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コワモテ教師の正体

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第一章

                コワモテ教師の正体
 平穏経市は大柄で丸々と太っている、細い目で髪の毛をパーマにしている。そしていつも竹刀を持っており。
 勤務している高校の生徒を威圧し居丈高に怒鳴っていた、それでだった。
「桐生も嫌いだけれどな」
「渡井平穏も嫌いよ」
「俺もだよ」
「いつも威張り散らして」
「それで怒鳴ってばかりで」
「傲慢な歩き方で」
「肩をゆすってヤクザみたいに歩いて」
 そうしていてというのだ。
「剣道部の顧問だけれどいつも暴力ばかりで」
「生徒泣かせて笑って」
「しかも受け身知らない生徒を床の上で背負い投げとか」
「あんな暴力教師いなくなれよ」
「私達生徒を何と思ってるのよ」
「桐生と一緒に早くいなくなればいいのに」
「そうよね」
 こうしたことを言っていた、そして。
 誰もが平穏を忌み嫌っていた、桐生も嫌われていたが平穏も同じであった。兎に角生徒達からは威張り散らす暴力教師として嫌われていた。
「そういえば桐生は怒るけれどな」
「殴ったり蹴ったりは絶対にしないのよね」
「平穏は普通に殴って蹴ってね」
「そして罵ってくるけれど」
「じゃあ桐生の方がまし?」
「いや、一緒でしょ」
 こうしたことを話していた、そして。
 兎に角平穏を避けていた、しかし彼の残虐なまでの暴力を振るう生徒達は彼の前では委縮してファ部下と頭を下げた。すると。
 平穏はその彼等の前をふんぞり返って通ってウッス、と挨拶を返すだけだった。兎角傲岸不遜な態度だった。
 その平穏がグラウンドで生徒達を怒鳴りつつ授業をしていると。
 校門から虚ろな視線で何かブツブツ言っていて手にナイフを持っている男がやって来た、グラウンドを走っている生徒達は男に気付いた。
「何だあいつ」
「うちの先生じゃないな」
「うちの制服でもないぞ」
「誰だあれ」
「何でここに来たんだ?」
「おい、ナイフ持ってるぞ」
 すぐにこのことに気付いた。 
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