おっちょこちょいのかよちゃん
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157 塩を調理せよ
前書き
《前回》
イマヌエルは捕虜にした赤軍の政治委員・足立正生と吉村和江への話し合いを試みるが、二人は今の日本には軍事力を再び持つ事が必要と主張するのみで会話が纏まらずにいた。フローレンスは生前の世界にて杖、護符、杯を探し回る赤軍の長・重信房子と接触し、「この世界」に何れもないと告げる。そしてクローマー伯爵を撃破したかよ子達の前に次なる敵が!!
かよ子は塩を操る黄巣と交戦していた。次郎長一派も塩を刀で跳ね返し、椎名とブー太郎は放水して塩を溶かす。あの黄巣が操る塩の最良な対処法を一瞬で閃かせた。
(そうだ、料理に使えば・・・!!)
かよ子はリュックからフライパンを取り出した。それに杖を向ける。
「それ!」
杖がフライパンに変化した。かよ子はそれで塩を受け止める。
「これを料理にさせて貰うよ!」
「おお、君の杖にそんな能力があるのか!」
椎名は驚いた。食塩には様々な用途がある為か、黄巣が出した塩を何でも料理にしてしまうのだった。
「よし、俺が奴の近くに言ってやるぜ!」
大野は草の石で巨大な樹木を出し、枝に飛び乗った。そして木が自在に動く。更に巨大な枝で黄巣を殴り飛ばした。
「留めはボクちゃんがやるよ!」
関根も飛びかかった。黄巣は慌てて塩の壁を造る。しかし、大野の草の石で出した木の枝の攻撃で壁を粉々にされ、関根が国定忠治の刀で黄巣の首を撥ねた。
「うおおお!てめえら、俺の塩を・・・!!」
黄巣は光となって消滅した。
「あっけなく倒したか・・・」
「皆!」
かよ子は降りた大野と関根を呼ぶ。
「さっきのあいつの塩で色んな料理が造れたよ!一緒に食べよう!」
「おっ、サンキュー!」
大野と関根はのり子の人形(この時同化していたのり子とキャロラインは黄巣が倒された時に同化を解除していた)による瞬間移動でかよ子の羽根の上に戻った。
「これは、塩だけでこれだけ旨そうな食い物が沢山作れるとはな。お主の杖も凄い能力だ!」
次郎長はかよ子の杖を賞賛した。
「あ、ありがとう・・・」
「おおお、ハンバーグだ!貰おう!」
まる子は好きなハンバーグを先に貰った。
「ここには鯵の塩焼きじゃ!」
友蔵は鯵を貰った。皆で食事となった。
「あんたの杖ならあたしも料理の手間かからなくて済むね。あたしゃ楽だよ」
お蝶は呟いた。
「そうだな。しかし、本部から食事の支給は来る筈ではあるがな」
「そうなの?」
「ああ。ま、お主の杖で料理で斬る時とできない時があろう。その時は本部に連絡するといい」
「うん」
かよ子は相手が塩を操る相手だったので今回はこのように料理に使用することはできたが、そうでない時は本部から食事の調達を願い出る事という柔軟な対応が必要だと感じた。
さりは本部から支給されたサンドイッチをまる子の姉や杉山の姉、長山に尾藤などと食していた。
「あの、その護符やあの山田かよ子って子が持ってた杖なんですが、俺のお袋は昔静岡の清水ってとこに住んでたんですよ」
「そうなの?」
「はい、空襲で親失くして同じ孤児になった子達と一緒に食料盗んだりしていたそうです。ですが、暫くして親戚が無事だったんでその家に引き取られたんですが、不思議な予感したと言うとりました」
尾藤が説明した。
「もしかして、その護符や山田の杖の元の持ち主に尾藤君のお母さんが会った事があるかもしれないね」
長山はそう推測する。
「そうね。尾藤君のお母さんとウチのお母さんやかよちゃんのお母さんにも会わてあげたいわね」
その頃、杉山の姉は一人で違う事を考えていた。
「もと子ちゃんだっけ?もしかして弟さんの事を考えてるの?」
「ええ、あのバカ、自分勝手なんだから・・・。大野君やりえちゃんって子と喧嘩して・・・。一体今どこで何してんのかしら?」
「大丈夫よ。きっと見つかるわ」
しかし、こんな危険な地で通信機まで捨てて、何を考えているのか、それは杉山さとし本人以外には全く考える事ができなかった。
本部の一室。イマヌエルは各々に瞬間移動で食事の提供をしていた。
「我々の世界でも食料は必要だからね。君達も休憩したまえ」
「ありがとう、イマヌエル。ところでうちの子達の方は大丈夫かしら?」
まき子は娘の方を気にしていた。
「ああ、また次の敵を突破しているからね。一応、確認してみよう」
イマヌエルは通信機を取り出した。
「こちらイマヌエル。藤木茂救出班、食事の用意はできてはいるが、いるかい?」
『こちら藤木救出班、椎名歌巌。食事なら大丈夫だ。今塩を操る敵がいて杖の所有者がそれを利用していろいろな料理を出してくれた』
「そうか、了解。この先にもっと手強い敵がいるのでお気をつけて」
『了解』
藤木救出班との通信は終わった。
「向こうは食事は間に合っていたよ」
「良かった・・・」
「それでは向こうにも食事を与えに行くとするか」
イマヌエルは礼の部屋へと向かった。
監禁されている赤軍の足立と吉村の所に食事が運ばれた。
『安心したまえ。餓死させるつもりはない』
「それで私達がお前らの要求を認めるとでも思っているのか?」
『そんな風には思っていないさ。ただ、こっちからしたら死なれちゃ困るからね』
「ふん・・・」
房子は丸岡に連絡を入れる。
「修。こちら重信房子。今、杖も杯も護符もそっちにあるって本当なの!?」
『はい、そのようです。それから現に多くの連中が平和主義の世界の方に取り入れられ、こちら側に攻撃を続けて戦争主義の世界の人間は次々と撃破されている状態です!中には護符や杖の持ち主にやられた奴もいます!』
「何ですって!?今、そっちに戻るわ!」
房子はレバノンの赤軍本部へと戻ることにした。
(あいつら・・・!!手を打って・・・!!)
そして今、偽物の道具の能力で身動きが全くできない状態である戦争主義の世界の長・レーニンの事も考えた。
(レーニンをどう回復させるか・・・!?)
その一方、フローレンスは愛知県から静岡県へと向かっていた。
(静岡はあちらの方角・・・)
そして静岡県に入る。浜松にある天竜の杉林を越え、焼津の漁港を見渡し、そして静岡の市街地を飛び越えて清水へと訪れた。
(ここが清水の地・・・)
フローレンスは久々に訪れたこの地を少し懐かしく感じた。
(私がこの地に訪れました時、杖の所有者はここにいました・・・。そして護符の所有者は未だ受け継がれていませんでした・・・)
フローレンスはとある丘の上に来た。そこには例の四人が苦労して建てた秘密基地が今でも立っていた。
(ここで大きな基地の取り合いで激しい戦いが行われました・・・。しかし、私やイマヌエル、山田かよ子ちゃんと共にその闘いを抑えます事ができました・・・)
この地には幾度となく敵が襲って来た。自分達と敵対する世界が赤軍と提携し、無理矢理この世界と繋がってしまった時、アレクサンドルとアンナの兄妹がこの地を荒らしまわったとか。それから杖や護符を狙う者が現れる。その途中、長山治という少年が拉致されそうになったり、護符は娘に引き継がれたが、異能の能力を持つ者で最強とされる高校生男子が赤軍に利用されたり、引き継がれた護符を探し出す為に杖が奪われそうになったり・・・。
(確か、あの少女は学校に行っています筈・・・。今お会いしますには都合が悪いですわね・・・)
フローレンスはそう思いながら時を待ち続けるのであった。
後書き
次回は・・・
「蘇我氏の一族、再び」
藤木奪還の為に先に進もうとするかよ子達。だが、以前、護符の所有者の居場所を聞き出す事に成功し、かよ子から一度杖を奪取する事に成功したあの男達が復讐の炎を燃やす為に・・・!?
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