Fate/WizarDragonknight
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”fight for future”
ウルトラマンは、トレギアと間合いを保ちながら、静かに歩く。
一方のトレギアも、両手を腰で組みながら、静かにウルトラマンを見つめていた。
「君は……この世界の者か? それとも、私と同じ世界の出身かな? なぜ貴様がここにいる?」
「___光は絆だ。誰かに受け継がれ、再び輝く___」
「……何を言っている?」
ウルトラマンの言葉に首を傾げるトレギア。
ウルトラマンは続けた。
「君は、光を捨てたのか……」
「この世界には、光も闇もない。君たちのような、光の使者を気取るのが気に入らないんだよ……!」
トレギアはそう言って、その爪でウルトラマンへ襲い掛かる。
ウルトラマンはそれを避け、拳で応戦。
しばらく、二体のウルトラマンの肉弾戦が続く。
だが、ぶつかり合うことを好まないトレギアは、離れて鼻を鳴らす。
「ならば……はあっ!」
トレラテムノーが放たれる。
だが、ウルトラマンもそれに対し、即座に対応した。
___クロスレイ・シュトローム___
即座に十字に組んだ腕より放たれる光線。それは、トレギアの攻撃と相殺して爆発した。
それぞれ、両手から様々な光線を発射し、互いを牽制する。だが、両者とも素早く移動しているので、光線はただ、亜空間の砂埃を舞い上がらせる以上の活躍はできていない。
「_______」
ウルトラマンは、やがて遠距離ではキリがないとばかりに接近戦を挑む。
だが、接近戦をトレギアは好まない。
「甘いんだよ!」
トレギアが叫ぶとともに、新たな闇が人型となる。
現れたのは、新たなメフィスト。だが、さっきまで戦っていたメフィストとは違い、黒かった目が禍々しい赤となっていた。
いうなれば、メフィストⅡ。
「!」
ウルトラマンの反応が遅れた。
顔面にツヴァイの拳が炸裂し、大きく体が怯む。
「はははは! さあ、彼が君を倒してくれるよ」
トレギアの言葉通り、どんどんツヴァイの攻撃が加わって来る。防戦一方になってきたウルトラマンに、トレギアの目から放たれた赤い光線を避ける余裕はなかった。
「_____」
「いい眺めじゃないか……ノアの残滓ごときが」
接近戦をツヴァイに任せ、トレギアは両手に雷を溜めて近づいていく。
まさに今、ウルトラマンを貫こうとする直前。
「「させない!」」
ウィザーソードガンとドラグセイバーの刃が、二体の闇のウルトラマンを引き離す。
「大丈夫か!?」
並び立つ二人の赤。その内、鉄仮面。龍騎が、ウルトラマンを助け起こす。
「全くわらわらと……君たちはすぐに群れる……ゴキブリみたいじゃないか。やれ」
トレギアの命令により、ツヴァイがウィザードたちへ襲い掛かる。
だが、そのアームドメフィストを受け止めたのは、龍騎だった。
「ハルト! コイツは俺が!」
「真司!」
龍騎が、そう言ってツヴァイを奥へ押し込んでいく。
そのままドラグセイバーとアームドメフィストが何度も金属音を響かせていく。やがて彼の姿が亜空間の岩陰に見えなくなったと同時に、トレギアの毒牙が迫り来る。
「ぐっ……!」
その爪をウィザーソードガンで受け止めたウィザードは、そのまま受け流し、蹴り同士の勝負となる。
「松菜ハルト……!」
「決着を付けてやる……! トレギア!」
「おりゃああああああああああ!」
龍騎が吠えるとともに、ドラグセイバーがツヴァイの体を二度切り裂く。
転がったツヴァイは、アームドメフィストより光弾を発射するが、跳び上がる龍騎には当たらない。
「もう一丁!」
ドロップキックがツヴァイを押し倒す。
獣のような唸り声を上げるツヴァイに対し、龍騎は即座にドラグレッダーのカードを切る。
『アドベント』
「ドラグレッダー!」
無双龍の咆哮と同時に、長く赤い胴体がツヴァイを薙ぎ倒す。
「________」
龍の咆哮。
龍騎がドラグセイバーを掲げると、龍騎の周囲を旋回するドラグレッダーは、吐いた火炎をドラグセイバーに注いでいく。
やがて、炎を宿したドラグセイバーを、龍騎は振り上げる。
すると、激昂したツヴァイが、アームドメフィストとともに龍騎へ攻め入った。
だが龍騎は、静かに腰を落とし、ツヴァイの到達を待つ。
やがて、ツヴァイの二本の鉤爪が、龍騎を襲う。しかし、左手のドラグバイザーが、彼の刃を防いだ。
「!?」
「だああああああああああ!」
ドラグバイザーの左手でツヴァイを引き寄せ、右手のドラグバイザーで一気に切り抜く。
そのままの勢いで、龍騎の背後へ転げ落ちていくツヴァイ。
爆発の前に龍騎が最後に耳にしたのは、ツヴァイの断末魔の悲鳴だけだった。
「はああっ!」
ウィザードが、ソードガンを振る。
それを避けたトレギアの蹴りで怯むも、そこにさらにウルトラマンが攻撃していく。
「数では不利だねえ?」
トレギアはそう言いながらも、ウルトラマンの攻撃を次々と受け流していく。時折反撃の光線で、ウルトラマンとウィザードにダメージを蓄積していく。
「だけど、残念だなあ? 君たちでは私に太刀打ちできないようだ」
「まだ分からないよ」
ウィザードはそう言いながら、ベルトを操作し、指輪を使う。
『バインド プリーズ』
無数の魔法陣より放たれた鎖。
だが、トレギアは詰まらなさそうにそれを蹴り飛ばす。
「そんなものが、私に効くはずもないだろう?」
トレギアはそう言って、片手から雷を放つ。粉々になっていく鎖たち。
だが、その裏では、ウルトラマンが両手を合わせ、トレギアへ急速に接近していた。
「!」
ウルトラマンの拳が、トレギアの頬に命中する。
怯んだトレギア。さらに、ウィザードの銃弾も追随する。
「ぐっ! こんなもの……!」
トレギアは毒づきながら、トレラテムノーを放つ。十字に刻まれた爪の斬撃を、ウィザードとウルトラマンは同時に左右へ散開して回避。
『フレイム シューティングストライク』
___コアインパルス____
二つの遠距離攻撃がトレギアへ向かう。
だが、トレギアもただではやられない。両手から発したバリアで、それを見事に防いだ。
「こんな……聖杯戦争で、私が負けるなどありえない!」
「これは聖杯戦争じゃない。アンタが負けるのは、聖杯戦争にじゃない!」
ウィザードが、ソードガンを投げ捨てながら言い捨てる。
「何だと?」
「お前が負けるのは……紗夜さんと日菜ちゃんの絆を弄んだからだ! その絆に負けるんだ!」
その言葉に屈辱を感じたのか、トレギアの顔がプルプルと震えている。
ウィザードは続ける。
「この世界の皆は、誰もが何処かで繋がっている! 心の光で、伝え合う存在がある! それを嘲笑うお前が、俺たちに勝てるわけがないんだ!」
そうしてウィザードは、最後の指輪を右手に入れる。
ウィザードが持つ、最強の指輪。
これまでの聖杯戦争の戦いにおいて、いずれの戦局でも少なくない貢献をしてきた魔法。
ウィザードが、誰かを守るために使う最強の魔法。
「また……また、二言目には絆絆……!」
琴線に触れたのか、トレギアは地団駄を踏む。
「地球人風情に何が出来る!?」
「出来る! お前を、この戦いを、終わらせることくらいは!」
『チョーイイネ キックストライク サイコー』
出現した火の魔法陣が、ウィザードの足元に広がる。
「はああ……」
魔法陣より供給される炎が渦を巻きながら、ウィザードの右足に集まっていく。
右足に炎を宿し、ウィザードはトレギアへ駆けだす。両手を足に付け、ストライクウィザードのアクロバティックな動きで上空へ飛び上がった。
「はあああああッ!」
トレギアの両手より、トレラアルティガイザーの雷が閃く。
それはウィザードを迎え撃とうと、雷光の中に五つの赤い目が開く。
が。
___オーバーレイ シュトローム___
それよりも先に、ウルトラマンの腕より光線が発射される。それは、トレギアのトレラアルティガイザーと激突する。それぞれがせめぎ合い、やがてウルトラマンに軍配が上がる。
「何っ!?」
トレラアルティガイザーが相殺される。両腕が外側へ放り投げられ、無防備になったトレギアの頭上に、ウィザードのストライクウィザードが浮かび上がった。
「だあああああああああああああああああああ!」
ウィザードは叫ぶ。
トレギアの胸に炸裂する蹴り。だが。
「まだだ……そんなものでは、私は死なない……!」
トレギアは逆に、右手でウィザードの足を掴む。
ダメージはあるものの、体に魔法陣の刻印が刻まれるトレギアは、ストライクウィザードに耐えきっていた。
そして、持ち上げた左手に、黒い雷が宿る。
だが、止まらない。止められない。
「トレギアああああああああああああああああ!」
「ウィザード……!」
両者の力は均衡。炎と闇が、それぞれの背後を彩っていく。
「_________」
それは、人ならざる者の声。
さらに、ウルトラマンの姿が、ストライクウィザードをトレースするようにトレギアへ跳び蹴りを放った。
「何!?」
二倍になった蹴りには、トレギアも耐えられず、地へ落ちる。
「ココアちゃん……!」
ウルトラマンの顔の裏にココアの気配を感じながら、ウィザードは蹴りに力を込める。
「はああああああ!」
「________」
ウィザードとウルトラマンは、そのままトレギアの体を地面に引きずる。やがて、ウィザードたちは同時に力を込める。
「だあああああああああああああああああああああああああ!」
「__________________________!」
「これが君たちの力か……勉強になったあああ!」
そのまま、亜空間の地面を引きづりながら、やがてトレギアの体は、亜空間を震わすほどの爆発を引き起こした。
消滅していく亜空間。
向かい合うウィザードとウルトラマン。
周囲の風景が、徐々に見滝原ドームに戻っていくのに合わせて、ウィザードの姿もハルトのものとなる。
「……助かった……ありがとう。……ココアちゃん」
ハルトの言葉に、ウルトラマンはゆっくりと頭を振った。
やがて、その体が赤い光に包まれていく。
消滅している彼をじっと見つめ、
やがてそこには、気を失ったココアが倒れ込んできた。
「ココアちゃん!」
倒れていくココアを、ハルトは慌てて受け止める。
そして。
「お疲れ様。……お姉ちゃん」
ハルトは静かに、その頭を撫でた。
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