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犬との最後の別れ

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第一章

                犬との最後の別れ
 アメリカオハイオ州在住のライアン=ハーベスト黒髪を短く刈ったきりっとした顔立ちで長身に引き締まった身体つきの三十二歳の彼は急に倒れた、医師は病院に担ぎ込まれた彼を診て首を横に振った。
「これは駄目だ」
「ですね、酷い脳出血で」
 助手も診て述べた。
「もうこれは」
「あとどれだけ生きられるか」
「それではですね」
「ご家族に連絡をしよう」 
 医師は苦い顔で述べた。
「そうしよう」
「そうですね、それでは」
 助手も頷いてだった。
 そうして家族に連絡が入った、それと共に彼の職場や親しい友人達にも。こうして家族や親しい人達が集められたが。
 姉のミシェル、黒髪をボブにした弟と同じくきりっとした顔立ちの彼女が言った。
「後はモリーね」
「ああ、モリーか」
「あの娘もね」
 両親も応えた。
「いつもライアンと一緒だったし」
「それならな」
「病院にお話して」
「あの娘にも来てもらいましょう」
 こう話してだった。
 病院に話すと病院側も頷いてくれた、そうしてだった。
 家の愛犬である茶色と白の雌のピットブル、彼女もだった。
 病院に呼ばれた、ここでだった。
 医師が集まっている家族や親しい人達に話した。
「意識がここで戻りましたが」
「それでもですね」
 ミシェルが応えた。
「弟はもう」
「そのことは残念ですが」
「それでは」
「はい、もう最後ですから」
 それでというのだ。
「お別れの」
「わかりました」 
 ミシェルは医師の言葉に頷いた、そうしてだった。
 家族や親しい人達は次々にミシェルに別れの言葉を告げた、そこから。
 最後にモリーが会った、モリーはベッドに横たわるライアンを見て一声鳴いた。
「クゥ~~ン・・・・・・」
「グッドバイ、モリー」
 ライアンはその彼女に最後の言葉を贈った、そうして。
 静かに息を引き取った、その後で。
 ミシェルは家で両親にモリーの背中を撫でながら話した。
「あの子臓器移植を希望していたでしょ」
「ああ、そうだったな」
「そうも言っていたわね」
 両親も娘の言葉に頷いた。 
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