最高のラビリンス

　　　　　　　　　　　　　　　最高のラビリンス
　迷路好きの高校生神威紅美は暇があるとよく迷路の本を出してそれを解いていた、ゲームを迷宮を進んでいくものが大好きである。
　それで今も迷宮を探検するゲームをしていたが。
　ふとだ、友人の封魔雪月にこんなことを言った。
「リアルの迷路ないかしら」
「現実の？」
「そう、実際にあるね」
　こう言うのだった、見れば紅美は一五二程の背ですらりとしたスタイルだ。黒髪をショートにしていて目はやや切れ長で優しい感じで大きい。
「そうしたのない？」
「あると言えばあるわよ」
　雪月はこう紅美に答えた。
「しかもこの関東にね」
「そうなの」
「ええ、すぐ行ける場所にね」
　こう紅美に話した、見れば雪月も黒髪をショートにしている。ただし紅美の髪がおかっぱの感じなのに対して雪月はボブの感じである。雪月も大きな目であるが睫毛が長く明るい感じだ。そして背は雪月の方が二センチ程高く胸もややある。二人共今は通っている高校の制服である緑のブレザーと赤のミニスカートとネクタイ、白のブラウスという格好だ。クラスの中でこうした話をしているのだ。
「あるわよ」
「それ何処にあるの？」
「東京よ」
　雪月は一言で答えた。
「そこにあるのよ」
「東京なの」
「そう、私達が住んでいる静岡からもね」
「行けるわね」
「ちょっとしたらね」　
　二人は静岡市にいる、間に神奈川県があるが行けないことはない。
「行けるわよ」
「それは知ってるけれど」
「それで東京に行けばね」
「リアル迷宮があるの」
「それも大迷宮よ」
　ただの迷路ではなくというのだ。
「世界屈指の」
「そんなに凄いの」
「下手な迷路よりもね」
「テーマパークとかの迷路はよく行くし」
　迷路好きなだけあってだ。
「そういうのよりもなの」
「もう遥かによ」
「凄いのね」
「だから今度の日曜にでも朝早くにね」
「東京に行って」
「その迷路行ってみる？」
「そんなに凄いのなら」
　それならとだ、紅美は雪月に応えた。そうしてだった。
　雪月と一緒日曜日に朝早くから東京に行くことにした、実は紅美は東京には殆ど行ったことがない。大抵静岡とその近辺を行き来する位だ。精々横浜や岡崎、名古屋である。
　だがこの日は二人共部活もアルバイトもなく。
　朝早くから時間があったので行くことが出来た、それで電車で静岡からはるばる東京に行ってみた。
　まずは東京駅に着いたがすぐにだった。
　紅美はその人の多さだけでなく線の多さそして複雑に入り組んだ構造に驚いた。
「あの、ここって」
「凄いでしょ」
「何処に何があるのか」
「わからないでしょ」
「ええ、地図を観てもね」　
　今紅美は東京駅の地図を開いている、だがそれでもだった。
　何処に何があるかわからない、線もどれだけあるかわからない。それでだった。
　目が回りそうになりながら雪月に言った。二人共お洒落をしているが今の紅美にはそれはどうでもよくなっていた。