童心
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第一章
童心
保育園で教師をしている水橋英美里は一五五位の背で脚は奇麗だが胸はあまりない。八重歯が目立つ白い歯で可愛い感じの垂れ目で黒髪を短くしている。
その彼女が保育園にいる子供の一人松田雄太の絵を見て言った。
「あれっ、この絵って」
「独特よね」
「そうですよね」
先輩の先生と一緒に彼の絵を見つつ言った。
「この絵って」
「子供の絵ですけれど」
「何か妙に印象的で」
「記憶に残りますね」
「そんな感じですね」
「若しかして」
英美里は考えつつさらに言った。
「松田君は凄くなるかも知れないですね」
「この絵は」
「そんな気がしましたけれど」
「そうね」
実際にとだ、先輩も頷いた。
「私もそんな感じがするわ」
「そうですよね」
彼の絵を見つつ話した、そして。
雄太は絵を描き続けた、彼の絵はやはり子供のものであったが色彩やタッチが非現実的なものがあった。
それが幼稚園そして小学校にまでなると。
「子供の絵だけど」
「それでもな」
「何か印象的だな」
「いい絵よね」
「妙に」
多くの者がその絵を見て述べた、そして。
彼の絵は周りが進めコンクールにも出された、するとさらに話題になり。
彼は中学高校で神童と持て囃されそのうえでだった。
日本どころか世界でも話題になり美大には大学の方から声がかかって入学した。それで絵を描き続けているが。
彼自身は周りについて親しい人に言っていた。
「何でこんなに騒ぐのか」
「わからないんだ」
「そうなんだ」
「僕はただ絵を描きたいだけで」
見れば今も描いている、タッチは子供の頃から変わっていない。それは色彩もだ。
「それでだよ」
「描いているだけなんだ」
「君は」
「それだけだよ、好きな絵をね」
それをというのだ。
「子供の頃から」
「いや、その絵が素晴らしいからだよ」
「芸術的にね」
周りはこう話した。
「だからね」
「君の絵は話題になっているんだよ」
「芸術ね、描きたいから描く」
彼の返事は変わらなかった。
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