イベリス
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第十八話 ゴールデンウィークを前にしてその八
「今はね」
「大丈夫なのね」
「だから安心してね」
「それじゃあね」
「ええ、じゃあ明日の夜ね」
「うちに来てくれるのね」
「叔父さんと叔母さんにもお話して」
咲の両親にもというのだ。
「そうしてね」
「わかったわ、じゃあね」
「また明日ね」
二人で携帯を通じてこう話した、そして。
咲は両親にこのことを話すと二人は冷静な顔で答えた。
「わかった、じゃあな」
「明日の夜ね」
「じっくり話させてもらう」
「愛ちゃんとね」
「そうしてね、きっとね」
咲はさらに言った。
「お父さんもお母さんもわかってくれるわ」
「むしろね」
母はここでこう言った。
「これまでね」
「そうだな」
父の言葉には反省が感じられた。
「これまで無闇にな」
「あの娘の外見だけでね」
「変に遠ざけていたな」
「そうよね」
「けれど咲が言うにはな」
「そんな娘じゃないし」
こう夫に言った。
「全く、とはいってももうこのことは」
「わかっていた筈だな」
「私達もね」
「子供の頃から観ていたんだ」
愛をというのだ。
「どんな娘か」
「ずっと悪い娘じゃなかったわ」
「それじゃあな」
「お話しないとね」
「ああ、そうしないといけなかったんだ」
こう言うのだった。
「変に遠ざけないで」
「本当にそうね」
「だからな」
「もうね」
「明日の夜にな」
まさにその時にというのだ。
「話をしてな」
「わかりましょう」
「そうだな」
「あの娘のことを」
「よくな」
「そしてね」
母はさらに言った。
「お話の後で」
「一緒に飲むか」
「そうしましょう」
こうも話した。
「折角だから」
「そうだな、お酒は何があったかな」
「ウイスキーもビールもワインもあるわよ」
「そうか、ウイスキーあるか」
「あなたはウイスキーよね」
「最近好きだからな」
それでというのだ。
「あるなら飲むよ」
「じゃああなたはウイスキーね」
「それで母さんは何飲むんだ」
「私はビールにしようかしら」
母は少し考えてから答えた。
「そうしようかしら」
「そうか、それで愛ちゃんは何を飲むか」
「お姉ちゃんはワインが好きみたいよ」
咲は父に答えた。
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