一度もしていませんね」
「そうしなくても生きていけます」
「いいじゃないですか」
「お風呂に入れたり美容院にも連れて行きませんでしたね、ケージに入れてから」
「だから言ってますよね」
「死なないって」
二人の言うことは変わりませんでした。
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