| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Fate/WizarDragonknight

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

”fight for future”

 ウルトラマンは、トレギアと間合いを保ちながら、静かに歩く。
 一方のトレギアも、両手を腰で組みながら、静かにウルトラマンを見つめていた。

「君は……この世界の者か? それとも、私と同じ世界の出身かな? なぜ貴様がここにいる?」
「___光は絆だ。誰かに受け継がれ、再び輝く___」
「……何を言っている?」

 ウルトラマンの言葉に首を傾げるトレギア。
 ウルトラマンは続けた。

「君は、光を捨てたのか……」
「この世界には、光も闇もない。君たちのような、光の使者を気取るのが気に入らないんだよ……!」

 トレギアはそう言って、その爪でウルトラマンへ襲い掛かる。
 ウルトラマンはそれを避け、拳で応戦。
 しばらく、二体のウルトラマンの肉弾戦が続く。
 だが、ぶつかり合うことを好まないトレギアは、離れて鼻を鳴らす。

「ならば……はあっ!」

 トレラテムノーが放たれる。
 だが、ウルトラマンもそれに対し、即座に対応した。

___クロスレイ・シュトローム___

 即座に十字に組んだ腕より放たれる光線。それは、トレギアの攻撃と相殺して爆発した。
 それぞれ、両手から様々な光線を発射し、互いを牽制する。だが、両者とも素早く移動しているので、光線はただ、亜空間の砂埃を舞い上がらせる以上の活躍はできていない。

「_______」

 ウルトラマンは、やがて遠距離ではキリがないとばかりに接近戦を挑む。
 だが、接近戦をトレギアは好まない。

「甘いんだよ!」

 トレギアが叫ぶとともに、新たな闇が人型となる。
 現れたのは、新たなメフィスト。だが、さっきまで戦っていたメフィストとは違い、黒かった目が禍々しい赤となっていた。
 いうなれば、メフィスト(ツヴァイ)

「!」

 ウルトラマンの反応が遅れた。
 顔面にツヴァイの拳が炸裂し、大きく体が怯む。

「はははは! さあ、彼が君を倒してくれるよ」

 トレギアの言葉通り、どんどんツヴァイの攻撃が加わって来る。防戦一方になってきたウルトラマンに、トレギアの目から放たれた赤い光線を避ける余裕はなかった。

「_____」
「いい眺めじゃないか……ノアの残滓ごときが」

接近戦をツヴァイに任せ、トレギアは両手に雷を溜めて近づいていく。
 まさに今、ウルトラマンを貫こうとする直前。

「「させない!」」

 ウィザーソードガンとドラグセイバーの刃が、二体の闇のウルトラマンを引き離す。

「大丈夫か!?」

 並び立つ二人の赤。その内、鉄仮面。龍騎が、ウルトラマンを助け起こす。

「全くわらわらと……君たちはすぐに群れる……ゴキブリみたいじゃないか。やれ」

 トレギアの命令により、ツヴァイがウィザードたちへ襲い掛かる。
 だが、そのアームドメフィストを受け止めたのは、龍騎だった。

「ハルト! コイツは俺が!」
「真司!」

 龍騎が、そう言ってツヴァイを奥へ押し込んでいく。
 そのままドラグセイバーとアームドメフィストが何度も金属音を響かせていく。やがて彼の姿が亜空間の岩陰に見えなくなったと同時に、トレギアの毒牙が迫り来る。

「ぐっ……!」

 その爪をウィザーソードガンで受け止めたウィザードは、そのまま受け流し、蹴り同士の勝負となる。

「松菜ハルト……!」
「決着を付けてやる……! トレギア!」



「おりゃああああああああああ!」

 龍騎が吠えるとともに、ドラグセイバーがツヴァイの体を二度切り裂く。
 転がったツヴァイは、アームドメフィストより光弾を発射するが、跳び上がる龍騎には当たらない。

「もう一丁!」

 ドロップキックがツヴァイを押し倒す。
 獣のような唸り声を上げるツヴァイに対し、龍騎は即座にドラグレッダーのカードを切る。

『アドベント』
「ドラグレッダー!」

 無双龍の咆哮と同時に、長く赤い胴体がツヴァイを薙ぎ倒す。

「________」

 龍の咆哮。
 龍騎がドラグセイバーを掲げると、龍騎の周囲を旋回するドラグレッダーは、吐いた火炎をドラグセイバーに注いでいく。
 やがて、炎を宿したドラグセイバーを、龍騎は振り上げる。
 すると、激昂したツヴァイが、アームドメフィストとともに龍騎へ攻め入った。
 だが龍騎は、静かに腰を落とし、ツヴァイの到達を待つ。
 やがて、ツヴァイの二本の鉤爪が、龍騎を襲う。しかし、左手のドラグバイザーが、彼の刃を防いだ。

「!?」
「だああああああああああ!」

 ドラグバイザーの左手でツヴァイを引き寄せ、右手のドラグバイザーで一気に切り抜く。
 そのままの勢いで、龍騎の背後へ転げ落ちていくツヴァイ。
 爆発の前に龍騎が最後に耳にしたのは、ツヴァイの断末魔の悲鳴だけだった。



「はああっ!」

 ウィザードが、ソードガンを振る。
 それを避けたトレギアの蹴りで怯むも、そこにさらにウルトラマンが攻撃していく。

「数では不利だねえ?」

 トレギアはそう言いながらも、ウルトラマンの攻撃を次々と受け流していく。時折反撃の光線で、ウルトラマンとウィザードにダメージを蓄積していく。

「だけど、残念だなあ? 君たちでは私に太刀打ちできないようだ」
「まだ分からないよ」

 ウィザードはそう言いながら、ベルトを操作し、指輪を使う。

『バインド プリーズ』

 無数の魔法陣より放たれた鎖。
 だが、トレギアは詰まらなさそうにそれを蹴り飛ばす。

「そんなものが、私に効くはずもないだろう?」

 トレギアはそう言って、片手から雷を放つ。粉々になっていく鎖たち。
 だが、その裏では、ウルトラマンが両手を合わせ、トレギアへ急速に接近していた。

「!」

 ウルトラマンの拳が、トレギアの頬に命中する。
 怯んだトレギア。さらに、ウィザードの銃弾も追随する。

「ぐっ! こんなもの……!」

 トレギアは毒づきながら、トレラテムノーを放つ。十字に刻まれた爪の斬撃を、ウィザードとウルトラマンは同時に左右へ散開して回避。

『フレイム シューティングストライク』
___コアインパルス____

 二つの遠距離攻撃がトレギアへ向かう。
 だが、トレギアもただではやられない。両手から発したバリアで、それを見事に防いだ。

「こんな……聖杯戦争で、私が負けるなどありえない!」
「これは聖杯戦争じゃない。アンタが負けるのは、聖杯戦争にじゃない!」

 ウィザードが、ソードガンを投げ捨てながら言い捨てる。

「何だと?」
「お前が負けるのは……紗夜さんと日菜ちゃんの絆を弄んだからだ! その絆に負けるんだ!」

 その言葉に屈辱を感じたのか、トレギアの顔がプルプルと震えている。
 ウィザードは続ける。

「この世界の皆は、誰もが何処かで繋がっている! 心の光で、伝え合う存在がある! それを嘲笑うお前が、俺たちに勝てるわけがないんだ!」

 そうしてウィザードは、最後の指輪を右手に入れる。
 ウィザードが持つ、最強の指輪。
 これまでの聖杯戦争の戦いにおいて、いずれの戦局でも少なくない貢献をしてきた魔法。
 ウィザードが、誰かを守るために使う最強の魔法。

「また……また、二言目には絆絆……!」

 琴線に触れたのか、トレギアは地団駄を踏む。

「地球人風情に何が出来る!?」
「出来る! お前を、この戦いを、終わらせることくらいは!」
『チョーイイネ キックストライク サイコー』

 出現した火の魔法陣が、ウィザードの足元に広がる。

「はああ……」

 魔法陣より供給される炎が渦を巻きながら、ウィザードの右足に集まっていく。
 右足に炎を宿し、ウィザードはトレギアへ駆けだす。両手を足に付け、ストライクウィザードのアクロバティックな動きで上空へ飛び上がった。

「はあああああッ!」

 トレギアの両手より、トレラアルティガイザーの雷が閃く。
 それはウィザードを迎え撃とうと、雷光の中に五つの赤い目が開く。
が。

___オーバーレイ シュトローム___

 それよりも先に、ウルトラマンの腕より光線が発射される。それは、トレギアのトレラアルティガイザーと激突する。それぞれがせめぎ合い、やがてウルトラマンに軍配が上がる。

「何っ!?」

 トレラアルティガイザーが相殺される。両腕が外側へ放り投げられ、無防備になったトレギアの頭上に、ウィザードのストライクウィザードが浮かび上がった。

「だあああああああああああああああああああ!」

 ウィザードは叫ぶ。
 トレギアの胸に炸裂する蹴り。だが。

「まだだ……そんなものでは、私は死なない……!」

 トレギアは逆に、右手でウィザードの足を掴む。
 ダメージはあるものの、体に魔法陣の刻印が刻まれるトレギアは、ストライクウィザードに耐えきっていた。
 そして、持ち上げた左手に、黒い雷が宿る。
 だが、止まらない。止められない。

「トレギアああああああああああああああああ!」
「ウィザード……!」

 両者の力は均衡。炎と闇が、それぞれの背後を彩っていく。

「_________」

 それは、人ならざる者の声。
 さらに、ウルトラマンの姿が、ストライクウィザードをトレースするようにトレギアへ跳び蹴りを放った。

「何!?」

 二倍になった蹴りには、トレギアも耐えられず、地へ落ちる。

「ココアちゃん……!」

 ウルトラマンの顔の裏にココアの気配を感じながら、ウィザードは蹴りに力を込める。

「はああああああ!」
「________」

 ウィザードとウルトラマンは、そのままトレギアの体を地面に引きずる。やがて、ウィザードたちは同時に力を込める。

「だあああああああああああああああああああああああああ!」
「__________________________!」

「これが君たちの力か……勉強になったあああ!」

 そのまま、亜空間の地面を引きづりながら、やがてトレギアの体は、亜空間を震わすほどの爆発を引き起こした。




 消滅していく亜空間。
 向かい合うウィザードとウルトラマン。
 周囲の風景が、徐々に見滝原ドームに戻っていくのに合わせて、ウィザードの姿もハルトのものとなる。

「……助かった……ありがとう。……ココアちゃん」

 ハルトの言葉に、ウルトラマンはゆっくりと頭を振った。
 やがて、その体が赤い光に包まれていく。
 消滅している彼をじっと見つめ、
 やがてそこには、気を失ったココアが倒れ込んできた。

「ココアちゃん!」

 倒れていくココアを、ハルトは慌てて受け止める。
 そして。

「お疲れ様。……お姉ちゃん」

 ハルトは静かに、その頭を撫でた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧