レーヴァティン
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第二百二十話 ハイランダーの影その三
「進めるな」
「攻撃も」
「そうするな、ただやっぱり一般市民はな」
彼等はというと。
「攻めないな」
「それは守るわね」
「帝国の民になるんだぞ」
今は連合王国の民でもというのだ。
「そうなるしそうならなくてもな」
「武器を持たないならね」
「攻める理由ないだろ」
久志は自分の考えをここでも述べた。
「よく女は子供を産んで子供はやがて戦士になる」
「成長すればね」
「そうなるって言うけれどな」
そして非戦闘員の中で女子供を殺すのだ、これは相手の民族や国家を根絶やしにするなら採られる戦略の一つだ。
「俺はな」
「そんなことはね」
「絶対にするか、武器を持たないなら」
「誰でもよね」
「攻撃するか、武器を持っていたら女子供でも攻撃するさ」
その場合はというのだ。
「俺は女は殴らない」
「そんなことは言わないわね」
「そうも言わないさ、武器を持っていたらな」
「女子供でも戦うわね」
「ああ、けれど持っていないなら」
「戦わないわね」
「誰でもな」
久志は留奈に自分の考えを話した。
「そんなことするか」
「あんたのその考えいいと思うわ」
「女子供を敢えて殺す」
清音はこのことを嫌悪感を込めて述べた。
「戦略としてはね」
「ありって言ったらありだよな」
「相手を根絶やしにするならね」
「そうだよな」
「もっと酷いやり方もあるわよ」
清音は顔に浮き出ている嫌悪をさらに強めて話した、それは知っているが敢えて言いたくないという様であった。
「中にはね」
「もっとか」
「あんたも知ってると思うけれど」
「何か察しがついたな」
「そうでしょ」
「ああ、男は殺してだな」
「女は奴隷にする」
古代でよくあったという。
「そうしたやり方もね」
「あるな」
「そして女子供をね」
「殺すやり方もあるな」
「それぞれよ、ただね」
「ここにいる奴でそれをしろって言う奴はな」
「いないわよ、日本では信長さんでもしてないわよ」
そうしたやり方はというのだ。
「苛烈だったっていうけれど」
「あの人だってな」
「一向一揆は強敵だったからね」
「徹底的に殺したよな」
「それでも十字軍よりは遥かにましだったわ」
一向宗だけを攻撃対象にした、そして降るならよしとした。
「確かに多くの血を流させたけれど」
「それでもな」
「神が見分けられるとか言わなかったわ」
「そもそもそこで神様利用しなかったな」
「一向宗もそこまでしなかったし」
十字軍の様な酸鼻を極める蛮行は行わなかったのだ、信長から見れば憎むべき敵である彼等もまた。
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