預けられる引導
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第二章
「ほったらかしだった」
「そうですか」
「一日中ベッドの中に寝かせてな」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「ほったらかしですか」
「おむつも碌に代えてないしミルクもな」
「まともにですか」
「あげてないな、ずっと寝かせてるからな」
「ああ、床ずれもですね」
「起こっていてな」
それでというのだ。
「ずっと泣いていてもな」
「無視してですね」
「ほったらかしだよ、もう動画も画像もな」
両方というのだ。
「撮ったぜ」
「それ俺のスマホに送って下さい」
洋介は同僚に言った。
「是非」
「そうするな」
「はい、そうして」
「その動画や画像を証拠にするな」
「絶対の証拠ですから」
それでというのだ。
「それを弁護士のおじさんに送って」
「そうしてだよな」
「後はこっちでします」
「そうするな」
「そうします、育児放棄となれば」
「それがわかるとな」
「もう」
それこそというのだ。
「あの連中も完全に終わりですね」
「引導になるな」
「はい、じゃあその引導を」
「今から送るな」
「お願いします」
同僚が自分のスマートフォンを出して少し操作するとだった。
少し離れた場所に置いてあった洋介のスマートフォンから着信音が鳴った、洋介はその音を聞いて客に笑って言った。
「有り難うございます」
「これであの二人は終わりだな」
「すぐに動きます」
「そうしてくれよ、さもないとな」
「上の娘が危ないですね」
「赤ちゃんほったらかしにしたらな」
「まだ一歳ですしね」
「歩けてもいないんだ」
赤子だからだ。
「だからな」
「ええ、すぐに叔父さんに送って」
「あいつ等から保護するんだ」
「そうしますね」
「急げよ、それでこっちはな」
「会社の方はですね」
「もう次の準備はしてるからな」
麺とチャーシューを同時に食べつつ話した。
「だからな」
「こっちが動いたらですね」
「すぐに動いてな」
「そっちも引導渡してくれますね」
「そうするな」
同僚は洋介に笑って言った、そうしてだった。
彼は今はチャーシュー麺を美味しく食べた、これからのことも思いつつ。
預けられる引導 完
2021・8・27
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