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イベリス

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第十九話 両親と姪の会話その十一

「本当に遊び人はそうらしい」
「だから溺れなくて」
「粋があるらしい」
 遊びにというのだ。
「それで余裕もだ」
「あるのね」
「まあ昔からそんな遊び人が何人いるか」
 考える顔でこうも言った。
「果たしてな」
「女優さんの娘さんは」
「ああいうのは論外だ」
「ああ、やっぱり」
「親不孝の極みだろう」
「お母さん心配だったでしょうね」
 この言葉が自然に出た。
「娘さんのことをよく知っていたから、母親だから」
「あああるのかもってな、そしてな」
「実際になったわね」
「あれは遊びに溺れたんだ」
 その女優の娘はというのだ。
「完全にな」
「ホストの人に貢いで」
「ホスト遊びとも言うしな」
「その遊びに溺れて」
「ああなったんだ」
「お母さんが心配した通りに」
「相当遺産があったらしいが」
 母親の残したそれはというのだ。
「それでもな」
「全部なのね」
「使い切ったみたいだな」
「ホストの人に貢いで」
「真面目に使えば一生それで暮らせる位あった筈なんだ」
 母親の遺産はというのだ。
「けれどな」
「そんな下らないことで全部使ったのね」
「ホストの人に」
 咲も愛も呆れて言った。
「何て言うかギャンブルとかドラッグで使うとか」
「同じレベルよね」
「自分の為に使うなら兎も角」
「そんなことに使うなんて」
「まだ漫画とかカラオケに使った方がましね」
「ラノベとかゲームにね」
 そうした遊びにというのだ。
「遥かにましよね」
「そうよね」
「そうしたことに使っても安いだろ」
 咲の父は二人に言った。
「しかも全部自分に返って来るな」
「カラオケは歌上手になってカロリーも消費するし」
「あれダイエットになるのよね」
「漫画とかラノベとかゲームからも知識得られるし」
「あれで馬鹿に出来ないわ」
「けれどホストの人に貢いでも」
「ギャンブルもドラッグも」
 二人で言った。
「何も生み出さないわね」
「ドラッグなんか身体滅ぼすだけだし」
「意味ないわね」
「無駄遣いね」
「愛ちゃんはわかってるな、そうしたことがわかっていればいい」
 咲の父はウイスキーを飲みながら笑って応えた。
「叔父さんも安心した」
「そうなの」
「色々抜けていても大事なものは持っていてわかっていればいいんだ」
 それでというのだ。
「だからこのままいいものをどんどん手に入れていってくれ」
「人としてよね」
「そこもわかっていればいい、誤解して悪かった」
「叔母さんもね。愛ちゃんを誤解していたわ」
 咲の母も言ってきた。
「愛ちゃんは大丈夫よ」
「これからも咲と一緒にいてくれ」
「そして色々教えてあげてね」
「そうさせてもらうわ」
 愛も笑顔で応えた、そうしてだった。
 四人で飲んで食べながら楽しい話をした、愛は終電前には帰ってそうして自宅で休んだ。彼女への先の両親の誤解はもう完全になくなっていた。


第十九話   完


                 2021・6・15 
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