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八条学園騒動記

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第六百二十七話 変わらないモンゴル人その三

「私も好きよ」
「ジンギスカン鍋とか」
「あれ日本料理でしょ」
 ナンの今の返事は真顔でのものだった。
「モンゴルにないわよ」
「ないの」
「ええ、ああしたお料理はね」
「そうだったの」
「日本人はモンゴル料理って言うけれど」
 それでもというのだ。
「そもそもああしたタレないから」
「ああ、タレね」
「お野菜もああして食べないし」
 肉と一緒に焼いてというのだ。
「だからね」
「あれはなのね」
「モンゴル料理じゃないから」
「タレとお野菜ね」
「モンゴル料理ってシンプルよ」
 この時代でもそうである。
「草原でお醤油とかないでしょ」
「それはね」
 言われてみればとだ、コゼットも頷いた。
「ないわね」
「草原にはね」
「全部ないわね」
「あるのは血よ」
「血ね」
「基本血で味付けするか」
 モンゴル料理はというのだ。
「お塩でね」
「お塩はあったの」
「交易で手に入れて、あと香辛料も」
 これもというのだ。
「交易でね」
「手に入れていたの」
「けれど基本は」
 あくまでというのだ。
「シンプルよ」
「そうした味付けなの」
「血で味付けするとか」
「今お話してくれたみたいに」
「そうしたね」
「シンプルな味付けだったのね」
「モンゴル料理ってね、今だってね」 
 この時代になってもというのだ。
「やっぱりね」
「質素な味付けなの」
「羊肉を塩茹でにしたのとかが基本よ」
「シンプルね」
「あと乳製品ね」
 モンゴルの食事はというのだ。
「お肉と一緒に主食よ、それと茹でた後のお汁も」
「飲むのね」
「残さずね」
 そうしてというのだ。
「そうしているの」
「それはスープね」
「お肉を煮た後の栄養がよく出た」
 そうしたというのだ。
「いいスープだから」
「飲むの」
「そうしたことをして」
 そしてというのだ。
「暮らしているのよ」
「食生活はそうなの」
「ちなみに服は昔は着たままで」
「やっぱり洗濯は出来ないわね」
「今は折り畳みの洗濯機に洗剤にお水を造る機械もあるけれど」
 それでもというのだ。
「昔はね」
「そんなのないわね」
「だからね」
 それ故にというのだ。 
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