| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百二十二話 採られない戦術その五

「それはな」
「モンスターとの戦闘に使うならいい」
「しかしな」
「戦にみだりに使うものではない」
「戦の場にいるのは将兵だけじゃない」
「そういうことだ、ではな」
「ああ、使わない」
 久志はあらためて自分の考えを述べた。
「俺はな」
「そうしてくれ、ではな」
「ここまで覚悟決めた奴だ、そして民を絶対に戦に巻き込まない様にする」
「以前も自分だけ逃げていないな」
「絶対に家臣や兵達も逃がしている」
「その気構えは確かだ」 
 連合王国の王のそれはというのだ。
「どうもな、ならな」
「ああ、戦で降すことも出来るが」
「それだけの気構えの人物となるとだ」
「話してみたいな、だからな」 
 そう思ったからだというのだ。
「俺はな」
「これからだな」
「街に使者を送ってな」
 そうしてというのだ。
「王様とな」
「話をするな」
「そうするな」
 こう言ってだった。
 久志は城に使者を送ることにした、その使者にこう言った。
「俺が会ってな」
「お話をしたいとですね」
「そうしたいとな」
「敵の王に伝えればいいですね」
「そうしてくれ」
 こう使者に話した。
「いいな」
「わかりました」
 使者も応えた、そうして城の中にいる敵の王に話した。その後で彼は久志のところに戻って来てそうして話した。
「あちらもです」
「会うとか」
「答えてくれました、ただ場所は」
「あっちから言って来たか」
「はい、城の正門の橋の上で」 
 そこでというのだ。
「お互いに武装を解いて」
「そうしてだな」
「お会いしたいと」
「橋の上ならな」 
 それならとだ、久志は頷いて言った。
「お互いにな」
「中間ですね」
「敵の城から出る橋でもな」
 そうした架け橋でもというのだ。
「そうなるな」
「だからですね」
「相手も申し出てきたな」
「そうなのですね」
「だったらな」
 それならとだ、久志は言った。
「その申し出にな」
「応えられますか」
「ああ」
 そうするというのだ。
「是非な」
「そうですか、ですが」
「俺が橋に来たらか」
「急に橋を上げて」 
 そうしてというのだ。
「陛下を城の中に入れ」
「捕虜にするか殺すか」
「そうした危険は」
「相手の王様はそうした卑怯なことはしないな」
 笑ってだ、久志は使者に出たその者に答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧