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夏でも危ない

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第一章

                夏でも危ない
 雪本一司は酒好きだ、外見は一六八位の背で度のある眼鏡をかけた童顔で髪型は黒髪をセンターで分けたもので痩せている。
 職業は牛丼のチェーン店の店長で真面目に働きかつ店員の面倒も接客もそうで家庭でもそうであるが。
 無類の酒好きだ、それで家に帰っても妻の典子にいつも言っていた。
「俺はやっぱりさ」
「お酒よね」
「これがないとな」 
 家でストロングのグレープフルーツを飲みつつ話した。
「駄目なんだよ」
「本当にお酒好きね」
 黒髪を伸ばし大人しい顔立ちで一五七程の背の痩せたスタイルの妻はこう返した。
「あなたは」
「ああ、けれどいいよな」
「ええ、別に酒乱でもないしね」
「飲むけれどな」
「お金のかかる飲み方でもないし」
 いつも酒自体もつまみも安いものだ、彼は飲めればいいのだ。
「それだとね」
「だろ?身体には気を付けて」
 一司はこのことも忘れていない。
「そうしてな」
「飲んでいくのね」
「そうしていくよ、飲んでこそ」
 つまみのポテトチップスを齧りつつ話した。
「人生だよ」
「あなたの場合はそうね」
「だから飲んでいくよ」
 妻に笑顔で言ってだった。
 一司はストロングの五〇〇を三本開けた、週に何度かそうしていた。そのうえで酒を楽しんでいたが。
 この日は食べ放題飲み放題の店に行って飲んで帰ってきた、家に帰ってシャワーを浴びて歯も磨いたが。
 下着、トランクスとシャツの恰好でリビングに倒れ込んだ、妻はそんな夫に対して言った。
「ベッドまで行ったら?」
「ちょっともう限界だから」
「そこで寝るの?」
「今日はね」
「せめてソファーの上で寝たら?」
「そこまでも無理だから。シャワー浴びて歯を磨いてね」
「力尽きたのね」
「身体奇麗にしたし服着たしいいじゃない」
「下着だけれどね」
「それでも裸じゃないから」
 それでというのだ。
「いいよね」
「全く。じゃあこのまま今日は」
「ここで寝るよ」
「かけるものいる?」
「真夏だし暑いしいいよ」
 この日はかなり暑かった、それも蒸し暑い。何と今年一番の暑さだった。
 それでだ、夫は妻に寝転がったまま言った。
「このままね」
「そこで寝るのね」
「うん、奥さんはベッドでね」
「一人で寝てっていうのね」
「今日はね」
「全く。じゃあおや休みなさい」
「うん、お休みなさい」
 こうしてだった、一司はリビングに寝転がったまま寝た。典子はベッドに入って寝た。そして朝になると。 
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