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レーヴァティン

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第二百二十一話 道を調べたうえでその一

                第二百二十一話  道を調べたうえで
 久志は仲間達と共に抜け道の中を進んでいった、道は薄暗くまるで下水道の様であり苔の匂いに満ちていた。
 その中を進みつつだ、久志は言った。
「足場は悪くないな」
「普通に進めるな」 
 芳直も言ってきた。
「これ位だと」
「走ることもな」
「出来る位だな」
「これだと鎧や兜を脱ぐとな」
「かなり速く走れてな」
「すぐに逃げられる」
「そうだよな」
「実際にな」
 芳直はここで術で灯りを灯した、そうして道を詳しく見ると。
 苔に道の端を走る鼠、壁のヤモリや虫達と共に。
 鎧や兜もあった、無造作に捨てられたそれを見て言った。
「こうしてな」
「捨てられてるな」
「身軽になってだ」
「それで一目散に逃げたな」
「これではだ」
「俺達は追い付けないな」
「歩いている人間が走っている人間に追い付けるか」 
 芳直は冷静な声で述べた。
「それはだ」
「無理に決まってるな」
「だからだ、もうだ」
「俺も最初からそれはな」
「諦めているな」
「部屋に鍵がかけられていた時点でな」
 宮城の王の間の扉にというのだ。
「もうこれはな」
「間に合わないと思ったな」
「だからな」 
 それでというのだ。
「今はな」
「逃げる敵を追うでなくな」
「この抜け道をな」
 これ自体をというのだ。
「調べるな」
「それが目的だな」
「ああ、この道を通ってな」
 そしてというのだ。
「出口までな」
「行くな」
「それで引き返す」
 その様にするというのだ。
「そうするな」
「追い付けたらそれでよしか」
「ああ、まあ敵も追って来るって思ってな」
 久志はこうも言った。
「出口に蓋したりな」
「出口から毒を入れることも有り得るわね」
 留奈はこのことを危惧していた。
「若しかしたら」
「毒ガスな」
「ええ、こうした地下の通路ではね」
 まさにというのだ。
「毒ガスは一番効果的よ」
「そうなんだよな」
「どんな複雑な地下迷宮でもね」
「そこに敵が大勢潜んでいてもな」 
 迷宮の地の利を活かしてだ。
「それでもな」
「毒ガスを使ったらね」
「一発だからな」
「術で毒霧を出せば」
 錬金術の術の一つだ、ただしその及ぶ範囲は術を使う者の能力によって大きく左右される。このことも需要である。
「それでね」
「毒ガスになるからな」
「簡単にね」
「優れた錬金術師が使うとな」
 その毒霧の術をというのだ。 
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